【AQUA280号】西日本BMW技術協会総会と研修会が開催

西日本BMW技術協会総会と研修会が、長崎県雲仙市・南島原市を会場に開催されました

報告:西日本BMW技術協会    事務局 宮﨑 利明

 研修会は現地研修会として産直南島原の生産者の堆肥場視察、座学としてBMW技術について、という二つの関連したテーマで行われました。参加者は四二名でした。
 AQUA二七五号で報告したように産直南島原の生産者六名のうち四名が生物活性水を活用して堆肥作りをしており、佐賀県唐津市の中村養豚場の尿から作った生物活性水を活用しています。四名の生産者は、主にバレイショ・玉ねぎを作っています。耕作面積は概ね四ha〜六haですが、バレイショを年に二回作付けするので延べ耕作面積は七ha〜一〇haです。個人の作付面積としてはかなり広いので、それぞれが堆肥場を持っています。
 堆肥は近隣のブロイラー農場の鶏糞を原料に、別に用意した稲藁を刻んだものを混ぜて発酵させています。生物活性水は二年程前から使っていたのですが、今年一月から家庭用トイレの煙突換気扇を使うことにより、発酵をスムーズにするという取組みをしており、この堆肥場の視察を研修として行うことにしました。
 この方法は、堆肥場で空気を下から送るブロアがあれば良いのですが小規模だとなかなかそうもいかず、発酵が表面の空気が行き来するエリアしかうまく行かないという問題を、下のほうだけ穴を開けた煙突換気扇で解決するというものです。

現地研修の下打ち合わせ
 六月一九日当日、研修会は午後からですので、生産者と一緒に下見をすることになりました。四人のうち、一番うまく出来ている生産者の堆肥場を最後にして、「このようにうまく行きます」という予定で、四人の堆肥場を見て回りました。代表の林田康一さんは当然自分の堆肥場が一番うまく行っているつもりでした。林田さんの堆肥場は一ヶ月ほど前に見たときと比べると堆肥の山も随分凹んで状態は良くなっていました。ところが山田始さんの堆肥場に行って見ると全然臭いがしないし、スコップで少し掘り返してみると放線菌と思われるもので真っ白になっています。
――林田さん、これは良い状態ですね。
林田:山田がタバコの灰を持ってきて撒いたのだと思います。
 タバコの白い灰を撒いた状態にそっくりではありましたが、林田康一さんは山田さんの堆肥がうまく行っているのがよっぽど悔しかったのか、なかなか事実を認めようとしません。でも順番は一番うまく行っている山田さんの堆肥場を最後にすることにしました。

現地研修
 午後一時半に研修会(座学)・総会の会場でもある休暇村雲仙に全員集合し、約一〇台の車に分乗して出発です。
 最初に林田裕一さんの堆肥場です。四人の中では堆肥場の規模が一番大きく、六本の煙突が立っていました。林田裕一さんは近隣のブロイラー農場から持ってきた敷き料に稲藁を切ったものと米ぬかを混ぜて発酵させるという仕組みです。切り返してあまり時間が経っていないので臭いはきつかったのですが、発酵に向かうような臭いでした。ただし堆肥場の外に一時保管している堆肥は雨続きでちょっと臭いがきついという感じです。
 次に林田康一さんの堆肥場です。煙突が二本立っています。状態は随分良く、スコップで切り返してみても臭いの状態も良く、一部に放線菌も見ることが出来ました。
 三人目は竹下浩二さんの堆肥場です。竹下さんの堆肥場はもともと電気が引けていませんでしたので、煙突が立てられませんでした。ちょうどこの日に電気が通じたということですが、煙突は立っておらず、従来のやり方ということになります。それでも堆肥の状態はある程度のレベルになっているという様子でした。
 最後はもちろん山田始さんの堆肥場です。早速スコップで掘り返してみます。真っ白な状態です。正面から掘り返したらかなり下まで放線菌で白い状態です。横から掘ると五〇cmくらいまで白い状態で、その下も状態はとてもよい感じでした。参加されている大矢野原農場の日永幸介さんは普段から若鶏の敷き料を発酵して堆肥化する作業をしているのですが、「この状態はとても良い。自分の農場の堆肥場でもめったにこんな状態にはならない」ということです。
 以上、現地研修は有終の美で終了しました。

