【AQUA259号】第23回「BMW技術全国交流会」に向って

 第二三回BMW技術全国交流会が「食と農の絆〜見つめよう、人・地域・暮らし・生き物とのつながりを、未来は今、はじまっている」をテーマに一一月八日〜九日(一部視察は一〇日まで)の二日間、新潟県新発田市月岡温泉で開催されます。
 開催まで残り一ヶ月をきり、実行委員会では準備の詰めの段階に入り、皆さんを受け入れる体制を整えています。
 これからの有機農業の未来、人々の暮らし、そしてBMW技術をベースにした自然循環システム(社会・地域)の創造を考え、この危うい日本の危機的状況の中、皆で未来を明るく歩いて行けるような、力強い情熱と創造が溢れ出るような交流会になることを願っています。

◆基調報告:
『BMW技術の基礎
〜BMW技術協会の活動報告』
BMW技術協会理事長  伊藤 幸蔵
◆基調講演:
『阿賀野川流域の岩石と水とミネラルの循環』
  岡山大学地球物質科学研究センター准教授
奥地 拓生
◆新潟開催記念パネルディスカッション
『食と農の絆』
コーディネーター:山本伸司(BMW技術協会
相談役・パルシステム連合会理事長)
パネラー:
天明 伸浩(星の谷ファーム)
峯村 正文(全国交流会実行委員長・謙信の郷)
石塚 美津夫(NPO法人食農ネットささかみ理事長)
金谷 武志(謙信の郷)
伊藤 幸蔵(BMW技術協会理事長・米沢郷牧場代表)
野々山 理恵子
    (生活協同組合パルシステム東京理事長)

◆生物活性水を利用した実験発表・事例報告
〈実験発表〉
・稲作:大郷グリーンファーマーズ西塚 忠樹(宮城BM技術協会/宮城県)
・稲作:謙信の郷   富永 暁 (新潟県)
・野菜:夢産地とさやま開発公社 鈴木 弘毅
  (高知県)
・果樹:米沢郷牧場グループ 横山 裕一
(山形県)
・果樹:萩原フルーツ農園  萩原 貴司
   (やまなし自然塾/山梨県)
・果樹:山梨大学生命環境学部 教授 御園生拓 (やまなし自然塾/山梨県)
・畜産:黒富士農場  向山 洋平
   (やまなし自然塾/山梨県)
・畜産:米沢郷牧場 石川 公士 (山形県)
〈事例発表〉
・野菜:謙信の郷 山崎雄太・龍幸(新潟県)
・堆肥:笹神ゆうきセンター 田中 政喜
(JAささかみ/新潟県)
(第二三回BMW技術全国交流会実行委員会事務局)

Author 事務局 : 2013年11月01日20:41

【AQUA259号】第7回BMW技術基礎セミナーが開催

第7回BMW技術基礎セミナーが開催されました
「近年の日本気象」と「月暦」をテーマに37名が参加


 第七回BMW技術基礎セミナーが九月一四日に開催されました。セミナーは一五日(視察)も含めて二日間の予定でしたが、台風一八号による大雨の影響で、二日目の視察は中止となり、一日のみの開催となりました。
 会場は、東京・市ヶ谷のTKPカンファレンスセンター会議室、参加人数は三七名、終了後の懇親会には三〇名が参加しました。参加者はポークランドグループ、米沢郷牧場グループ、和郷園、やまなし自然塾、らでぃっしゅぼーや、APLA、ATJ、大川村などです。
 今回は「日本の気象状況」「月と農」と題した二つの講演と、各地の異常気象による作物の状況、そして第二三回BMW技術全国交流会の発表へ向けての途中経過報告がおこなわれました。

