【AQUA261号】第23回BMW技術全国交流会が開催されました

 「食と農の絆」をテーマに、第二三回BMW技術全国交流会が新潟県で開催されました。今号では、第一日目に行われた、基調講演やパネルディスカッションの概要をお伝えします。(文中敬称略)

開会挨拶     実行委員長 峯村 正文

 皆さん、ようこそ新潟へお越しくださいました。参加された皆様へ心から感謝の意と歓迎の意を表明いたします。来賓の皆様もお忙しい中、お越しいただきましてありがとうございます。今交流会のテーマは「食と農の絆」です。農の持つ力、魅力、農民の生活と生きかたをベースに食と農のつながり、絆を考えていきましょう。昨今のグローバリゼーションにおける価値あるものと言うのは、低価格とスピード、世界中がその暴風圏の中にいます。私たちはお金だけに価値をおくことなく、皆で共に持続可能な社会を考え、共に強く在りましょう。
 新潟県の県北と県南に点として存在する「BMW技術」が農業技術の交流再生と地域農業の発展に繫がる事を願い、「BMW技術」が持つローカルな部分とアジアに展開しつつあるグローバルな展開があるように、新潟県らしい「点から面へ」の交流会を目指しております。見つめよう、人・地域・暮らし・生き物のつながりを、未来は今、はじまっています、よろしくお願いします。

来賓挨拶  JAささかみ 組合長 清田嘉一

 この度、第二三回BMW技術全国交流会を新潟で開催するにあたり、全国各地から多勢の方がご参加いただきましてありがとうございます。
 近年、安心安全の農産物の生産が求められている中で、BMW技術を活用している生産地が多くなっていると聞いております。当JAささかみにいたしましても、平成二年に「有機の里」を宣言し、堆肥センターに生物活性水プラントを導入させていただきました。BMW技術を活用する全国の皆さんが技術の発展・発表、情報交換の場として、この交流会は大変意義のある機会であると思います。
 日本の農業は大変革を迎えようとしていますが、今後も生産者と消費者が共に手を取り合い、大きな問題に立ち向かっていけるよう、この交流会がそのひとつとなるよう願っています。

来賓挨拶 新潟県総合生協 理事長 田才栄敏

 第二三回BMW技術全国交流会の開催にあたりまして、ご尽力いただいた実行委員の皆様に敬意を表し、そしてこの交流会が開催されることをお喜び申しあげます。
 農業を取り巻く環境も、大きな市場原理の中に放り出されようという状況になっています。日本ではいま、食の偽装問題が大きな騒ぎとなっています。一流のホテルなどで表示と異なった食材が提供されるという問題は、市場原理の社会において今後も同じような事件を巻き起こして行くのだろうかと思うと残念に思います。作り手の思いが、人の手に渡っていく過程において、作り手の思いとは変わった状態で商品化されていく。まさにそんなことではないでしょうか。今回の全国交流会のテーマは食と農の絆、食と農は共に表裏の関係にあるのではないかと思います。二日間の交流会において皆さんがテーマの主旨を共有化されますよう願っております。

来賓挨拶 新潟県農林水産部技監 渡辺広治
(代理 経営普及課 課長 笠原公子)
 第二三回BMW技術全国交流会の開催にあたりましてごあいさつ申し上げます。本日は県内外、及び海外からも多数の皆様にお集まりいただきまして、全国交流会が盛大に開催されますことをお喜び申し上げますとともに、心から歓迎いたします。BMW技術協会におかれましては、耕畜連携による循環型農業と、土と水を再生する活動を通して、地域循環システムの構築実現をされていると聞いております。新潟県でも環境への負荷を減らすことを考え、有機農業推進に努めております。この全国交流会においては第一線でご活躍されている皆さんの事例報告など、有意義な発見をされることを願っています。
 新潟県内の農業を見ていただき、新米やお酒など新潟県の味に触れていただき、ファンになっていただきたいと思います。