BMW技術の基礎講座
 会場を休暇村雲仙の会議室に移してBMW技術基礎講座です。講師はBMW技術協会事務局長秋山澄兄さんにお願いしました。
 今回は現地産直南島原の生産者がご夫妻で参加されていることもあり、基礎を丁寧に説明するとともに、家庭でのBMW技術の活用の話もありました。
 BMW技術の基本、BMW技術の始まり、水、岩石についてなどの基礎を話した上で、畜産のBMプラントでどんなことをしているのかを飲水や尿処理などを具体的に、耕種農業ではどんなことをしているのかを堆肥作りや生物活性水プラントなどを実例に話されました。そして家庭での活用、BM菌体を生ゴミ処理に使う、生物活性水を消臭や生花を長持ちさせるのに使えるなどの話もありました。
 それからBMW技術の活用として野菜で使うときの具体的な方法の説明がありました。播種前の圃場への散布、種の浸漬、苗作りへの活用、葉面散布、など。葉野菜の葉肉が厚くなる、果菜類の着果が良くなる、根張りがよくなる、そして収穫量が増える、出荷率が良くなるなどの効果を具体的な作物で説明していただきました。
 最後に、今回前日に巡回点検したBMプラントでリアクター塔のペレットと岩石(軽石)が適切に使われていない事例があったので、図で説明しながらリアクター塔の管理について説明がありました。

堆肥の作り方について意見交換
 堆肥については、現地研修で視察した産直南島原の山田始さんに出来上がりについて意見をいただくことにしました。
山田:堆肥は二割程度を残しながら次の堆肥の発酵を始めています。今回の出来上がりについては、自分でも現状については、びっくりしています。これからも工夫しながらやって行きたいと思います。
 続いて、養鶏場で今回の煙突を使った敷き料の発酵に取り組んでこられた大矢野原農場の日永幸介さんに、現在の様子などをお聞きしました。
日永:敷き料を堆積して煙突でエアを抜く方法で約一年ほどやってきました。結果はとても良かったのですが、次の雛が入ってくるまでの休舎期間が二五日程度しかなく、発酵に少しムラが出て来るので、思い切って堆肥場に移して本格的に発酵して戻す方法に最近変えました。堆肥場で籾殻で調整しながら進めており、今のところうまく行っています。
 参加者からの質問を受けることにしました。ヨコテ養鶏場の横手俊郎さんから質問がありました。
横手:敷き料を堆積発酵にして、コクシジウムはどうですか。
日永:コクシジウムは無くなりました。大腸菌も減りました。それでコクシジウム対策の薬剤は半分で済むようになりました。
 研修会には、BMW技術で作った堆肥の見本として、米沢郷牧場、黒富士農場、夢産地とさやま開発公社、南阿蘇村の堆肥、それから大矢野原農場の発酵させた敷き料を用意して、参加者に確認してもらいました。
 以上でBMW技術研修会を終了しました。

西日本BMW技術協会
  第23期総会が開催されました
 総会は四二名の出席で、理事の緒方利光氏の司会、会長の浦克稔氏が議長をして進行しました。
 最初に会長挨拶として、浦会長からは、農業を取り巻く状況は厳しく、特に畜産では鳥インフルエンザや豚のPED(豚流行性下痢)などもあり大変な状況である、こうした中でもBMW技術の普及が少しでも進むようにみんなで頑張って行きたいという挨拶がありました。
 次に研修の講師として臨席いただいていたBMW技術協会事務局長の秋山澄兄氏より来賓の挨拶をいただきました。秋山氏からはBMW技術協会の中にいくつか地域支部があるが、その中でも西日本BMW技術協会が最大の組織であり、その動向は大きな影響がある、ここ数年BMプラントの巡回点検が進められるなど活動も活発に行われている、今後とも共に頑張って行きたい、との挨拶をいただきました。
 続いて議事に入り、活動報告では、生物活性水の供給が三六トン程度になっていること、プラント巡回については畜産の病気などを配慮しながら最低限の巡回を進めてきたこと、機関紙AQUAの記事に西日本BMW技術協会の活動を積極的に掲載することを通じて会員に活動を周知することにした、という報告がありました。会計報告では実収入五六万円、経費は六一万円程度、繰越金としては六一万円になることが報告されました。監査報告も受けて、拍手で承認されました。
 続いて活動方針として、BMW技術の普及を図ること、BMプラントの巡回点検を畜産農場については農場の外に持参いただいて計測や様子を確認すること、BMプラントを持っていない会員も極力巡回する、生物活性水の価格は引き続き普及を目指すように半額助成を続けることを提案しました。拍手で承認されました。
 その後、みんなで懇親会をし、更に交流を深めました。

Author 事務局 : 2015年08月01日12:19

【AQUA280号】マイペース酪農交流会

 六月一七日、北海道中標津町三友牧場にてマイペース酪農と酪農適塾の「酪農交流会」が開催されました。
 約五〇名が参加して、三友牧場の放牧地を巡り、牧草だけを食べる牛のする糞の状態やその牛糞で作られた堆肥の状態などを見学しました。昼食会では、参加者の近況や規模拡大型酪農との営農実績比較について発表もありました。取材で根釧地域を訪問していたBMW技術協会事務局の秋山澄兄と井上忠彦も参加し、マイペース酪農の方々と一緒に学習、交流をしました。
  (報告:BMW技術協会事務局)

