【AQUA282号】第11回BMW技術基礎セミナー開催

茨城県で開催、のべ74名が参加

 八月二〇日、二一日と二日間にわたり第一一回BMW技術基礎セミナーが開かれました。場所は茨城県水戸市の京成ホテルにて行われ、茨城BM自然塾の皆さんをはじめ、日本各地からも多くの方々が参加されました。一日目は座学を中心とし、BMW技術の基礎講座「BMW技術の基礎と活用」、BMW技術活用事例報告として「茨城BM自然塾の取り組み」、基調講演として川田研究所の川田肇先生より「農産物の品質向上とミネラルの重要性について」を伺いました。二日目は茨城BM自然塾の米川農場と清水牧場にて見学会が行われました。
 講座の最初はBMW技術協会の秋山澄兄事務局長より「BMW技術の基礎と活用」についての講座でした。参加者の中には初めてではない方も多くいらっしゃったようですが、私も以前に一度新潟での基礎セミナーに参加した時にくらべ、より多くの情報が得られました。特にリアクターのしくみと肥溜めの原理の類似点について、生物活性水の農作物への利用による具体的な効用など、発展的な内容に生物活性水の可能性を感じました。
 そして次にこれらのことを実践した結果を茨城BM自然塾の方々に発表していただきました。最初に茨城BM自然塾栽培研究会副会長の方波見洋一さんから、アールスメロンに生物活性水を用いた栽培と生物活性水+竹パウダーを用いた栽培による比較について報告されました。収穫時にサイズが大きくなること、また病気率の低下を目的に、竹パウダーに含まれる乳酸菌を活用できるのではないかという仮説のもとに実験を行ったそうです。実験結果としては病気率に若干の優位性と重量にも優位性が見られ、特に小さい玉のメロンの割合が減ったとのことでした。竹パウダーの添加により、肥料中のセルロース分が増えたことによる結果ではないかと方波見さんはいっておられました。質疑応答では生物活性水無添加の栽培対照区や竹パウダーは乳酸発酵させて利用をしてみると面白そうだなど、次につながる意見交換が行われていました。
 二人目は今年の二月に新規就農された茨城BM自然塾若手のホープ、市毛祐司さんの生物活性水を用いた小松菜の栽培試験の計画発表でした。市毛さんは耕作放棄地の再生から始められ、現在では八〇aの畑でホウレンソウ・小松菜・レタスの栽培をされているそうです。肥料成分や有機物質のほとんどない畑に、茨城BM自然塾の清水牧場さんの牛糞たい肥や生物活性水を用い、機能性をもった野菜の生産、気候条件に左右されない栽培方法の確立を目指しているそうです。生物活性水と太陽熱養生処理を用いた土壌改良による農法で地下二m以上の土壌を形成する計画です。実験の内容は一平米の畑を五つの条件に分け、①無施肥②肥料③生物活性水④たい肥⑤たい肥+生物活性水で栽培試験を行い、栽培状態、味、成分などについて調査をされるとのことです。市毛さん本人はたい肥+生物活性水の試験圃場に期待されているようで、この結果は第二五回BMW技術全国交流会にて発表されます。私もこういった比較栽培試験には興味があるので、結果が非常に楽しみです。
 茨城BM自然塾最後の発表は塾長の清水澄さんから、「涸沼の生態系再生プロジェクトについて」の発表でした。清水さんは二〇年前から涸沼の魚や渡り鳥、水生植物の減少に危機感を感じ、地元にある資源を有効に使い、涸沼を含めた生態系全体のデザインを目指し、涸沼の生態系復活に尽力されています。涸沼には多くのヘドロが堆積しています。ヘドロには岩石の粉や有機物の未分解物質が堆積しています。そのヘドロにBMW技術を活用することで、有効な資源として生まれ変わると清水さんはおっしゃいます。そういった活動の結果、涸沼はラムサール条約の条約湿地として登録されたそうです。今後は条約登録のモデルとなるようにしていきたいとのことでした。
 一日目最後の基調講演では川田肇先生よりミネラルと水の関係、ミネラルとバクテリアの関係について科学的知見からそれらがもたらす土壌環境、植物への作用を伺いました。川田先生のお話から、ミネラル=鉱物という考えがBMW技術に通じるところを多く感じました。川田先生が配合するミネラル資材による土壌改良や、生物活性水を用いた土壌改良事例をみると、生物活性水を散布した圃場で、土壌に棒を刺したところ二m以上あっさりと棒が吸い込まれてしまったり、ミネラル資材を使ったイチゴの根が三m以上深くまで伸びていたりと、驚くことばかりです。ミネラルがもたらす土壌改良の力はすごいと感じました。
 二日目、私たちはホテルからバスに乗り、米川農場、涸沼湖畔、清水牧場の順に現地視察を行いました。米川農場では家庭雑排水を利用したBMWプラントで生物活性水をつくり、さつまいも栽培に利用しています。約六haの無農薬のさつまいも畑には生物活性水を散布してあり、散布機も自前で製作されたそうです。
 次に向かったのは涸沼生態系再生プロジェクトの実験をしている涸沼湖畔でした。再生プロジェクトのメンバーが私たちを案内をしてくださり、涸沼湖畔に生息する水生植物や水生生物を見学し、涸沼の自然体系の一部を学びました。
 最後に向かった清水牧場では、清水さんが作った完熟たい肥や生物活性水を散布したハウス内の土壌を見学しました。この二日間のセミナーの集大成ともいえる土壌の耕盤の深さを実際に棒を刺してみて確かめたのですが、片手で持った棒を刺してみるとずぶずぶと刺さってしまうのを実感しました。みなさん驚きを隠せないようで、セミナー一番の盛り上がりだったのではないでしょうか。
 清水さんのほ場では今後、川田先生と共同で、BMW技術で使われる鉱物を様々な組み合わせによる試験を開始されるそうです。橄欖岩や雲母、石英、輝石などの割合を変えることで、より高栄養の農作物の栽培が可能になるかもしれないからだそうです。さらなるBMW技術の発展や可能性の開拓がBMW技術を使う人たちの力によって進められているということに、会員の皆様のよりよいものを作りたいという熱意や意欲を感じた二日間となりました。
(報告:日本農業経営大学校二期生 米森 淳)