一、講演①『異常気象、日本の気象変動』
講師:日本気象協会 気象予報士 鈴木 和史 氏

 気象庁では、「過去三〇年の気候に対して著しい偏りを示した天候」を異常気象と定義しているが、日本に台風が一〇個上陸した二〇〇四年頃から異常気象という言葉が皆さんの間でも頻繁に使われるようになってきたかと思います。二〇〇七年の最高気温更新、西日本の渇水や二〇〇八年のいわゆるゲリラ豪雨の多発から、近年は冬の低温・大雪、夏の高温・局地的豪雨などが続いている。
 異常気象を引き起こす現象として、(※注)北極振動、チベット高気圧、太平洋高気圧、エルニーニョ、ラニーニャの頻発化、海面水温の上昇などがあげられる。これらの現象が複雑に絡み合った結果が異常気象の原因となっている。地球の温暖化について『温暖化』と言い切れない部分もあるが、間違いなく地球全体の二酸化炭素濃度、海面水温は上昇している。これまで地球の気象は変動し続けながらも、ある程度のバランスを取り続けてきたのではないかと、急激な環境破壊や自然破壊によってそのバランスが崩れてしまい、地球温暖化を含む異常気象と言う状態が現況であると考えられる。
 今後の日本の雨や雪の全体降雨(雪)量はさほど変化はないと思われる。ただ、局地的に多い場所と、局地的に少ない場所との差が出てくるのではないかと予想される。気温も同じと考えられる。
    (注)図解参照(気象協会の資料から)

ニ、各生産地の状況
 宮城BM技術協会、西塚忠樹氏から「昨年は稲作において高温障害に泣かされました。今年はその対策含めて、生物活性水を使用した実験を始めていましたが、七月は低温で日照はたったの四日、いもち病が大発生してしまった。八月に入っていくらか取り戻せた感じはあったが、実際には二週間ぐらいしか日照がなかった」。
 米沢郷牧場グループの横山裕一氏からは「果樹ですが、越冬期、いわゆる冬眠に入っていると思うのですが、二月ぐらいに少し暖かい日があって、その影響から木が目覚めてしまったのか、土から水分や養分を吸ってしまった可能性がある。それがまた急激に冬に戻り、幹の中で凍結してしまったようで、春になって木割れをおこし、大きな被害を出している農地もあります。」など、他にも千葉やフィリピン、インドネシアの状況なども報告された。
  
三、講演②『月と農』
  講師:月と太陽の暦制作室 志賀 勝 氏

 三日月から始まって上弦、満月、下弦と、月は規則正しく地球の周りを平均二九・五日のサイクルで一周しています。「ひと月」というのは古くからこのサイクルをいう言葉で、月暦はこの月のリズムをもとに作られているものです。月は生命のリズムに深く関わっていますから、出産関係者、農業・漁業などすべての職業にわたり、老若男女世代を問わず利用されているのがこの月暦です。
 西暦(新暦)は太陽だけで成り立つ暦ですが、「月と季節の暦」は月のリズムをもとにした月暦で、旧暦とか陰暦といわれるものとおなじです。月だけでこの暦は成り立っているかというと、全然違います。立春、春分、夏至ということばをご存知でしょうが、これらは二十四節気といわれる、太陽の位置を示す二四の節目です。月暦にはこの二十四節気がかならず入っています。ということは月と太陽の両方から成る暦(だから太陰太陽暦です)であって、実際月暦の新年は立春(太陽の節目)に一番近い新月を正月一日(ついたち)とすることになっていて、わたしたちに最も身近な天体の月と太陽の両方が分かる便利なもの。こんな素晴らしい暦をなぜ日本人は捨ててしまったのでしょう?西暦導入はまさに、アメリカ(ヨーロッパ)型農業の導入と同じ様に日本本来の農文化を消してしまったのではないかと。
 西暦で三月から五月までが春というような季節感はとっても杜撰(ずさん)。実感として春は二月中に始まりますし、最も寒冷な大寒時期を経て、立春前後にわたしたちはほんとうはその変化をキャッチしているものです。梅は咲くし、ウグイスは鳴くし。日本列島に生活した人びとは兆しというものにとても敏感でしたし、耳を澄ましてそれを探ろうとしたものです。二十四節気は、そういう細やかな変化を知らせる太陽のリズムを表現したもの。よく天気予報で「暦では春だが…」といった決まり文句を聞きますが、季節の推移をおしえてくれるのが暦であって、そうでなかったら必要ないはずです。
  
四、第二三回「BMW技術全国交流会」
  に向けて
 野菜、果樹、稲作、畜産、生活の各部門より実験経過報告、発表の内容等の報告が行われた。天候に左右されているところや、結果がはっきりと出ていないところもあるが、実験を継続していくことを重視して交流会に向けて発表資料を作成していくとのこと。
 また、果樹、畜産では面白い結果も出ている部分もあるとのことで、交流会では期待できるのではないかとの声もあった。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2013年11月01日20:40