基調報告
BMW技術協会理事長 伊藤 幸蔵

 皆さんにお会いできて嬉しいです。
 ここ新潟では初めての開催ということもあるので、BMW技術の基礎的な部分、生物活性水ってなんだろうと言う話をさせていただきます。
 地球、自然界は浄化作用(自然治癒力)を持っています、この力は人間、植物、動物、生命あるものすべてに備わっています。BMW技術は地域生態系における、自然浄化作用の仕組み(物質循環)に学び、その仕組みを人工的に再現する技術であり、バクテリア(B)とミネラル(M)と水(W)の働き、その関係性に注目し、地域生態系の自然循環が正常に、スムーズに働く環境をBMW自然循環システムと呼び、そのシステムそのものがBMW技術です。健康な「農水産物」は農薬や有害化学物質、有機系廃棄物などに汚染されていない健全な土と水で育つ、それは生態系本来の機能を持った土や水で、自然浄化作用(物質循環)がスムーズに働くものです。このBMW技術が作り出す水が生物活性水です。雨水の浄化・岩石と土と微生物を巡る水・植物分解による生成を再現し自然生態系の水を作ります。作物などを多く、早く作るとかではなくて、作物などの持つ、そのものの力を引きだしてやる考え方がBMW技術です。生物活性水の特徴として、発酵の促進、有機物を腐敗させずに発酵させる、実際に生物活性水は発酵してできあがります。ミネラルが多分に含まれ、動植物に吸収されやすいもので、色々な微生物が含まれた水でもあります。原料となる有機物やプラントの規模の違いなどによって、生物活性水の成分には違いがあります。畜産における効果の特長としては、悪臭防止、飼育環境の改善、腸内細菌が整えられ、家畜が健康に育つことによって、増体率の向上や肉質や乳量、産卵率の向上があります。耕作においては土壌環境の改善や発芽や発根、生育促進などです。
 私たちがBMW技術を活用する上でのテーマとして、自然生態系・自然循環、環境保全、 生産・生活・地域社会の在り方を共に考えることがあります。BMW技術を学ぶことで地球生態系への理解を深め、環境保全型農業を推進し、そしてそれが持続可能な社会へ、次世代への継承となることを目標としています。
 「次世代への継承、未来の創造」のために若手・担い手を中心とした技術・意識の底上げをしていきます。基礎セミナーや各地で学習会や視察交流等をおこない、BMW技術の基礎を学び理解を深めていく。 そしてBMW技術を実践することを促進、皆で考え、共有することで「いいもの」を作るための技術向上につながっていけばと思います。 BMW技術のもう一つの意義はネットワークです。 BMW技術を築いてきた先人達が培ってきたものを継承しつつ、新しい世代、世界とのネットワークを広げて行きます。
 「BMW技術は技術と理念の両輪」ということを再認識し、 技術に驕ることなく、しっかりとした理念を持つ。 BMW技術自然循環システムの推進をともに考え、深化させていく。技術が人やその営み、環境を支え、人を作り、人がより良い環境と未来を創造できるということを具体化するなどです。 BMW技術協会には日本国内やアジアの農業者、消費者、物流組織や自治体など、 幅広い分野で活動する団体を含め、協会の活動を支える約三〇〇の会員がいます。このようなネットワークの広さを持った団体は多くありません。 その根強いネットワークを再確認し全国組織の強化にも努めていきます。