地球農学の構想
  〜ミネラル畑にいのちはあふれ〜
      著者:川田薫・川田肇

 本書はミネラル=「鉱石」という考えに基づき、自然界に存在する様々な鉱石より抽出したミネラル液を中心に、ミネラルと水の関係・ミネラルと生物の関係・ミネラルと土の関係について、著者本人の体験から導き出した仮説と科学的検証を元にミネラル=「鉱石」といのちの関係性を解き明かした科学の書。ミネラル液の理論から農業現場での作物栽培の実践を通した解説書でもある。
 旧科学技術庁の「さきがけ研究21」に端を発した著者のミネラルを用いた生命体発生実験より、生命とミネラルの因果関係を深く追求する本書では、地球といのちの関連性を解明する手段として様々な角度からミネラルを分析する。
 ミネラルの研究を進めるにつれ、著者はミネラルを通した様々な体験をする。それらを元に、仮説と検証を繰り返し、鉱石と生物の因果関係を解明していく。特筆すべきはミネラル液を散布した土壌と作物への影響であろう。化学肥料・農薬散布によって病んだ田畑も小さい小さいミネラルの粒子の働きによっていのちを蘇らせる。土が盛り上がり、耕盤が消えた。そこで育つ作物は生命力をこれでもかと感じさせるほどに強く逞しく根を張り、大きな、味の良い、持ちの長い作物ができる。
 今までには無かった、ミネラルという観点から地球の農学を紐解く「地球農学」の基礎から応用までが詰まった一冊。これまでと違う観点から土壌・作物を考えたいというあなたにお勧めします。
 (日本農業経営大学校二期生 米森 淳)

