【AQUA256号】千葉BM技術協会、第17回定期総会及び研修会を開催

飼育環境による鶏の健康比較を解体実演で学習

 二〇一三年六月二二日、生活協同組合パルシステム千葉船橋本部会議室にて千葉BM技術協会第一七回定期総会が開催されました。議長には、㈱パル・ミートの桑島雄三氏が選任され、一号議案から四号議案までを審議し、議案は全て可決承認されました。
 第一号議案は二〇一二年度活動報告と会計報告。活動報告では、二〇一二年六月に開催した「くらしと放射能を考えるフォーラム」の内容について報告されました。「放射能に負けない体づくり」に取り組む内科医の土井里紗氏から、放射能リスクの低減には「解抗免力」を高めることが不可欠であることの提起や、それを受けて二〇一三年四月の白州郷視察研修を実施したことが報告されました。
 第二号議案は二〇一三年度活動計画及び活動予算。活動方針として、学習活動を通じて免疫力を高める農畜産物生産の取り組みを高めていくことと、その前提となる土や水の保全・再生、資源循環型の生産・生活・社会の具体的モデルづくりを検討していくことが確認されました。
 第三号議案は役員選出。木内克則会長(和郷園)、礒田有治副会長(千葉自然学研究所)、下地通太副会長(パルシステム千葉)が再選されたほか、幹事・監査の役員人事についても承認されました。第四号議案は入退会の審議となり、一団体退会、二個人の入会が確認されました。

内臓や骨、臭いの違いを体験した鶏の解体比較研修
 総会終了後は、「飼育環境による鶏の健康比較」をテーマに、BMW技術による育成の採卵鶏と一般採卵鶏との解体比較を行う研修会を実施しました。同研修会には、千葉BM技術協会会員のほか、生活協同組合あいコープみやぎ、農事組合法人栗駒高原、㈱ミクロコスモス研究所、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会など、BMW技術協会会員団体からのご参加もいただいての開催となりました。
 講師には、BMW技術協会の石澤直士常任理事(元BM技術協会理事長、株式会社ゼンケイ代表取締役)をお招きし、鶏の解体の実演と講演による研修会となりました。
 解体比較した鶏は、山梨県白州郷牧場のBMW技術で飼育する平飼い採卵鶏と、もう一方は、ウィンドゥレス鶏舎で飼育された一般採卵鶏です。
 石澤常任理事は、鶏の解体を行いながら、飼育環境や飼料、水によって、内臓の大きさや腸の長さ、骨の硬さ、内臓及び卵そのものの臭いが違ってくることを説明されました。解体後は、養鶏における飼料の現状等についての解説も行われ、最後は、石澤常任理事と参加者との活発な質疑応答により、研修会を締めくくりました。
(報告:生活協同組合パルシステム千葉 中根 裕)

健康な卵は、健康な鶏から生まれることを再度実感
生活協同組合パルシステム千葉 理事  川井 美佐代

 今回、飼料・飼育方法の違いは内臓にも表れる事を臭い・色も併せて比較して、自分の目で確認できたことは大きな収穫でした。
 腸の長さの違いや砂肝の臭いなど違いがはっきりわかり、健康な卵は健康な鶏からとあらためて思いました。卵は自分が食べて美味しいと伝えてきましたが、自分の目で確認できたことによりしっかりと伝えていきたいし組合員にも体験する機会があると良いと思いました。また生食できるのは水が良い日本だからこそということも知りました。そして飼料高騰の中さらに卵の質に差が出てくる可能性についても強調されていたのが印象的でした。

育て方による鶏の違いをより多くの組合員に伝えたい
生活協同組合パルシステム千葉 理事  久米 尚子

 石澤元協会理事長による鶏の解体比較を実際に見ることができ、とても貴重な体験をさせていただきました。鶏の内臓が、育て方や飼料でこんなにもはっきりと違いが分かる事に驚きました。この解体比較のように見て分かる講座を映像などでより多くの組合員に見せくことで伝えていけたらと思いました。また、飼料の価格の高騰に一般市場の生産者はコストを重視してしまっているとの話がありました。生協として消費者が求める安全、安心な卵の適正価格の認識が問題であること、生産者にとって飼料の高騰が緊急の課題であると感じました。