基調講演「阿賀野川流域の
  岩石と水とミネラルの循環」
 岡山大学 地球物質科学研究センター   准教授 奥地 拓生

 新潟の地質の特徴はフォッサマグナ。ここ月岡は東端になり、上越が西端となります。
 フォッサマグナは「大きな溝」と言う意味ですが、日本列島の節目にあたります。フォッサマグナの地下には堆積物が多くありますが、掘っても掘っても、岩盤には辿りつきません。この地域には火山が多く連なっているのも特徴的ですが、これはフォッサマグナには穴があいていて、火山が噴き出しやすい構造になっているのではないかと言われています。日本は大きくわけると四つのプレートにわかれているが、その接点にフォッサマグナがあり、このプレートが沈みこむとき、海水が地球の内部へ入り込み、プレートが水の影響で融けて花崗岩ができます。フォッサマグナを流れる阿賀野川流域は、五頭山の九千万年前に形成された花崗岩、飯豊連峰の二千万年前の花崗岩、阿賀町津川の一千五百万年前の緑色凝灰岩や笹神の凝灰岩(笹神丘陵魚岩)など、同じ流域に多様な岩石が集まっています。そしてそれは多様なミネラルの宝庫となり、豊かな水となり流れ、流域を潤している。「土から生き物へ、生き物から土へ」というミネラルの小循環があり、「地球から岩石、岩石から海、海からまた地球へ」というミネラルの大循環がある。BMW技術は自然生態系のバイオリアクター・システムをコンパクトに再現し、「生態系の水」「生態系の土」を作る、これは小循環を速めることができるということでもあるが、さらに大循環の存在があるということを忘れずに。

阿賀野川流域で見られる主な岩石
・花崗岩:阿賀野川の水をはぐくむ岩石の代表である飯豊山系の花崗岩が、内野倉川のダム沿いに露出している。
・石灰岩、砂岩、泥岩、チャート:昔の太平洋上で海底に堆積したこれらの岩石を、阿賀野川沿いの支流にてまとめて観察した。そしてひとまわりに数億年の時間を要する、海から陸へのミネラルの循環の様子がわかる。
・グリーンタフ:今から一五〇〇万年前の日本海の誕生と拡大のときに起こった、活発な火山活動により、日本列島各地に厚く堆積した火山灰の地層がグリーンタフである。
 フォッサマグナは日本の主要な地溝帯の一つで、地質学においては東北日本と西南日本の境目とされる地帯。中央地溝帯とも呼ばれる。Fossa Magnaはラテン語で「大きな溝」を意味する。本州中央部、中部地方から関東地方にかけての地域を縦断位置する。西縁は糸魚川静岡構造線(糸静線)、東縁は新発田小出構造線及び柏崎千葉構造線とされる。東縁については異説もある。しばしば糸静線と同一視されるが、糸静線はフォッサマグナの西端であって、「フォッサマグナ=糸静線」とするのは誤りである。
 つまり、地図上においては、糸静線は「線」であるが、フォッサマグナは「面」である。端的に言えば、古い地層でできた本州の中央をU字型の溝が南北に走り、その溝に新しい地層が溜まっている地域である。
―パネルディスカッション発言要旨―
全国交流会実行委員長  峯村 正文
 新潟県にBMW技術が導入されて二〇年程が経過、県北には食品加工工場の排水処理に始まり、阿賀野市のJAささかみ堆肥センター、旧安田町のグリーンアクアセンターと畜産糞尿処理施設(堆肥センター)に導入され、一方県南では、私たち「謙信の郷」グループに導入されました。新潟県の特徴として南北に長く、お互いに顔見知り程度であったり、個人的な交流はあったが、BMW技術の下に今回、始めてこうやって交流、議論の場ができることとなり、これが「点から面へ」という意味でもあります。

NPO法人食農ネットささかみ
理事長 石塚 美津夫
 ささかみは農民運動の盛んな地であった。減反が政策として出てきた時にもだいぶ反対していました。そんな中で、超過米があるだろうということで、昭和五三年頃に異端児農協と異端児生協(パルシステム)との出会いがありました。当時の新潟経済連は産直を認めなかったのですが、その後八年ぐらいは流通がほとんど無いまま、「農的生活」を伝えるためにパルシステムとの交流を続けてきました。農的生活とは消費者といえど、農民の暮らしや環境、背景などを理解した上で、食するということが大きな意義があると思います。