Author 事務局 : 2015年10月01日10:03

【AQUA282号】BMアジア〜フィリピン&インドネシア

フィリピン
 七月一日〜八日、フィリピンのネグロス島と北部ルソンのBMプラント定期点検をおこないました。この点検はNPO法人APLAと協力し、年に一度おこなっているものです。

◎カネシゲファーム・ルーラルキャンパス
    〜ネグロス島
 五ヘクタールに広がる農場では、養豚と野菜生産を中心とした、BMW技術・有畜複合循環型有機農業を実践しています。二〇〇九年に豚舎から出る糞尿を利用した循環システムとして、バイオガスプラントとBMW技術・生物活性水プラントとの複合設備を導入し、二〇一〇年には飲水改善プラントが導入されました。二〇一二年一二月からは、バイオガスプラントのメタンガスを活用した発電もスタート。農場内のエネルギー自給が実現しつつあります。その他、ラムポンプ(自動揚水器)などの適正技術も導入しています。
 また、バランゴンバナナの生産者を中心に、農民たちが集まって、農法や技術に関する学びや経験を共有しあう場(ルーラルキャンパス)として、地域の次世代の担い手となる若者たちが研修生として住み込み、農業技術や適正技術を学んでいます。
 生物活性水の原料はメタン発酵を終え、バイオガスを抽出した液体「スラッジ」を川の水で希釈して投入しています。一槽が五〇tの三槽、一〇tの自然石槽が二槽の土木槽です。プラントの稼働は特に問題はありません。一年を通して気温が高温であることなどを考慮し、曝気槽が一槽少なくなっていることと、エアレーションをする時間を一日一二時間におさえていますが生物活性水は安定しています。ここではこの生物活性水を飲水改善プラントに約一〇〜一五倍希釈で投入しています。飲水改善プラントは豚の飲水だけではなく、豚舎の洗浄水、スタッフの飲水にも利用されています。

◎ギルバート農園
〜北部ルソン・ヌエバビスカヤ州マラビン渓谷
 ギルバートさんは柑橘作物の生産者で、主な生産品種は現地で「サツマ」と呼ばれる温州みかんです。この地域の柑橘作物の生産は一九七〇年代に日本から一六種類の柑橘が持ち込まれ、そのうち六種類がマラビン渓谷の気候に合うということで「サツマ」を中心に栽培がおこなわれています。二〇〇九年に生物活性水プラントを導入し、地域循環を創り出す取り組みがマラビン渓谷でもできるか実践してみることになりました。苗木の潅水や土壌潅水等に利用されています。
 ここ数年、軌道に乗っていた柑橘栽培ですが、気候の変動や病虫害などの影響で収量が落ちているとのこと。昨年の第四回BMW技術アジア大会に参加、日本も含め、韓国、インドネシア、中国などの実践例を聞くことができ、どの参加者も土、水、自然生態系を守ろう、取り戻そうという気概に満ちていて、大いに刺激を受けたギルバートさん。大会後には、茨城、山梨、静岡で生物活性水を利用して実践している現場を訪問しました。ギルバートさんは「みんな土づくりをしっかりしているのが素晴らしい。フィリピンでは、自分で堆肥を作る人はほとんどいないけれど、やってみたい」とギルバートさん自身にも発想の転換があり、ギルバート農園の周辺(家族)農家は柑橘の単一栽培を止め、パパイヤ、ジャックフルーツ、ドランゴンフルーツなどの多品目の果樹栽培をスタートさせ、堆肥作りにも力を入れ始めていました。

○CORDEV(コルデヴ)
   〜北部ルソン・カガヤン州
 生物活性水プラントは二tのステンレスタンクが五本、プラントの稼働、生物活性水の状態は共に良好でした。