Author 事務局 : 2013年08月01日20:47

【AQUA256号】「アフリカの持続可能な開発のための大学院教育事業」のプログラムメンバーがパルグリーンファーム(千葉県野田市)を視察

生協と生協が取組む生産・資源循環の取組みとBMW技術を学習

パルグリーンファーム株式会社 遠藤尚志

 二〇一三年六月四日、「アフリカの持続可能な開発のための大学院教育プログラム/Education for Sustainabale Development in Africa:通称ESDA)」づくりを行っている国連大学(アフリカの八大学、東京大学等で構成)の教授グループ一行二二名が、千葉県野田市のパルグリーンファーム(株)を視察に訪れました。視察の目的は、パルグリーンファーム㈱と生活協同組合パルシステム千葉がすすめている生協が取組む野菜生産の意味と、その柱となっている「地域循環型農業の取り組み」、資源循環型技術の要となっている「BMW技術」について、学ぶものです。
 視察会には、六月一日〜三日に横浜で開催された「アフリカ開発会議」に参加するために来日し、シンポジウムでザンビアでの生産性向上の取り組みの発表を行ったカウンドラ農協連合会会長マインザ・シンゴマ氏、協会会員で、ザンビアの農業支援事業に取組んでいる農業マーケティング研究所の山本和子氏も参加しました。BMW技術協会からは礒田有治理事、秋山澄兄事務局長、㈱匠集団そらの星加浩二氏にも来ていただき、総勢三〇名での視察となりました。
 一行は、はじめにパルグリーンファーム圃場(千葉県野田市吉春)を視察しました。ビニールハウスでの葉物栽培棟にて、「堆肥」の施用と「BMW生物活性水」の堆肥への散布や、葉物野菜への葉面散布をデモンストレーションで行いました。アフリカの参加者からは、都市のすぐ近くに農業や農地がある点が素晴らしいとの声がありました。アフリカでは、都市と農村の距離がかなりあり、物流にも時間がかかるため、こういった近郊葉物栽培などが成立しづらいとのことです。
 次にBMW生物活性水プラントが設置されている農場の隣にある自治会館(千葉県野田市船形)へ移動し、畳の上で座布団に座り、丸く座をつくるという日本式ディスカッションスタイルで、パルグリーンファームの遠藤より「パルシステム千葉の生協の仕組み」と「パルグリーンファームの目指す地域循環型農業」について、説明を行いました。続いて、BMW技術協会の秋山事務局長からは「BMW技術」についての解説が行われました。 
 慣れない英語での説明でしたが参加者の反応は良く、その後のディスカッションでは、「農薬を使わずに栽培できるのはなぜなのか」「値段が高いのはなぜなのか」「野菜の安全性をどうやって担保しているのか」「BMWプラントの岩石は何で軽石と花崗岩を使うのか」など、様々な質問が飛び交いました。最後は参加したメンバーのザンビア大学学長より「生協のシステムはいいアイディアとなり、BMW技術、有機栽培に関してはアフリカでも取り組める技術。大変有意義な視察となりました」とのまとめの言葉をいただきました。ディスカッション後は、生物活性水施設の見学を行い、視察を終了しました。
 アフリカから参加された方の中には、以前日本の農業の視察に来たことがある方もおり、「農業従事者が高齢化している中、一〇年後がどうなるか大変心配している。若い人がチャレンジしているのは大変素晴らしい。ぜひ頑張ってほしい」と逆に応援をいただく一幕もありました。日本とアフリカでは、もちろん抱える課題や状況はそれぞれ異なっていますが、BMW技術に象徴される「地域循環」という視点が非常に重要だという点は、参加した日本・アフリカそれぞれのメンバーの共通認識であったように感じます。あるアフリカの参加者は、「アフリカの最大課題は、原材料の産地になってしまっており、地域で完結していない点である」とおっしゃっていました。その中で、物質の循環だけにとどまらない生活や経済まで含めた、「地域自給」や「地域循環」をどうつくれるか。あらためてその取り組みの重要性を再認識した一日となりました。今後もアジア・アフリカ、様々な国の方と情報交換をしながら、足元から取り組んでいきたいと思っております。