星の谷ファーム    天明 伸浩
 一九年前に東京から新潟へ移住し、農業を始めました。五haばかりある田んぼは山間部の棚田、冬は雪深く、一九年で集落の戸数は半減してしまった。生活は家族で協力しあって生活をしています。子供の目の前で両親が働き、その両親の背中を見て育っている子供達も、農繁期には緊張感を感じ取り、食事を作ってくれるなど、支え合って生きていることは幸せだと感じます。二〇一一年の東日本大震災以降は、近隣に柏崎の原発があるということも含め、エネルギーの自給を考えなくてはならないと思いました。こんな山奥でも昔は炭を作ったりするなど、森林資源が豊富にある。循環して使い続ける資源を有効に活かすこということで、実は自分達の中山間地が時代の最先端を行っているのではないかと思っています。BMW技術でいうミネラルの大循環と小循環と同じで、地域で、エネルギーも含めて「物・人・金」が循環する仕組みを作る最先端に山間地はなるべき。人々の繋がりが薄らいだところに、グロバリゼーションは忍び込み、さらに人々の繋がりを断ち切ります。
 人々が濃密に繋がっているところに、グローバリゼーションは入り込めません。だからこそ、人と人の繋がりを再構築することが求められています。

謙信の郷 金谷 武志
 BM自然塾㈲謙信の郷は農薬・化学肥料を低減、もしくは使用していないお米の販売を行っています。現在一〇戸の農家(法人も含む)により運営され、参加している農家は、代表であり酪農も営む井沢牧場で製造されるBMW生物活性水を活用し、環境に優しく高品質な農産物の生産を行っています。
 私の住んでいる集落は戸数四七軒、平成七年に一ha、五〇a区画を基本とした大区画基盤整備事業が実施される。約六〇haの水田耕地面積で専業農家六戸、兼業農家七戸が営農。周囲を里山に囲まれ、池や谷地、川、沢等の多様な水辺環境が点在し、希少な動植物が現存。里山でのゴルフ場や産廃処分場の建設、高規格道路の計画等で地域環境が脅かされる度に住民が団結し反対運動を展開、環境を守ってきた。
 抱える問題・課題として住人の高齢化、集落戸数の減少、農業生産基盤を維持する活動、環境保全活動の人員不足。農家と非農家の意識ギャップの広がりなどがあります。
 農とは農村文化そのもの、生きる糧を得るために先人から受け継がれてきた環境と営み、日本人的なもの「らしさ」のルーツ、今その存続が脅かされている。上越地域には幸い、担い手が多く、難しい部分はあるが皆で協力して守っていきたい。

生活協同組合パルシステム東京
    理事長  野々山 理恵子
 エネルギーの話ですが、先程、薪の話もありましたが雪も利用したりしていることもあるようで、地域資源を有効に活用されていることに驚きました。TPPは守ってきたものを否定されてしまうような動きであり、それに反対して行かなければならない。食も農も大切な事は命だと思う。命をいただいて、食べることによって命を生んでいっています。問われているのは命かお金かどちらが大事なのかという選択肢を迫られている感じがします。私たちは命の循環をどう地域で作っていくかが大切だと思う。

BMW技術協会 理事長    伊藤 幸蔵
 農と食の絆はどんどん離れて行っている。食材の背景や物語を知らないで食べるのであれば流動食でもいいのではないかという思い。食べる側がもっと自己責任において食べるべき。当然、生産する側、流通側もその責任を果たすべき。生産する側にも課題があります、今回はBMW技術、新潟県というくくりの中で多勢の農家や消費者などが集まったが、日本全国ではまだまだ点になっている有機に取り組む農家が多くあると思う。BMW技術協会はそこをつなぐ役割をしていかなければならないと思います。大きな面にして行き、技術の共有、問題の共有などをしていかなくては。若手は特に自分達の地域について、先人が築いてきた技術に関して、もっと踏み込んで学ぶ必要があると思う。今回の三人のプレゼンは自分の足元から地域の発展を目指し、銭金ではない価値をきっちりと持つ問いと答えがはっきりしたのではないかと思います。TPPは大きな問題、楽観はしないし反対もするが、農業をしている人よりも消費者のほうがまずは苦しくなるのではないかと思う。