インドネシア
 七月三一日〜八月四日、インドネシア・スラバヤにあるATINA(アティナ)社において、BMW技術・排水処理プラントの点検とBMW技術の基礎、排水処理に関しての勉強会、プラント運営の課題や改善点についてのディスカッションをおこないました。この点検は㈱オルター・トレード・ジャパンと協力し、年に一度おこなっているものです。
 ATINA社は、エビ(ブラックタイガー)の冷凍加工工場で冷凍加工と日本への輸出を行っている傍ら、伝統的なエビの生産方法を守るために様々な活動をおこなっています。「いのち・自然・暮らしを守る」を基本理念とし、環境・社会改善運動として、BMW技術の理念を取り入れながら有機栽培技術の開発・普及を目指し、スラバヤを中心に、地元の高校と連携したマングローブ植林、川の清掃活動、伝統的なエビの養殖池の水質を守るためのせっけん作りやその普及運動などに取り組んできています。
 同社にBMW技術が導入されたのは二〇一三年です。それから約二年半が経ち、現地のBM担当スタッフはBMW技術と排水処理に関する知識などが向上しています。現在、別の場所にあるサテライト工場の排水処理プラントの導入計画をしています。このプラントに関しては彼ら主導で計画を進めており、BMW技術協会及び匠集団そらはそのサポートをしています。彼らの経験が今後のインドネシアでのBMW技術の普及につながるよう努めて行きます。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2015年10月01日10:01

【AQUA282号】「新潟BM自然塾」第3回学習会

「新潟BM自然塾」第三回学習会
   〜上越・謙信の郷で開催されました。
      報告:新潟BM自然塾事務局 高橋 孝(新潟県総合生協)


 新潟BM自然塾の第三回目となる学習会が七月二三日に、新潟県上越市三和区の自然体験交流館で開催されました。
 今回のテーマは「俺の根」。第一回「俺の稲作」、第二回「苗八分作の稲作」に引き続き稲作に焦点をあてての学習会となり、水稲圃場の視察をはじめ、稲の根っこ数、長さ、色、毛根の数など、圃場条件や栽培方法によっても異なる「根」の生育状況を皆で見てみようということで、稲作生産者が各々の株を持ちより「根」を比べて見ることになりました。
 参加者は、謙信の郷、JAささかみ、食農ネットささかみ、新潟県総合生協、妙高産ブランド米生産者会、伊藤理事長含めBMW技術協会から総勢二六名となりました。
 また、今回から学習会の内容を稲作に集中せず、野菜や果樹、畜産にも学習の幅を広げていこうということで、野菜生産者の山崎農場の視察と、畜産農家と耕作農家の連携、上越地方の畜産農家の現状として謙信の郷代表の井沢輝雄さんの話しを聞きました。

①圃場視察
 謙信の郷のメンバーの金谷農場、秋山農場、富永農産の三つの有機栽培の水稲圃場を視察しました。有機栽培ということで圃場での意見交換の中心は除草対策でした。除草機、合鴨など、除草の方法の違いで生え残る草、綺麗に除草できる草などの違いがあり、同じ有機栽培でも除草方法やタイミング、管理方法の違いが目に見えてわかることができました。
金谷さん「田んぼの面積は五反、有機栽培で一七年目。田植えは五月二二日、米糠を反当たり一〇〇㎏散布しながら田植えをする米糠除草をします。初期の除草が一番大事なので、米糠除草と苗が活着したら、ビニペット除草機をかけます。これでコナギはだいたい潰せますが、オモダカは残ってしまうので、これは手取りで頑張ります。一反あたり四時間ぐらいで除草します。後は一〇日おきにアメンボ除草機でヒエなど中心に除草し残りの草は稲に大きな影響がなければ気にしません。
 目標収量は一二俵といいたいところ、九俵を最低ラインに考えています。今はちょうど二回目の追肥の最中で、自家製の肥料を撒いています。生物活性水の流し込みはしてないですが、育苗の時に籾の浸漬から潅水など五〇〇倍稀釈程度の生物活性水をふんだんに使い、強い苗をつくることを心がけています。カッチャクの良さや、深水、草負けしないために強い苗をつくることが大事だと思います。合鴨をやる場合も同じで、しっかりとした根張りのよい苗を作ることが大事です。」
富永さん「有機栽培で一七年目、面積は金谷さんと同じ五反です。田植えは五月一五日で、同じく米糠除草をします。田植えの三日後、少し早いのですが合鴨を一ヶ月くらい放します。ひえ、こなぎは多少目につきますけど、これは手取りでおこない、後は合鴨で何とかやれています。私も追肥の時期ですが、追肥したあとには生物活性水を一反あたり二〇リットルを流し込んでいます。去年は反当たり八俵でしたが、今年はその上を目指したいと思っています。」
秋山さん「田植えは二人と同じ時期です。二人と一緒で米糠除草をやっています。田植え後に合鴨を放すのですが、草はだいたい合鴨でやれます。オモダカが増える時期もありましたが、多少の手除草でまかなっていますが、年々、少なくなっています。
 最近は合鴨狙いの狐の獣害が多くて手を焼いています。酷い時は全羽やられたこともあります。今は電柵を付けて何とか防いでいます。目標収量は反当たり一〇俵です。」
 水稲の後は山崎農園の野菜の圃場を視察しました。農薬と化学肥料を一切使用しない圃場。このところの天候の不順もあり、果菜類はこれからという感じでしたが、新鮮なトマトやトウモロコシを生で食べさせてもらい、野菜そのものの甘さに感動しました。
 生物活性水は常に五〇〇倍希釈で潅水に使用、施肥後の圃場にも反当たり一t程度散布しているとのこと。元肥は自家製で、屑米、大豆粕、酒粕、米糠を混ぜて発酵させています。追肥は発酵鶏糞を使用して、収穫ごとに撒きながら追いかけていくとのこと。

