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2013年11月01日

【AQUA259号】第7回BMW技術基礎セミナーが開催

第7回BMW技術基礎セミナーが開催されました
「近年の日本気象」と「月暦」をテーマに37名が参加


 第七回BMW技術基礎セミナーが九月一四日に開催されました。セミナーは一五日(視察)も含めて二日間の予定でしたが、台風一八号による大雨の影響で、二日目の視察は中止となり、一日のみの開催となりました。
 会場は、東京・市ヶ谷のTKPカンファレンスセンター会議室、参加人数は三七名、終了後の懇親会には三〇名が参加しました。参加者はポークランドグループ、米沢郷牧場グループ、和郷園、やまなし自然塾、らでぃっしゅぼーや、APLA、ATJ、大川村などです。
 今回は「日本の気象状況」「月と農」と題した二つの講演と、各地の異常気象による作物の状況、そして第二三回BMW技術全国交流会の発表へ向けての途中経過報告がおこなわれました。

一、講演①『異常気象、日本の気象変動』
講師:日本気象協会 気象予報士 鈴木 和史 氏

 気象庁では、「過去三〇年の気候に対して著しい偏りを示した天候」を異常気象と定義しているが、日本に台風が一〇個上陸した二〇〇四年頃から異常気象という言葉が皆さんの間でも頻繁に使われるようになってきたかと思います。二〇〇七年の最高気温更新、西日本の渇水や二〇〇八年のいわゆるゲリラ豪雨の多発から、近年は冬の低温・大雪、夏の高温・局地的豪雨などが続いている。
 異常気象を引き起こす現象として、(※注)北極振動、チベット高気圧、太平洋高気圧、エルニーニョ、ラニーニャの頻発化、海面水温の上昇などがあげられる。これらの現象が複雑に絡み合った結果が異常気象の原因となっている。地球の温暖化について『温暖化』と言い切れない部分もあるが、間違いなく地球全体の二酸化炭素濃度、海面水温は上昇している。これまで地球の気象は変動し続けながらも、ある程度のバランスを取り続けてきたのではないかと、急激な環境破壊や自然破壊によってそのバランスが崩れてしまい、地球温暖化を含む異常気象と言う状態が現況であると考えられる。
 今後の日本の雨や雪の全体降雨(雪)量はさほど変化はないと思われる。ただ、局地的に多い場所と、局地的に少ない場所との差が出てくるのではないかと予想される。気温も同じと考えられる。
    (注)図解参照(気象協会の資料から)

ニ、各生産地の状況
 宮城BM技術協会、西塚忠樹氏から「昨年は稲作において高温障害に泣かされました。今年はその対策含めて、生物活性水を使用した実験を始めていましたが、七月は低温で日照はたったの四日、いもち病が大発生してしまった。八月に入っていくらか取り戻せた感じはあったが、実際には二週間ぐらいしか日照がなかった」。
 米沢郷牧場グループの横山裕一氏からは「果樹ですが、越冬期、いわゆる冬眠に入っていると思うのですが、二月ぐらいに少し暖かい日があって、その影響から木が目覚めてしまったのか、土から水分や養分を吸ってしまった可能性がある。それがまた急激に冬に戻り、幹の中で凍結してしまったようで、春になって木割れをおこし、大きな被害を出している農地もあります。」など、他にも千葉やフィリピン、インドネシアの状況なども報告された。
  
三、講演②『月と農』
  講師:月と太陽の暦制作室 志賀 勝 氏

 三日月から始まって上弦、満月、下弦と、月は規則正しく地球の周りを平均二九・五日のサイクルで一周しています。「ひと月」というのは古くからこのサイクルをいう言葉で、月暦はこの月のリズムをもとに作られているものです。月は生命のリズムに深く関わっていますから、出産関係者、農業・漁業などすべての職業にわたり、老若男女世代を問わず利用されているのがこの月暦です。
 西暦(新暦)は太陽だけで成り立つ暦ですが、「月と季節の暦」は月のリズムをもとにした月暦で、旧暦とか陰暦といわれるものとおなじです。月だけでこの暦は成り立っているかというと、全然違います。立春、春分、夏至ということばをご存知でしょうが、これらは二十四節気といわれる、太陽の位置を示す二四の節目です。月暦にはこの二十四節気がかならず入っています。ということは月と太陽の両方から成る暦(だから太陰太陽暦です)であって、実際月暦の新年は立春(太陽の節目)に一番近い新月を正月一日(ついたち)とすることになっていて、わたしたちに最も身近な天体の月と太陽の両方が分かる便利なもの。こんな素晴らしい暦をなぜ日本人は捨ててしまったのでしょう?西暦導入はまさに、アメリカ(ヨーロッパ)型農業の導入と同じ様に日本本来の農文化を消してしまったのではないかと。
 西暦で三月から五月までが春というような季節感はとっても杜撰(ずさん)。実感として春は二月中に始まりますし、最も寒冷な大寒時期を経て、立春前後にわたしたちはほんとうはその変化をキャッチしているものです。梅は咲くし、ウグイスは鳴くし。日本列島に生活した人びとは兆しというものにとても敏感でしたし、耳を澄ましてそれを探ろうとしたものです。二十四節気は、そういう細やかな変化を知らせる太陽のリズムを表現したもの。よく天気予報で「暦では春だが…」といった決まり文句を聞きますが、季節の推移をおしえてくれるのが暦であって、そうでなかったら必要ないはずです。
  
四、第二三回「BMW技術全国交流会」
  に向けて
 野菜、果樹、稲作、畜産、生活の各部門より実験経過報告、発表の内容等の報告が行われた。天候に左右されているところや、結果がはっきりと出ていないところもあるが、実験を継続していくことを重視して交流会に向けて発表資料を作成していくとのこと。
 また、果樹、畜産では面白い結果も出ている部分もあるとのことで、交流会では期待できるのではないかとの声もあった。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2013年11月01日 20:40

 
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