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2015年08月01日

【AQUA280号】西日本BMW技術協会総会と研修会が開催

西日本BMW技術協会総会と研修会が、長崎県雲仙市・南島原市を会場に開催されました

報告:西日本BMW技術協会    事務局 宮﨑 利明

 研修会は現地研修会として産直南島原の生産者の堆肥場視察、座学としてBMW技術について、という二つの関連したテーマで行われました。参加者は四二名でした。
 AQUA二七五号で報告したように産直南島原の生産者六名のうち四名が生物活性水を活用して堆肥作りをしており、佐賀県唐津市の中村養豚場の尿から作った生物活性水を活用しています。四名の生産者は、主にバレイショ・玉ねぎを作っています。耕作面積は概ね四ha〜六haですが、バレイショを年に二回作付けするので延べ耕作面積は七ha〜一〇haです。個人の作付面積としてはかなり広いので、それぞれが堆肥場を持っています。
 堆肥は近隣のブロイラー農場の鶏糞を原料に、別に用意した稲藁を刻んだものを混ぜて発酵させています。生物活性水は二年程前から使っていたのですが、今年一月から家庭用トイレの煙突換気扇を使うことにより、発酵をスムーズにするという取組みをしており、この堆肥場の視察を研修として行うことにしました。
 この方法は、堆肥場で空気を下から送るブロアがあれば良いのですが小規模だとなかなかそうもいかず、発酵が表面の空気が行き来するエリアしかうまく行かないという問題を、下のほうだけ穴を開けた煙突換気扇で解決するというものです。

現地研修の下打ち合わせ
 六月一九日当日、研修会は午後からですので、生産者と一緒に下見をすることになりました。四人のうち、一番うまく出来ている生産者の堆肥場を最後にして、「このようにうまく行きます」という予定で、四人の堆肥場を見て回りました。代表の林田康一さんは当然自分の堆肥場が一番うまく行っているつもりでした。林田さんの堆肥場は一ヶ月ほど前に見たときと比べると堆肥の山も随分凹んで状態は良くなっていました。ところが山田始さんの堆肥場に行って見ると全然臭いがしないし、スコップで少し掘り返してみると放線菌と思われるもので真っ白になっています。
――林田さん、これは良い状態ですね。
林田:山田がタバコの灰を持ってきて撒いたのだと思います。
 タバコの白い灰を撒いた状態にそっくりではありましたが、林田康一さんは山田さんの堆肥がうまく行っているのがよっぽど悔しかったのか、なかなか事実を認めようとしません。でも順番は一番うまく行っている山田さんの堆肥場を最後にすることにしました。

現地研修
 午後一時半に研修会(座学)・総会の会場でもある休暇村雲仙に全員集合し、約一〇台の車に分乗して出発です。
 最初に林田裕一さんの堆肥場です。四人の中では堆肥場の規模が一番大きく、六本の煙突が立っていました。林田裕一さんは近隣のブロイラー農場から持ってきた敷き料に稲藁を切ったものと米ぬかを混ぜて発酵させるという仕組みです。切り返してあまり時間が経っていないので臭いはきつかったのですが、発酵に向かうような臭いでした。ただし堆肥場の外に一時保管している堆肥は雨続きでちょっと臭いがきついという感じです。
 次に林田康一さんの堆肥場です。煙突が二本立っています。状態は随分良く、スコップで切り返してみても臭いの状態も良く、一部に放線菌も見ることが出来ました。
 三人目は竹下浩二さんの堆肥場です。竹下さんの堆肥場はもともと電気が引けていませんでしたので、煙突が立てられませんでした。ちょうどこの日に電気が通じたということですが、煙突は立っておらず、従来のやり方ということになります。それでも堆肥の状態はある程度のレベルになっているという様子でした。
 最後はもちろん山田始さんの堆肥場です。早速スコップで掘り返してみます。真っ白な状態です。正面から掘り返したらかなり下まで放線菌で白い状態です。横から掘ると五〇cmくらいまで白い状態で、その下も状態はとてもよい感じでした。参加されている大矢野原農場の日永幸介さんは普段から若鶏の敷き料を発酵して堆肥化する作業をしているのですが、「この状態はとても良い。自分の農場の堆肥場でもめったにこんな状態にはならない」ということです。
 以上、現地研修は有終の美で終了しました。