②BMW技術基礎講座 
 BMW技術協会の秋山事務局長を講師にBMW技術の基礎を学びました。新潟BM自然塾の学習会では毎回のように基礎講座をおこなっていますが、何度も聞いて行くうちに理解が深まって行くことを実感しました。

③畜産農家と耕作農家の連携、
   上越地方の畜産農家の現状
 謙信の郷の井沢代表から上越地方の畜産農家の現状を伺うことで、日本の畜産農家の現状を知ることができました。
井沢さん「上越市ではここ三〇年で酪農が約一六〇軒から二〇軒に減り、採卵鶏は約二〇〇〇軒から二軒に、養豚も同じように減少している。謙信の郷のメンバーにも昔は養豚を営んでいた人もいましたが今はいません。私は酪農ですが、上越の仲間の話を聞いていると、おそらく一〇年後には二軒になりそうです。そのため、有畜複合の取り組みを進める以前に、畜産業が成り立つか、成り立たないかの問題にぶちあたっています。
 原因は主に餌の高騰と言われていますが、根本的な問題は、無理な規模拡大の煽りが根底にあると思います。就農した数十年前は乳牛二〇頭ぐらいで生きていけると思っていました。餌は地域からかき集めていました、萱だって食べさせていました。今でも妙高地ビールの絞り粕や大豆粕など地域の未利用資源を集めて、一〇〇%ではないけど自給飼料の割合がうちは高いです。でもそういうことを昔は皆やっていたのですが、段々と乳量のあがる購入飼料が主体となってきている。平成に入ってから、『ゴールなき規模拡大』と言われる時代に入り、昭和五四年から始まった生産調整の影響もありますが、乳価が乱高下、ミルカーなどを含めた機械類の更新などで経費がかさみ、しょうがないから牛を増やして乳量を増やして収入を増やす、そうしたら今度は餌の高騰が待っていた。牛が増えた分、餌も増えるわけで、かといって乳価が上がるわけではないのでさらに経費はかさむし、借金も増えていく。牛もガタガタになっていくのが早い。そんな理由で辞めて行く人や息子たちには継がせたくない人が出てきているのが現状です。このままいけば有畜複合は地域から無くなって行く。餌とか化成肥料やミネラル資材は外から持ってきて、それが日本の農業の疲弊につながっている、まさに搾取されっぱなしの農業。食べる側にも責任は充分にあると思います、安かろう良かろうを求めて、結果、自分の首を自分で締めてしまっている。農政に使われる補助金だって皆からの税金ですからね。
 うちは米も作るので、米の状況も良くない、本当にきつい時代なのだと思います。でも何とか謙信の郷という仲間で、生物活性水や堆肥を使ってもらって、有畜複合で地域を作っていくことを続けていくことができています。こうやって皆さんに話を聞いてもらうだけで、何だか違ってくることもあるし、違った見方も出てきます。」
 参加者のほとんどは稲作農家が多く、このような話をあらためて聞く機会があまりないとのことで、皆さんはじっと聞き入っていたのが印象的でした。