Author 事務局 : 2013年08月01日20:46

【AQUA256号】プラント巡回〜静岡・村上園

 六月一一日に静岡市清水区にある村上園さんの生物活性水プラントを巡回しました。村上倫久さんは無農薬・無化学肥料の有機栽培でお茶を栽培しています。無農薬でのお茶の栽培は昭和四九年から先代が独学ではじめて約四〇年とのこと。
 お茶の圃場は約七ヘクタール、みかんは約一ヘクタール、ぜんぶ無農薬での栽培を続けています。「お茶は農薬を大量に使うもの、また窒素を大量に必要とする作物といわれてきたけど、本来は、石だらけで崖や坂地のどうしょうもない砂地で育つことができる植物、土地が強酸性でも枯れなくて、土中のミネラルをいっぱい吸う植物。だからお茶は人間の身体にいい。生物活性水を使ってやれば無農薬でも充分にやっていける、でも近隣の慣行栽培に比べると、かなり手がかかるけど。」と村上さん。除草、除虫、畑の管理から、すべての面で几帳面な村上さんの性格がでているように感じました。今回の訪問時はもう少しで二番茶の刈り取りが始まるところでした。
 二〇〇一年に導入された生物活性水プラントは五tのホーロータンクが四本。生物活性水のEC値は三・一四、pH値は八・〇、原料は堆肥を使用しています。主な使用方法は、畑での葉面散布とのこと。散布には大型機械(写真参照)を使ってポイントポイント(時期)で撒きますが、特に秋に使用すると翌春のお茶がいいとのこと。
 また、自家製堆肥を作る堆肥場を昨年、新たに設置されました。米ぬか九〇%+もみ殻、茶殻を原料に、いわゆる「ボカシ」のような役割を果たす堆肥を製造しています。さわってみると、とても温かく、発酵した甘い豊かな香りが広がります。
 村上園では自社工場でお茶を精製し商品にしています。蒸し→揉み→乾燥仕上げ、すべてお父さん(八一歳)と二人で行うとのこと。作業のやり方で未だぶつかることもあるそうです。
 お茶の本当の価値を知ってもらいたい、だから「本物」を作り続けることが大事なんだ、と村上さんは熱く語ってくれました。
(報告:BMW技術協会事務局・秋山澄兄)

Author 事務局 : 2013年08月01日20:38

【AQUA256号】インドネシアにてBMW技術学習会開催

BMW技術が、循環型社会を創造し発展させる道筋に

 今年三月、インドネシアのATINA社にBMW技術・排水処理プラントと生物活性水プラントが導入されてから約三カ月、現地スタッフやエビ生産者向けにBMW技術に対する理解を深めるために、BMW技術基礎と生物活性水活用法の学習会が開催されました。