【AQUA259号】国内プラント定期点検

①埼玉県〜パルシステム連合会
岩槻センターの中水利用プラント補修工事
 九月五〜六日の二日間、このプラントが稼働を始めてから一二年経って初めての大がかりな補修工事が行われました。工事内容は曝気用の散気管二六本の取り替え作業と底に溜まった汚泥の引き抜きです。このプラントは六〇tの接触曝気槽と曝気槽①、②とあわせて三槽、二〇tの自然石槽が二槽のコンクリート槽です。
 槽内での作業になるので、はじめに第一槽から六〇トンの水を抜いてから槽内の酸素濃度を計測します。安全を確認したうえに、思わぬ事故に備えて更に電動ファンで、槽内へ空気を送りながらの作業となりました。第一槽目の一二本の交換が終わり、第二槽目の水を第一槽に移して、再度一二本の散気管を交換、更に第三槽も同じ作業を繰り返し、二日間で補修工事を完了しました。工事完了後ブロアを稼働させ、散気管からの曝気状況を確認しました。

②宮崎県〜BMWプラント導入現地調査
 九月一七日、台風一八号の影響で宮崎行きの便が欠航となり、一日遅れての現地入りとなりました。
 宮崎県綾町の綾豚会事務所で会員農場への飲水改善施設と生物活性水施設の新規導入と、豚舎の改修工事が完了した綾町養豚センターの生物活性水プラントの再稼働にむけて現地での確認と打ち合わせを西日本BMW技術協会事務局と一緒に行いました。
 打合せの後、綾町の吉田養豚場、都城市の亀川養豚場、川南町の尾鈴ミートの三つの養豚場において、飲水改善プラントと生物活性水プラント導入の現地調査を行いました。年内着工を目指して計画を進めていきます。

③根釧地区「根釧みどりの会」など
北海道のプラント点検
 九月二四〜二五日、「根釧みどりの会」の石澤牧場、岩崎牧場、渡辺牧場、三友牧場、川畑牧場にて飲水改善プラントの点検と充填材の交換作業と、新たに飲水改善プラントの導入を検討している田淵牧場の現地調査をおこないました。プラントは順調に稼働、現地では根釧みどりの会の総会に出席をしました。総会に関しては次号でお伝えします。

 九月二五日北海道の稲作地帯、雨竜郡妹背牛町のファーマーズクラブ雪月花を訪問、代表の田村昌之氏の田村農園(花卉栽培)に設置されている生物活性水プラントの点検をおこないました。ファーマーズクラブ雪月花は一一名の稲作農家と一名の花卉農家で構成されている、北海道の熱い有志たちの集団です。生物活性水は花卉栽培では潅水等に希釈して利用、また稲作には育苗の潅水をはじめ、麦などにも利用するなど、色々トライしているとのことでした。翌日は恵庭市にある高松農園の生物活性水プラントを点検しました。
      (報告:匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2013年11月01日20:38

【AQUA259号】千葉BM技術協会「ポークランドグループ」視察研修

生活協同組合パルシステム千葉
組織運営本部長 中根 裕

 千葉BM技術協会の二〇一三年度研修として、九月六日(金)〜七日(土)、秋田県鹿角郡小坂町にあるポークランドグループを視察しました。参加者は、当協会会員から(農)和郷園二名、(有)千葉自然学研究所一名、生活協同組合パルシステム千葉五名、㈱パル・ミート三名、この他、㈱米沢郷牧場とBMW技術協会からも各一名が参加し、合計一三名の参加となりました。
 今回の研修は、BMW技術の基礎や具体的活用法、BMW技術を核にした地域での取り組み等の学習を視察・交流を通じて学び、千葉県における「地域の土や水の保全・再生、資源循環型の生産・生活・社会」の具体的モデルづくりにつなげていくことが目的です。ポークランドグループの取り組みは毎年BMW技術全国交流会で報告されていますが、今回は現地視察や交流によって、より理解を深めることをめざしました。
 初日は盛岡駅到着後、「JAかづの」の専用バスでポークランドに到着しました。豊下勝彦代表の直々の案内により、先ず「ポークランド」、「ファームランド」、「十和田湖高原ファーム」の三つの養豚農場をバス車内から視察しました。また、東日本大震災のときの命綱となった飼料米の粉砕所も視察し、豊下代表から当時の様子を伺いました。
 次に、少し離れた場所にある「バイオランド」を視察しました。広大な耕作放棄地の三分の二を一大養豚場に変貌させたと同時に、残り三分の一は露地野菜栽培に着手したもので、スケールの大きさを感じました。大規模なBMWプラント(飲水改善、生物活性水施設)を見学した後、地域の木質チップや籾殻・稲藁を発酵させた床材を使用し、通常豚舎の三倍以上の飼育面積を確保しているバイオベッド豚舎を見学しました。走り回る健康的な豚を目の当たりにして、ポークランドグループの目指す姿がここにあることを実感しました。
 露地野菜栽培圃場、飼料米圃場を見学後、宿泊先のホテルに到着。会議室を借りて豊下代表からポークランドグループの概要が説明されました。BMW技術との出会い、SPF(清浄)豚への取り組み、地域の雇用創出、東日本大震災の対応など、これまでの歴史と循環型有畜複合農業を通じた地域づくりについて多くを学びました。