④「俺の根」
 各々持参した稲株の「根」を比べました。新潟BM自然塾の共同代表の峯村代表と石塚代表、謙信の郷の金谷さん、富永さん、秋山さん、JAささかみからは江口さん、田村さん、妙高産ブランド米生産者会の石山さんらが、根の色、長さ、量を見ながら、お互いに意見を交換し合いました。根の色が赤茶けていたり、白かったり、長かったり、毛根が多く出ているものがあったりと本当に人によって全く違う状態で驚きました。

Author 事務局 : 2015年10月01日09:59

【AQUA282号】BMプラント巡回

茨城県のBMプラント巡回
茨城県鉾田市
 〜田中一作邸
 生物活性水のプラントは家庭雑排水(トイレ、お風呂、台所)が原料です。浄化槽と五tのホーロータンクが三槽、そして貯留槽があります。プラントからの処理水はオーバーフローして、ビオトープ、田んぼへと流れていきます。田んぼから排出される水は、鶏も飲めるぐらいに浄化されます。もち米を作っているこの田んぼには、フナやドジョウが暮らしていて、雑草が生えないように工夫されています。稲刈りした後も水はそのままにして、翌年は耕さずそのまま田植えをするそうです。
 生物活性水は鶏舎や野菜の栽培に利用、自分たちの食べるものは自分たちで作りたい、できるだけ環境を大切にした「循環型」の暮らしをしたいと、田中一作さんは長年勤めた会社を退職し、そうした理想の生活を実現しています。
 奥さんとふたりで、鶏を飼い野菜を育てながら豊かな「農」的生活を実現、このくらしを支えているのが、トイレの排水、生活雑排水を生物活性水としてリサイクルするBMW技術です。

茨城県鉾田市 〜米川農園
 生物活性水プラントは田中さんと同じく、家庭雑排水を原料に作られます。二〇一一年の東日本大震災でプラントは崩壊してしまい、その後新たに五tのホーロータンクを使って生物活性水を作っています。生物活性水はさつま芋やじゃがいもの圃場で、耕運と同時に散布をおこなっています。トラクターの前部にローリータンクを備え付け、ポンプで反当たり五〇〇L程度の生物活性水を撒くことができます。

茨城県城里町 〜ふる里自然農塾
 生物活性水プラントは一tのバルクタンクが六槽です。原料は牛糞堆肥、出来上がった生物活性水は、トマトの袋培地栽培で灌水へ稀釈添加して利用しています。プラントへは二〇一二年に導入され、代表の近澤行洋さんは生物活性水の使い方を色々と試しながら模索しているとのことでした。

茨城県土浦市 〜武井れんこん農園
 生物活性水プラントはふるさと自然農塾と同じく、一tのバルクタンクが六槽です。原料はBM活性堆肥(鶏糞)、今は主に野菜の生産に使用しているとのことで、蓮根への使い方を模索中とのことでした。

宮城BM技術協会のプラント巡回
宮城県仙台市 〜七郷みつば会
 生物活性水プラントは五tのFRPタンクが五槽、原料は牛フン堆肥です。この地域は若林区と言って、東日本大震災の時の津波による被害が大きかった地域です。海水につかった田畑にハウスを新設しトマトの協同栽培を始めました。生物活性水は、ハウスに自動で稀釈潅水できるようになっています。

宮城県大郷町
〜大郷グリーンファーマーズ 西塚農園
 飲水改善プラントと生物活性水プラントが設置されています。一槽が二tの土木槽で二つのプラントが併設されています。原料は平飼いの鶏糞堆肥です。西塚さんは米と野菜、平飼い卵の生産者で生物活性水は、飲水改善プラントへの稀釈添加、稲作、ハウスでのトマトなど、耕作で活用しています。ここも東日本大震災の時に、畑の地割れや、地下に埋設していた生物活性水の貯留タンクが浮き上がるなどの大きな被害がありましたが現在は復興しています。

