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2008年01月24日

■工場型強化酪農で悲惨な処分をされるカーフ(雄子牛)

スーパーマーケットが英国で育てられた子牛肉を我々が支持することを望んでいる、しかしスーパーマーケットは苦闘している酪農産業を正しくする方がましである。

英国内で育てられた子牛肉販売を促進するのを助けるスーパーマーケットの決定に拍手喝采しないことはよくないだろう。モーリー・ディニーン (Molly Dineen)は彼女の忘れ難いドキュメンタリー映画で、酪農産業から出る値打ちがない雄の子牛がどんな仕打ちを受けるかを正確に示していた。雄の子牛は、射殺され、皮を剥がれて、狐狩りの犬に食わされていた。

今度は、テスコ(Tesco)、ウエイトローズ(Waitrose)マーク&スペンサー (Marks&Spencer)を含めた-大手スーパーマーケットが、英国人にもっと国内生産された子牛肉を食べるようにさせるキャンペーンを支持することを宣言した。何万という子牛が外国での子牛肉生産のため毎年輸出されるようになったのは、英国人が子牛を食べる事を長年忌避しているからだと言われている。

今度の対策は、善意からでたのかもしれないが、酪農部門からでる少なからぬ子牛の命を引き伸ばすことにはなりそうにもない。真実は、雄子牛は、英国人の食物嗜好の犠牲ではなく、農業の工業化の犠牲である、という事である。

伝統的には、英国は、酪農場から牛肉の3分の2ほどを得ていた。英国がEUの共同農業政策のコントロールを受けるまでは、英国の酪農家は、牛乳生産には英国フリージアン種(British Friesian)のような、よく肉がついた伝統的品種に依存していた。その当時は、雄の子牛は、新鮮な牧草やサイレージで経済的に太らせることができたから、価値を持っていた。

けれども酪農家達は、ミルクを常により低いコストで常により大量にとる圧迫があるので、米国の栄養学者サリー・ファロン(SallyFallon)が「怪異」雌牛と呼ぶ、異常に活発な乳腺を持った乳牛に頼るようになったのだ。この乳牛は高多量ミルクを生産するよう加工されているが、反芻動物の自然な食べ物である新鮮な牧草ではなく、トウモロコシやシリアル穀物のような高エネルギー飼料、大豆のような高タンパク飼料を、与えなければならない。

これらの歩くミルク工場とも言うべき乳牛は、体格がとても貧弱で骨ばっているので、その子牛達を経済的に太らせることは不可能である。こういう訳で、かつて伝統乳牛を上質な肉をつけた成牛に育てていた牛肉農民が、このミルク牛に興味をもはや持たなくなっていった。それで何千という子牛がマーケットを見いだすために、子牛肉産業が繁盛している土地であるヨーロッパ大陸に、輸出されなければならなくなった。

スーパーマーケットは、我々にもっと子牛肉を食べるべきであると説得するよりむしろ、酪農産業をまともにしていくほうがましだろう。スーパーマーケットが、ミルク供給業者に牝牛を牧草地に戻すように強く主張することによって、スーパーマーケットが農民に工業的「怪異乳牛」を捨てて、牧草で繁栄する伝統的品種の牛に戻ることを強いる事になるだろう。

そうなれば、消費者にミルクと乳製品のずっと健康に良い食物を提供する事になるだろう。牧草を食べた雌牛のミルクは、大豆とシリアルを給餌された牛よりも、ビタミン、オメガ3、がんと戦う複合CLAにずっと富んでいる。

それはまた雄の酪農子牛のための瀕死状態にあるマーケットに新しい生気を吹き込むであろう。前述のディニーンの記録映画で取り上げられた悲しい子牛は、動物は勿論人々が産業的な農業によって危害を与えられるというタイムリーな警告である。

ほとんどの現代農民は、世界の最低コストの生産者と競合できる低価格産物の有能な供給者として自身を見ている。彼等が、人々のために健康に良い食物生産者として自分を見始めるまでは、彼等の家畜は命が短い、そして惨めな生活し続けるであろう。そして我々消費者は第二級品を提供され続けるだろう。

Author:事務局 : 2008年01月24日 15:50