―パネルディスカッション
コーディネーター総括―
パルシステム連合会 理事長 山本伸司  新潟の中で三人とも自分達の農業に誇りをもっている。地域や人のつながり、文化という何にも変えられない価値を所有している。城南信用金庫の吉原理事長も話していたが、我々はお金と言う宗教の中に存在するが、お金がただの紙クズだったら、それこそお米など食べるものが一番になってくる。でもどうにも市場経済の連鎖から脱却できていない。どう脱却していくか、そこにどう価値を置いていけばいいのかという答えが、今回のパネルディスカッションにはあったのではないかと思う。農には市場経済でない、お金でない豊かさが詰まっている。その豊かさに焦がれて生協などは生産地域とつながるために取り組みを始めた部分もある。奥地先生が話された大循環と小循環、今後もBM的な人々、BMW技術の下に結集する人々がどっしりと腰を据えて、人や動植物の生命の大循環の中で、人と人のつながりという小循環をどう作りあげて行くかということではないか。
   (報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

第二三回BMW技術全国交流会
第一日目について
生活協同組合 あいコープみやぎ 千葉ゆか

 交流会一日目は、BMW技術の「理念」の部分について、各分野を代表する方々のお話を聞くことができました。昨年に引き続き伊藤理事長と奥地先生の講演と、パネルディスカッションの中から、自身が印象に残った点を報告します。
 伊藤理事長の講演では、二〇一三年のテーマのひとつに掲げた「次世代への継承」の取組みが報告されました。BMW技術を取り入れた各地の耕作地が、子どもたちのいきもの調査の舞台となりました。これは、BMW技術が目指す地域や農地の在り方そのものが、子どもが自然循環を学べる教材となったということです。そして青年になった若者たちは、自らBMW技術の実践を始めます。互いの知識や技術を共有する場として、数年前から開催が始まったBMW技術基礎セミナー。今年九月には気象をテーマに行われ、昨今の異常気象について興味深い知見が得られました。人間の力では逆らうことのできない気象変動に対し、農業技術を変えて対応していくことも求められます。BMW技術をもってどのように適応していくか、その試行錯誤を各々が若い感性で挑戦してみてほしい、と伊藤理事長は呼びかけられました。この想いは若手へ受け継がれ、翌日の事例発表で報告されました。一方で、技術の情報共有には課題が残ります。技術の原理は同じくしても、地域により地域環境や気象条件も異なるため、成功事例を単純に現場へ導入することは困難です。現在も国内外の大学と連携した取り組みにより情報収集が行われていますが、来年度は各プラントの生物活性水における成分分析とそのデータ収集を行い、協会を通して各産地で共有する仕組みを整えたいと報告されました。
 奥地先生の講演では開催地、新潟の地質学的特徴、その成り立ちが解説されました。新潟県内には「フォッサマグナ」という地帯が存在します。目の前にはごく一般的な町の風景が広がっていますが、足元の地下深くは日本列島の中でも特徴的な地質だというのです。「フォッサマグナ」は「大きな溝」という意味を持ち、文字通り地質学的な溝が広がっており、この地帯には古い時代に形成された岩石から成る硬い岩盤がありません。これは一五〇〇万年前に起こった地殻変動により、今の日本列島が中国大陸から突き放されるようにして離れて日本海が形成された頃にさかのぼります。中国大陸から離れる際、向きの異なる二つの海溝の影響で、日本列島は中央部が真っ二つに折られる形で動いていきました。折れた日本列島の間には日本海と太平洋をつなぐ海が広がり、この時代以降の堆積物や火山噴出物により溝は次第に満たされていきます。その後、隆起して現れた比較的新しい地層から成る地帯を「フォッサマグナ」と呼びます。私が、こうして地球の成り立ちや地質学の知見を改めて学ぶことができたのも、BMW技術という微生物・岩石・水をキーワードに理論づけられる技術に関わることができたからです。何千万年という地球単位の大循環を前にすると、わたしたちの営みはとても小さな点のような存在にすぎません。そんな存在でも環境に良くも悪くも影響を与えるのは人間次第なのだと、考えさせられました。
 最後に行われたパネルディスカッションでは、新潟各地で独創性にあふれる取組みを行っている方々ばかりでした。上越でⅠターン就農された天明伸浩さんのお話は、ひとつひとつが印象に残っています。中でも、ご自身の暮らし方が子育てにも影響しているという暮らしぶりには驚きと憧れを抱きました。上越の冬は三メートル近くの雪に閉ざされます。父親である天明さんが除雪をしなければ、家族は外にでることもできません。親の背中をみて、子どもたちは自ずと親や大人を尊敬します。近隣にはいつでも、何でも買うことができるようなお店はありません。おなかがすけば自分で調達しなければならない。家族が協力しなければ生き残れない過酷な生活条件だと、自らいいます。だからこそ、家族も農作業や農産加工を積極的に手伝います。都会で暮らす親なら、子どもに経験させたいと思うような場面が、天明家では普段の生活の中にあります。昔は地域資源を使った豊かな暮らしが村にはあったそうです。循環して使い続けることのできる資源を、有効に活用する暮らしを見直すべきではないか。そんな暮らしの実践を試みる親の背中をみて育つ子どもたち。厳しい環境でも子育てには良い影響を与えられる暮らしだとお話されました。
 本交流会へは四回目の参加になりますが、その度に多くの人々と出会い、新しい考え方やものの見方を学びます。BMW技術は生産者だけでなく、消費者そして両者をつなぐ流通業者など、様々な分野の人が関わります。そして長年にわたり取り組まれてきた苦労と実績の歴史があります。現代を生きる者同士の横のつながり、先人たちから未来を担う若手への縦のつながり、BMW技術を通したネットワークは四方へと広がっています。私は生協の若手という立場で加わっています。出会った方々とのネットワークを活かし、自身ができることを模索し、行動に移していきたいと改めて思いました。