 BMW技術飼育豚は、
 一般飼育豚と比べ、内臓が違う
 翌日は「JAかづの」の出荷センターを視察後、「ミートランド」を視察しました。「ミートランド」は豚のと畜から枝肉・ブロック加工をする施設で、処理能力は一時間に一七五頭。約八割はポークランドの豚を処理しています。施設内の説明を担当した業務部の根本愉吉部長からは「BMW技術を使った桃豚は、他の豚と比べると内臓が違う。特に腸が臭わないのが処理していると良く分かる」と、その違いを具体的に説明していました。
 今年、千葉BM技術協会の総会では、石澤直士元BM技術協会理事長による鶏の解体・比較を行いましたが、その時もBMW技術で飼育された鶏と、一般のインテグレーション化によって飼育された鶏の内臓の違いは明らかでした。ミートランドでも同様の話を伺うことができ、畜産におけるBMW技術の優位性の高さが窺えました。その後、ポークランドの豚肉のハム・ソーセージ加工施設を兼ねた直売所「まんまランド」で昼食後、帰路につきました。
 短い時間でしたが、ポークランドグループ、JAかづの、ミートランドの皆さまのご協力で、非常に充実した研修となりました。

「初めて『ポークランド』を視察して」
生活協同組合パルシステム千葉 理事 村上 佳代子

 資源循環型農業を実践しているポークランドではどの取り組みも無駄なくつながっていました。
 BMW技術による飲水改善・生物活性水の活用で、豚舎にたくさん豚がいるにもかかわらず臭いがしないことに驚きました。糞尿の処理をしているところでも、臭いはありませんでした。広々として明るく開放的な豚舎の中を思い思いに過ごす豚たちはのびのびとして健康的で幸せそうでした。バイオベッドの上で気持ちよさそうに過ごしている姿が印象的でした。
 人懐こくそばに寄ってきた豚を見て、改めて日々動物たちの命をいただいていることを実感しました。ポークランドの様な取り組みを支えるのは、私たち消費者なので多くの組合員に知ってもらい買い支えていき、この取り組みが各地に広がってほしいです。
「千葉BM技術協会
 ポークランドグループの視察を終えて」
生活協同組合パルシステム千葉 理事長 佐々木博子
 いつもポークランドのお話は聞いていましたが、実際に農場を視察したのは今回が初めてでした。常に自然循環を考えられている豊下勝彦代表の発想には驚かされてばかりです。バイオベッド豚舎では豚たちが自由に動き回ることができるうえ、生物活性水を豚舎全体に噴霧しているので臭いはほとんどなく、養豚のイメージが大きく変わりました。
 BMW技術での尿処理場内は発酵熱で湿度が高く、こちらも処理が進むにつれ臭いが軽減されていることを実感しました。本業の養豚だけではなく耕作農業も始められ、自社で製造された堆肥を圃場に投入しての野菜づくり、菜種を作付けし、油を絞った後の搾りかすは豚のエサとして利用するという循環は理想的な形ではないでしょうか。地域の中で、いかにして環境負荷を抑えながら循環させていくのか、ひとつのモデルとして今後も目が離せません。

Author 事務局 : 2013年11月01日20:36

 
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