 その他、青森県のプラントなど次の巡回をおこないました。
 宮城県大崎市・日向養豚場、あいちゃん牧場、青森県藤崎町のトキワ養鶏、東北町のトキワ農場です。
(報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2015年10月01日09:54

【AQUA282号】秋川牧園、河村農園の訪問報告

「秋川牧園、河村農園の訪問報告」
西日本BMW技術協会 事務局 秦 武士

 八月六日に山口県山口市にある秋川牧園と山口県柳井市の河村農園を訪問しました。

●秋川牧園
 BMW技術協会の秋山事務局長と西日本BMW技術協会から宮﨑事務局長、グリーンコープ連合の谷口氏の計四名で訪問し、秋川牧園本社事務所のすぐ近くにある平飼いの採卵鶏舎に併設されているBMプラントを点検しました。農場は山の中腹にあり、坂の入口で防護服と靴カバーをつけて出発です。プラントはホーローのタンクを五基で、各槽の移動はサイフォン式です。各槽のEC(電気伝導率)とpH、亜硝酸態窒素の残留検査(パックテスト)と仕上がり状況を確認しましたが、良い状態でした。出来上がった生物活性水は秋川牧園グループの農場で耕種農業用として使用しているとのことでした。別の場所にある若鶏の鶏舎の敷き料は以前の記事にある熊本県の大矢野原農場と同じように堆積発酵し、再度敷き料として使用されているということだったので、堆積発酵時の水分調整に生物活性水を使用すれば、より良い発酵ができるのではないかという話になりました。最後に最終槽からの抜き取り量についてお聞きしたところ、多く抜き取りすぎる日があるようだったので、最終槽(三トン)の十分の一(三〇〇リットル)を超えないよう話をしました。

●河村農園
 秋川牧園での点検後、同じ山口県内ではありますが少し離れた柳井市の河村農園を訪問しました。河村さんは退職後、地元の山口に帰られ農業をしています。畑や田んぼに生物活性水を使い、育った作物を直売所などで売られているとのことでした。こちらのプラントは五〇〇リットルのタンクを五基繋いだミニプラントです。各槽のECとpH、亜硝酸態窒素の残留検査(パックテスト)と仕上がり状況を確認し、問題ありませんでした。また今回の点検に合わせてリアクター塔のペレットの交換と吊り下げている軽石の交換を行いました。交換前に散気管からのエアーの出が悪いとのことだったので、交換時に散気管の洗浄を行い状態が良くなりました。河村さんは近くにある肥育牛の農場にある敷き料の堆肥発酵に生物活性水を使ってもらい、効果も実感しているということです。また、この堆肥を河村さんは農場の畑や田んぼに使っているそうです。

Author 事務局 : 2015年10月01日09:53

【AQUA282号】根釧地域と妹背牛地域で「岩石調査」

第25回BMW技術全国交流会開催に向け、
根釧地域と妹背牛地域で「岩石調査」を行いました。


 八月二三日から二四日の二日間、北海道の根釧地域と妹背牛地域で岩石調査を行いました。鳥取県から奥地拓生氏(岡山大学准教授)を招いて、初日は根釧地域、翌日は妹背牛地域の調査をおこないました。