Author 事務局 : 2014年01月01日18:41

【AQUA261号】西日本エリアのプラント会員を訪問しました

西日本エリアのプラント会員を、西日本BMW技術協会事務局と訪問しました。

  一一月一九日に、福岡県飯塚市の㈲畠中育雛場の分場「嘉穂の里農場」で飲水改善施設の導入について、プラント設備の詳細と設置場所の確認を行ってきました。畠中育雛場の本社農場には、飲水改善施設は設置されていますが、平成二〇年に分場へのプラント導入の計画があり五トンホーロータンクでの設置を進めていましたが事情により中断していました。今回の打ち合わせでは、タンクの利用はやめて土木槽の設置で導入を進めています。
 二〇日には、熊本県御船町の清村養豚に伺い既設の簡易尿処理施設の処理能力の増強の設備工事について、現場の確認と工事について打ち合わせてきました。
 平成一三年に既設の処理施設が稼働を始めましたが、簡易尿処理水の利用量の増加などで当初計画から施設の容量が不足してきていました。そこで新たに曝気槽の増設を行い、処理設備も補強することになりました。当日はスクリーン装置の設置や流量計量槽、汚泥分配槽、エアリフトポンプ、散気管等の設置について説明と打合せを行いました。一二月下旬には稼働を始める予定です。
 このほか、西日本エリアでは宮崎県綾豚会の五人の生産者に、飲水改善施設、生物活性水施設の導入が控えています。
 また、北海道根釧地区をはじめ、山梨県、フィリピンネグロス島などで新たに飲水改善施設や生物活性水施設のプラント導入が計画されています。
  (報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2014年01月01日18:39

 
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