BMW技術の基礎講座
 会場を休暇村雲仙の会議室に移してBMW技術基礎講座です。講師はBMW技術協会事務局長秋山澄兄さんにお願いしました。
 今回は現地産直南島原の生産者がご夫妻で参加されていることもあり、基礎を丁寧に説明するとともに、家庭でのBMW技術の活用の話もありました。
 BMW技術の基本、BMW技術の始まり、水、岩石についてなどの基礎を話した上で、畜産のBMプラントでどんなことをしているのかを飲水や尿処理などを具体的に、耕種農業ではどんなことをしているのかを堆肥作りや生物活性水プラントなどを実例に話されました。そして家庭での活用、BM菌体を生ゴミ処理に使う、生物活性水を消臭や生花を長持ちさせるのに使えるなどの話もありました。
 それからBMW技術の活用として野菜で使うときの具体的な方法の説明がありました。播種前の圃場への散布、種の浸漬、苗作りへの活用、葉面散布、など。葉野菜の葉肉が厚くなる、果菜類の着果が良くなる、根張りがよくなる、そして収穫量が増える、出荷率が良くなるなどの効果を具体的な作物で説明していただきました。
 最後に、今回前日に巡回点検したBMプラントでリアクター塔のペレットと岩石(軽石)が適切に使われていない事例があったので、図で説明しながらリアクター塔の管理について説明がありました。

堆肥の作り方について意見交換
 堆肥については、現地研修で視察した産直南島原の山田始さんに出来上がりについて意見をいただくことにしました。
山田:堆肥は二割程度を残しながら次の堆肥の発酵を始めています。今回の出来上がりについては、自分でも現状については、びっくりしています。これからも工夫しながらやって行きたいと思います。
 続いて、養鶏場で今回の煙突を使った敷き料の発酵に取り組んでこられた大矢野原農場の日永幸介さんに、現在の様子などをお聞きしました。
日永:敷き料を堆積して煙突でエアを抜く方法で約一年ほどやってきました。結果はとても良かったのですが、次の雛が入ってくるまでの休舎期間が二五日程度しかなく、発酵に少しムラが出て来るので、思い切って堆肥場に移して本格的に発酵して戻す方法に最近変えました。堆肥場で籾殻で調整しながら進めており、今のところうまく行っています。
 参加者からの質問を受けることにしました。ヨコテ養鶏場の横手俊郎さんから質問がありました。
横手:敷き料を堆積発酵にして、コクシジウムはどうですか。
日永:コクシジウムは無くなりました。大腸菌も減りました。それでコクシジウム対策の薬剤は半分で済むようになりました。
 研修会には、BMW技術で作った堆肥の見本として、米沢郷牧場、黒富士農場、夢産地とさやま開発公社、南阿蘇村の堆肥、それから大矢野原農場の発酵させた敷き料を用意して、参加者に確認してもらいました。
 以上でBMW技術研修会を終了しました。

西日本BMW技術協会
  第23期総会が開催されました
 総会は四二名の出席で、理事の緒方利光氏の司会、会長の浦克稔氏が議長をして進行しました。
 最初に会長挨拶として、浦会長からは、農業を取り巻く状況は厳しく、特に畜産では鳥インフルエンザや豚のPED(豚流行性下痢)などもあり大変な状況である、こうした中でもBMW技術の普及が少しでも進むようにみんなで頑張って行きたいという挨拶がありました。
 次に研修の講師として臨席いただいていたBMW技術協会事務局長の秋山澄兄氏より来賓の挨拶をいただきました。秋山氏からはBMW技術協会の中にいくつか地域支部があるが、その中でも西日本BMW技術協会が最大の組織であり、その動向は大きな影響がある、ここ数年BMプラントの巡回点検が進められるなど活動も活発に行われている、今後とも共に頑張って行きたい、との挨拶をいただきました。
 続いて議事に入り、活動報告では、生物活性水の供給が三六トン程度になっていること、プラント巡回については畜産の病気などを配慮しながら最低限の巡回を進めてきたこと、機関紙AQUAの記事に西日本BMW技術協会の活動を積極的に掲載することを通じて会員に活動を周知することにした、という報告がありました。会計報告では実収入五六万円、経費は六一万円程度、繰越金としては六一万円になることが報告されました。監査報告も受けて、拍手で承認されました。
 続いて活動方針として、BMW技術の普及を図ること、BMプラントの巡回点検を畜産農場については農場の外に持参いただいて計測や様子を確認すること、BMプラントを持っていない会員も極力巡回する、生物活性水の価格は引き続き普及を目指すように半額助成を続けることを提案しました。拍手で承認されました。
 その後、みんなで懇親会をし、更に交流を深めました。

Author 事務局 : 2015年08月01日 12:19

 
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