①エビ養殖の未来と BMW技術
 〜ATINA社統括責任者 津留歴子
 オルター・トレード・ジャパン(ATJ)のインドネシア現地法人オルター・トレード・インドネシア社(PT ATINA)が冷凍エビ・エコシュリンプの製造をおこなっているインドネシア・東ジャワ州のシドアルジョとグレシックは、中部ジャワからゆったり流れる大河ブンガワンソロが海に辿り着くデルタ地帯の特性を生かし、昔から魚の養殖が盛んで、一九七〇年代からはインドネシアの主要輸出品となったブラック・タイガー・エビの産地として知られています。ATINA社はこの地域のエビ養殖生産者と一緒にエコシュリンプ事業に取り組んでいます。二〇一二年にはATINA社員とシドアルジョのエビ生産者の一部でKOIN(Konservasi Indonesia・インドネシア保全)というNGO団体を立ち上げ、自然循環と一体化したエビ養殖を将来にわたって持続的に続けるため地域の環境保護と改善において積極的な役割を果たそうとしています。KOIN設立の背景には、一九九〇年代を境にエビの収穫量が年々減少傾向にあるという状況があり、その原因のひとつにウィルス感染による病気の発生率が高まっていることがあります。ウィルスに負けない強いエビを育てたいという生産者の願いは、おのずと水や土壌の状態、そして周囲の環境へと関心は向っていったのです。
 ATINA社は新工場建設において、エビ加工場から排出される汚水処理のためBMW技術を導入しました。自然が本来持つ浄化作用の仕組みを利用した排水処理方法、そこから生物活性水を作り、水をより良い状態にして自然に返すというシステムが、自然の力を利用した粗放型エビ養殖と理念が一致するのは言うまでもありません。KOINの代表でシドアルジョエビ生産者の若き担い手のイルルさんは、「今年三月のATINA新工場開所式に参加してくださったBMW技術協会の皆さんとの交流を通じて、生物活性水の話に大変興味を持ち、自らが悩んでいる粗放型エビ養殖の問題解決につながるのではないか」と目を輝かせました。
 生物活性水についてもっと知りたいという要望はエビ生産者だけでなく、BMW方式の排水処理プラントを設置したATINA社スタッフからもありました。旧工場の排水処理方法では微生物の培養に苦労し、時に汚水処理がうまくいかず悪臭を放ってしまうこともありました。それがBMW方式では、微生物を含んだ汚泥を循環させることで、原水槽の汚水さえも臭いがなくなりました。BMW排水処理施設は、ATINA社にとって内外に自慢できるものとなり、BMW技術のコンセプトをより深く知り、外部の人に自信をもって伝えていきたい、という気持ちがプラントのオペレーションに携わっているスタッフのなかに芽生えてきたのです。こうしたエビ生産者、ATINAスタッフの熱い要望を受けて、BMW技術協会の秋山事務局長にBMW学習会の開催をお願いしました。学習会の様子については、ATJ社でエコシュリンプ事業を担当している若井が次に報告していますが、学習会の参加者はBMW技術排水処理システムと生物活性水の利用についての知識を深め、エビ養殖や農業、私たちの生活に応用するヒントをいろいろ得ることができました。そして、BMW技術を通してエビ生産者やATINAで働く若い人たちが循環型社会を創造し発展させることが、粗放型エビ養殖を次世代に引き継いでいく道なのではないか、という思いを抱きはじめたことに希望が見えました。

②学習会報告 〜株式会社オルタートレード・ジャパン 若井俊宏

 二〇一三年六月一九日、インドネシア初のBMWプラントを導入している、オルター・トレード・インドネシア社(ATINA社)の新工場において、BMW技術に関する理解を深めるための学習会が行われました。平日にも関わらず、東ジャワ州シドアルジョ・グレシック周辺の養殖エビ池主や契約集荷倉庫のオーナーといった、ATINA社が加工・凍結を担っているエコシュリンプに関わる人々に加え、州や県の水産局・環境局の職員など、総勢四〇名近い大盛況となりました。
まず、ATINA社のBMWプラント担当者(アントック氏)から行われたのが、ATINAプラントの概要についての説明。ATINA新工場が完成したのは今年の三月であり、BMW技術との関わりはまだ浅いのですが、手元資料を使わない流暢な発表からは、理解の深さとBMW技術に対する高い関心を感じることができました。
 次いで、BMW技術協会の秋山事務局長から、土・水・山を中心とした自然の循環モデルと、BMW技術の基礎と概要についての説明が行われました。河川の流域で、河川からの水を引き込んでエビ養殖を営む生産者にとって、水の質は非常に重要な要素。「良い水が良い生き物を育てる」というBMW技術の考え方、そして「環境は上流を含めた自然循環の中で形成される」というモデル図は、より広い目で彼らの生活環境を捉える格好の素材になったと感じました。また、この発表の後、午後に備えて水産局の職員が環境局の仲間を急遽呼び寄せるなど、行政にも示唆を与える機会となったようです。
 その次に行われたBMW生物活性水の活用法に関する発表では、予想通りの大きな反響がありました。韓国の生産者のたわわに実ったトマトの写真は、BMW技術がもたらす幸せな未来を想起させるに足るものだったように思います。しかし、その発表の中で秋山氏が言った一言、「この生産者はトマト栽培に関して基本的な技術があり、生物活性水を利用することによって、より素晴らしいトマトを栽培している」という点こそ、我々が理解すべきポイントであると感じました。BMW技術の仕組みや理念と自分たちの環境の現状とを見据え、どのように役立て、循環させていくことができるのか?大きな課題ですが、今後一緒に取り組んで行きたいと思います。

Author 事務局 : 2013年08月01日20:34

 
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