Author 事務局 : 2015年08月01日12:18

【AQUA280号】西日本BMW技術協会会員のBMプラント巡回・会員訪問

報告:西日本BMW技術協会事務局 宮﨑利明

 西日本BMW技術協会では三年ほど前からBMプラント巡回を行ってきました。ところが一昨年秋以降のPED(豚流行性下痢)の蔓延と従来からの鳥インフルエンザにより、昨年一年間は思うようにプラント巡回が出来ませんでした。
 そこで今年度は、畜産生産者のプラント訪問に関しては、生産者の意向を確認しながら、可能な範囲で巡回することにしました。方針は以下の通りです。
・畜産関係以外の耕種農家や南阿蘇村のような立地のプラントは巡回対象とする。
・飲水改善だけの畜産関係会員のプラントは巡回対象としない。会員からの希望があれば巡回する。
・畜産関係は、生物活性水プラントと尿処理プラントを巡回対象として、生産者がBMプラントのそばまで行って良いということであれば、直接点検する。そうでない場合は、近くに出向いて「プラントの水」を持参いただき必要な計測を行ない、状況を確認する。
 以下のBMプラント巡回と会員訪問は、BMW技術協会の秋山澄兄事務局長と西日本BMW技術協会事務局の宮﨑と秦の三名で訪問しました。

六月一三日…佐賀県武雄市の紅会川口養豚場を訪問しました。
 川口養豚場は母豚三七〇頭の農場です。通常の飲水改善のBMプラントが導入されており、尿はラグーンで処理されています。このラグーンの処理水を原料に生物活性水プラントを作るということで準備されていました。ホウロウの五トンタンク四基は川口尚幸さんが繋いだということで、システムとしては良く出来ていました。私たちが訪問したときは全体に通水して数日しか経っていなかったので、生物活性水の出来上がりの完成度は今ひとつという感じでしたが、一ヶ月くらい経過するとうまく行くのではないかということで相談しました。
 岩石をもう少し入れるということで様子を見た上で、一ヵ月後くらいの生物活性水を西日本BMW技術協会事務局に送っていただいて必要な計測などを行うことにしました。

六月一八日…熊本県の四つの会員のBMプラントを巡回しました。
●南阿蘇村有機肥料生産センター
 堆肥センターでは、生物活性水プラントで作った生物活性水を使って堆肥を作っています。生物活性水プラントはホウロウの五トンタンクを六基です。堆肥は、あか牛の肥育農場の敷き料を受け入れて作っています。年間二〇〇〇トンくらいの敷き料を受け入れ、堆肥としては約一〇〇〇トンくらい生産しているそうです。受け入れた敷き料に出来上がった堆肥を戻し堆肥として混合し、約一ヶ月間切返しで発酵させ、それから下からエアを送れるエリアで約一週間発酵、そして攪拌発酵槽のラインに流して約一ヶ月、合わせて最低二ヶ月発酵させるということです。時期によってはもう少し時間をかけて発酵させるということです。
 いつものように、プラント巡回に合わせて、半年に一度のリアクター塔の岩石とペレットの交換ということで準備されていました。みんなが見守る中で岩石とペレットを交換し、一槽目のタンクに沈めました。それから堆肥の交換ということで新しい堆肥五kg×二〇個の袋も交換しました。いつもどおり手馴れたものです。
 この時期、春先に生産者が堆肥を搬出したので、堆肥場のラインは半分くらいしか残っていませんでした。秋に向けて順次増えていくそうです。
 生物活性水の測定値や様子もとてもよく、堆肥の出来上がりもとても良い状態でした。研修会に使う堆肥の見本を少しいただきました。
●大矢野原農場
 大矢野原農場では、敷き料を堆積発酵するということで、現在堆肥場にあるBMプラントを移設する相談をする予定で訪問しました。
 最初に事務所で、「実は」ということで以下のような話をいただきました。
・敷き料の堆積発酵はとてもうまく行っていた。
・でも、段々とチップが発酵して鶏の糞の比率が高くなって、敷き料が硬くなっていくということで困ってきた。
・また、休舎期間が二五日しかないので、鶏の羽の芯の部分が完全に発酵しないことがあり、マレック病を根絶できない。
・堆肥場で一括して処理した方が物理的に対応しやすい。
 ということで敷き料の発酵をさせて再度敷き料として使うために、従来使っていた堆肥場を活用することにした。ついてはBMプラント(生物活性水プラント)は移設せずそのままとしたい、ということでした。
 事情がよく分かりましたので、そのことを前提に必要な点検を行うことにしました。
 堆肥場の敷き料は実に良く発酵しており、そのまま使える堆肥そのものでした。従来の堆肥場が活用できるということ、生物活性水プラントも運用方法について改めて相談しました。敷き料がうまく発酵しているので生物活性水プラントの状態もとても良いものでした。プラントは八槽あるので、そのうち二〜三槽を区切って堆肥場に散布する生物活性水を希釈する槽として使う相談をしました。
 また、リアクター塔の使い方を確認したところ、少し誤解がありましたので改めて適正になるように確認しました。
●清村養豚場
 清村養豚場は、雨上がりで前回訪問した時よりも状態が若干悪いようでした。それでもばっ気槽を増やして固液分離器を設置する前よりもとてもよい状態で、臭いも気になりません。
 前回までの巡回で、沈殿槽が小さいことが気になっていましたので、沈殿槽の次のばっ気槽のブロアを止めて沈殿槽を補助できないかを試してもらうことにしました。巡回中にブロアを止めてある程度の効果があるのではないかという推定は出来ましたが、汚泥が配管の目詰まりを起こさないかが気になるので、注意深く見守ってもらうことにしました。
 翌日、総会でお会いした時に曝気槽の様子を聞いたところ、配管が詰まらないよう定期的にブロアを動かしているが、ブロアを止めたことで汚泥の戻しが順調になっているとの事でした。