○根釧地域
 根釧みどりの会の石澤会長と岩崎事務局長の案内で奥地氏、㈱匠集団そらの星加氏、秋山の五名で調査を始めました。午前中は厚岸町の根室層および、その中のタービダイトと言われる海底地すべりによってできた岩石層の調査です。タービダイトは、大陸側の斜面において発生した混濁流が海底谷を下り、海底に堆積し形成されたもので、大昔の火山の噴火によって大地に降り積もった火山灰が海底に流れ込み、堆積層を作った後で隆起してきた地層とのことでした。
 私たちははじめに㈱村上石材工業の採石場を訪問しました。社長の村上氏は石澤さんと古い付き合いとのことで、採石場を案内していただき、さらには重機を使って岩石を採取させていただきました。砂岩や泥岩、頁岩・礫岩が主ですが、時おり石灰岩なども発見、さらなる特徴としては地層を見ることによって、一億年前から大地が形成されていく歴史を見ることができるということでした。
 その後、バラサン岬に移動しました。バラサンとは、アイヌ語で『広い柵』という意味や、『野獣を捕る平落としという罠』のことでもあると言われ、この岬の断崖が平落としに似ていたため、厚岸の部落には魔物が近寄らなかったとの伝説があるそうです。ここでも見事な岩石層を見ることができました。
 午後は標茶町に場所を移し、この地域に降り積もった火山灰の層、中標津の営農水の源流となる荒川を探策しました。
 この地域はところどころで火山岩を見ることができますが、岩石というよりは火山灰土が降り積もった層で、地層を見ることで火山の歴史やその規模が降った灰の色や量でわかります。根釧地域は火山灰土に覆われていて、土が育たない。だから米や野菜作物を作ることができずに酪農に特化していったといわれています。でも同じ火山灰土が積もっている、長崎県の島原半島などはとても肥沃な土に恵まれているといわれています。これには長崎県に比べ平均気温が低いことや、霧が多く日照が少ないことなどが関係しているのかもしれません。

○妹背牛地域
 翌日は、妹背牛地域でファーマーズクラブ雪月花の田村代表の案内で調査を始めました。
 はじめに向ったのは石狩川沿いにある神居古潭(カムイコタン)という渓谷です。石狩川が上川盆地から石狩平野に流れ出る境に位置するこの渓谷はアイヌ語で「カムイ(神)コタン(集落)」と呼ばれ,古くよりアイヌの人々の聖地とされてきました。日本でもとても珍しいこの峡谷沿いの岩石は神居古潭変性岩帯と呼ばれ、形成する蛇紋岩、緑色片岩は一億年以上まえに二〇kmもの深さからの岩石が北海道の東と西が衝突した時に様々な年代の岩石を巻き込んで隆起してきたものだそうです。蛇紋岩や緑色変成岩、大理石というような岩石を見ることができました。
 その後は、妹背牛の人たちが用水に利用している雨竜川を源流に向って幌加内峠を調査しました。ここには蛇紋岩を中心にありとあらゆる岩石の宝庫でした。蛇紋岩、花崗岩、石灰岩、そして一億二千万前の青い変成岩、そして長石など、これだけの岩石が揃っていると、ありとあらゆるミネラル(鉱物)が豊富にあるということが想像できました。石狩川は大雪山を起点に、旭川、妹背牛を抜けて、雨竜川、空知川、夕張川とミネラル豊富な水が流れ込む流域で、とても豊かな地域で農業をするのに恵まれているということがわかりました。岩石はミネラルとロマンの塊です。
 第二五回BMW技術全国交流会は一一月一三〜一四日で開催されます。奥地氏の基調講演では、今回の岩石調査を中心に地球の大循環、そしてBMW技術が作りだす小循環についての話を聞くことができます。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

第二五回BMW技術全国交流会の
オプション視察の参加をお勧めします!
 今回の岩石調査では、素晴らしい自然の恩恵を自分達は受けていると感じました。これは地元にいながら知ることのなかったことで、是非、皆さんにも来て見ていただければと思います。一五日までのオプション視察はAコースとBコースがあります。
 Aコースの根釧地域は、飛行機で中標津に移動となりますが、根釧みどりの会・マイペース酪農の石澤牧場と三友牧場、そしてバラサン岬の視察、厚岸の牡蠣も堪能できると聞いています。
 Bコースの妹背牛コースは神居古潭の絶景と田村農園、JAきたそらち選花場などの視察になります。是非、交流会だけではなく、視察コースも会員の皆様のご参加をお待ちしていますのでよろしくお願いいたします。
(第二五回BMW技術全国交流会
   副実行委員長 田村 昌之)

Author 事務局 : 2015年10月01日09:50

 
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