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2008年01月01日

BMW技術が本領を発揮するのは今 【AQUA193号】

食料の値上げがもたらすBM的生き方のすすめ

BM技術協会 理事長 石澤 直士

 会員の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年、一一月に宮城県・松島で開催されたBMW技術全国交流会は、BM技術協会会員の懐の深さ、そして、参加して頂いた会員の皆様の泰然自若とした姿が、際立った交流会でした。特別講演を引き受けて頂いた畠山重篤先生には大変貴重なお話をしていただき、誠にありがとうございました。紙面を借りてお礼申し上げます。
 さて、昨年を象徴する漢字一文字が「偽」でした。次から次へといろいろな偽装が出てきました。その原因の大半が、もったいない(商品の中身まで偽っている物は論外)から来ています。しかし、すべての根本は、いくらかでも他と違うのだといういわゆる差別化が占めています。つまり優良誤認を生産する側が作り出しているのではないでしょうか。
 しからば、BMの世界には、優良誤認はないのでしょうか。家畜を健康に飼育する条件を整え、畜糞尿を活性化させ、それを再び畜産や耕種農業に再利用することにより畜糞尿が変わり、出来た農畜産物が変わっていきます。BMW技術をきちんとやると通常では考えられない現象が起こります。例えば、卵の白身と黄身を同時に掴めるという事実があります。いくら良い餌、良い雛、良い管理でしかも産みたてのほやほやでも出来ませんでした。しかし、BMW技術による飲水改善を雛からやると掴める様になるのです。ところが、すべての卵がそうなるかというと、そこではじめて良い餌、良い雛、良い管理が必要になってくるのです。この辺をきちんと説明していかないとBMW技術も優良誤認を招く恐れがあります。
 つまり、「BMはすごい=良い物が出来る=良い物を作るのが当たり前=良い物を使っている=良い物が出来る=BMはすごい」の循環が出来ているように思います。BM技術協会が出来た本来の目的、いわゆる原点とは何でしょうか。
 そこで、原油の高騰から始まった昨今の飼料の高騰と併せて考えてみたいと思います。もともと畜産の始まりは、農耕用から始まり家畜は家族同様に大切にされて来ました。また、人間の残り物を粗末にしないようにする為と人間の食料と競合しないで良質のたんぱく質の供給源となるように、大切に飼われて来ました。それが変わってきたのはいつからでしょうか。私自身は、映画「三丁目の夕日」の翌年に生まれましたが、その翌年に地元では養鶏業への取組みが始まったと聞いています。高校に入るまでは、卵は、風邪を引いたときに食べる物で早く風邪を引きたかったものでしたが、なかなか引くことが出来ず、家族に風邪引きが出たときに少しだけおすそ分けしてもらいました。しかも、我が家では魚肉類は、朝は禁止、夕方でないと食べれませんでした。それが、海外余剰穀物の利用推進を目的に国が畜産振興をはかり、今は、毎日のように卵をしかも二個ずつ食べることが出来るようになり、隔世の感があります。
 こうした畜産振興を背景に、家畜はもともと、自分の所で取れた農産物や近隣で取れたものを中心に育てられていたのに、海外から輸入される穀物を中心に畜産が行われていった為、畜糞尿がその地域で過剰になってきました。それが畜産公害をもたらして来たのです。そこに現れた技術は、たくさんありますが、BMW技術は(成り立ちについては、諸先輩にその論をお譲りします)出来るだけ早く畜糞尿を宝物に変え、しかも、地域の耕種農家との結びつきをはかる事と、ミクロコスモスという今では当たり前の概念にいち早く取り組んできたのです。
 さて、年頭に当り、もう一度畜産本来のあるべき姿とは、そしてBMW技術の本来のあり方について考えていかなければなりません。そこで次の三つの原点を検討し、具体化したいと考えます。
① 食べ物(及び飼料)の自給率の向上についてBMW技術は、どこまで貢献できるのかの検討(耕作放棄地の再生、農産物の多収に向けた具体的取組、未利用資源の活用、醗酵飼料等)
② 肥料自給率の地域間格差及び会員格差の是正を行う為の検討(良質の堆肥製造技術の確認、肥料過剰地域の解消等)
③ 農薬及び化学肥料使用量の低減(あるいは無・無)について具体的対策の検討(技術の確立及び資材の発掘)
 この他にも、まだまだたくさんの検討及び取り組まなければならないことがありますが、以上の三点を基に、人間の生産・生活活動で汚してしまった土と水の再生を通じて河川流域の環境問題に取り組んでいかなければ、BM技術協会の存在価値が問われることになるでしょうし、ミクロコスモスの実現は不可能ではないでしょうか。

Author 事務局 : 2008年01月01日 13:45

 
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