●サンファーム
 サンファームは、農場外で生物活性水プラントの水を持参いただいて測定し、意見交換をすることを希望されましたので、事務所で測定・協議しました。
 生物活性水プラントは五槽ですので、一・三・五(最終)槽の三つを用意していただきました。計測数値に特に問題もなく、また生物活性水の状態もとても良いものでした。
 前述の大矢野原農場でのやり取りがありましたので、リアクター塔の使い方を確認したところ、少し誤解がありましたので改めて適正になるように確認しました。

六月二〇日…佐賀県唐津市の農援隊を訪問しました。
 農援隊代表の浦田親さんのミニトマトのハウスに、浦田さんと出 雅仁さん、吉田賢二さんに集まっていただきました。農援隊でグリーンコープに出荷しているのはミニトマト・アスパラガス・いちご・青シソだそうです。皆さん紅会の中村さん・野口さんの堆肥や生物活性水・尿処理水を使っているということでした。
 浦田さんは野口さんの堆肥と中村さんの生物活性水を使っているということです。定植前の圃場に尿処理水を原液で使い、定植後は潅水におよそ五〇〇倍程度に希釈して使っているということです。ハウスでは昨年の八月〜九月定植のミニトマトがまだ元気に実を成らせていました。面白い使い方としては、途中で挿し木にする必要がある場合には尿処理水に漬けて挿すと活着率が高くなるということでした。
 出さんはいちごを作っています。品種は「さがほのか」でシーズンを通して花が七回ほど付くそうです。堆肥は使わず、中村さんの生物活性水を一〇倍に希釈して使っているということです。出さんは「上手な人は一〇回くらい花を付ける人がいるが、自分のような素人が七回も出来るのはBMW技術のおかげである」ということでした。また、生物活性水を使うことにより、うどん粉病も防げるし、糖度も上がるということでした。
 吉田さんは紅会の野口さんの堆肥と尿処理水を使っており、アスパラガスには一棟に堆肥を二〇トン、尿処理水の原液を土壌潅注しているということでした。現在は栽培しているのは、グリーンアスパラガスのみですが、空いている単棟ハウスが二棟あるので、ミニトマトを栽培する予定で、具体的なやり方について浦田さんと話が盛り上がりました。
 皆さん、BMW技術について自信を持っているという感じでした。

Author 事務局 : 2015年08月01日12:17

【AQUA280号】国内のプラント動向

 さいたま市岩槻区にあるパルシステム連合会の岩槻センターに設置している中水利用処理施設の定期点検を実施しました。この施設は、配送センターから排出される雑排水(トイレや洗面所)とセンター内にあるパン工場から出る器具の洗浄水が一次処理施設(合併浄化槽)で処理されたものを、二次処理施設であるBMWプラントでトイレの流し水として再利用できるようにするプラントです。定期点検は三ヶ月ごとに実施しています。
 同じく中水利用処理施設のパルシステム埼玉の蕨、白岡、三芳の各配送センターにも設置してあり、こちらも定期点検を実施しました。
 また、埼玉県の生活クラブたまごの深谷市、毛呂山町二ケ所の農場で、飲水改善施設でリアクターシステムの充填材交換などプラント定期点検を実施しました。

 新潟県胎内市のナカショク中条農場で、生物活性水プラントの点検調整を実施しました。また生物活性水をオールアウト後の畜舎の洗浄のときに添加しているので、畜舎の消臭効果をみるため、臭気強度の測定も継続しています。
     (報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2015年08月01日12:15

 
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