【AQUA236号】「一般社団法人 BMW技術協会」設立報告

「一般社団法人 BMW技術協会」設立報告

 BM技術協会は、一〇月五日をもちまして「一般社団法人 BMW技術協会」(呼称は従来通り、BM技術協会)として新しいスタートを切りました。約二年間、常任理事会を中心に議論されてきましたが、七月一九日の全国理事会での決定を経て法人化への運びとなりました。理事長には米沢郷牧場代表の伊藤幸蔵氏が就任され、世代交代の意味合いも含め、新たな力が加わることにより、その活動をより活発化しBMW技術とそのネットワークを発展させていくことが目的です。

一、法人化に向けての経緯
 二〇〇九年度後半より、BM技術協会の法人化についての議論が常任理事会ではじまりました。二〇一〇年の全国交流会(山形大会)にて行われた全国理事会において、法人化することの意思確認を行いました。その後、法人化作業グループを形成し、設立に向けて具体的な検討に入り、三月に起こった東日本大震災の影響もあり、時間を要した経緯もありますが七月一九日の全国理事会において、「一般社団法人BMW技術協会」設立を決定しました。

二、BMW技術協会と法人化について
BMW技術協会は生命の基礎であるBMW(バクテリア・ミネラル・水)の地球生態システムを研究・実践し、生命環境の危機に対する取り組みとして、農業を中心とする技術交流を行ってきました。BMW技術は農薬・抗生物質・化学肥料等の化学物質を使わない農畜産を推進し、安全性と地球環境保全の術を持った最も優れた、確かな農業技術を持った集団です。改めて、BMW技術が求められる時代の到来であると共に、社会に登場すべく、社会的使命を果たすため、「法人化」方針が決定されました。

三、法人BMW技術協会の活動計画
・予算と会費の改訂 
 BMW技術を社会化することは、即ち、継続性が前提とされなければなりません。そのためには常勤者の育成・確保とその予算化が求められます。事務局体制の強化の上、BMW技術運動の拠点であるプラントの稼働状況や課題の確認の活動強化を行います。
 こうした、常勤事務局体制の強化や全国のプラントの活性化のための旅費等の費用を確保するため、年間予算は従来の一三〇〇万円から一九〇〇万円とし、会員の皆様にはご理解、ご協力をいただく。
・交流・研修
 技術交流の集大成となる年一回の全国交流会に加え、各地での勉強会を開催します。講師は会員・理事・常任理事を中心に、外部からの招聘も予定しています。テーマは地域の岩石から土壌、BMW技術と稲作・養豚・養鶏・耕作などの農業技術の概要と歴史。
・次世代の育成とネットワーク創り
 運動の継続のために、更にもとめられるのが人であることです。土と水の学校以外に年二回のセミナーを開催し、次世代(初心者を含む)を中心にBMW技術を一から学ぶ講座、また、協同組合の歴史・環境問題・原発問題などBMW技術以外のテーマを設定します。機関運営とは別に部会的運営として、ネットワーク型の組織を目指します。
・理事会
 全国理事会を年二回(法人での社員総会にあたる)、常任理事会を隔月で開催します。
・法人化による活動領域の可能性
 海外研修生の受け入れ、海外への研修の相談窓口、国補事業への参入、視察ツアーの企画。
・事務局体制
 事務局長には秋山澄兄、事務局員の一人は米沢郷牧場とポークランドから研修をかねて出向者を予定。

四、法人化の時期と会費の改訂
 一〇月四日で任意団体BM技術協会の解散と債権・債務の移行の手続きを行い、「一般社団法人BMW技術協会」を一〇月五日に設立・登記しました。本年度の会費はそのまま新法人へと移行され、会費の改訂は次年度より施行します。
    (文責:秋山 澄兄)

Author 事務局 : 2011年11月01日12:16

【AQUA236号】「パルシステム埼玉」で中水利用プラントが稼働

水道使用量が約1/3にまで減少!


 埼玉県蕨市にある生活協同組合パルシステム埼玉(旧名称生活協同組合ドゥコープ)の新築になった蕨センターにおいて新しい中水利用プラントが稼働しました。
 新しい蕨センターは、鉄骨構造の地上二階建て、延べ床面積三二三六.七五平方メートル(九八〇.七坪)で、「パルシステム埼玉本部」と共同購入配送施設である「蕨センター」と「社会福祉法人ぱる」の小規模通所介護施設(デイサービス施設)を併設しています。
 昨年から旧いセンターの解体工事が始まり、今年にはいってから建物の建築工事に取り掛かっていました。しかし東日本大震災などの影響から資材の入手が遅れるなど工期の延長もあり竣工が延びていましたが、八月四日に新蕨センター開所式が行われ新センターの稼働に合わせて中水利用プラントも動き出しました。
 現在は、パルシステム埼玉の本部事務所部分のみで営業しており、人数も四〇名前後です。冷凍庫が移設稼働する十一月七日からは、蕨センターの配送機能も動き出し人数も六十名ほどになる予定です。

 この中水利用施設は、パルシステム埼玉本部と蕨センターが入っている建物からの生活雑排水(トイレ、食堂、手洗い等)を、一次処理施設として合併浄化槽と同等の機能をもつFRP処理槽において処理します。一次処理施設から排水される処理水をさらに二次処理する中水利用処理施設が接続されています。この施設で高度処理され、処理水をトイレの洗浄水(大便器)として再利用するものです。施設は、一次二次の処理施設はともに地下に設置しており、上部は駐輪場等に利用されています。

 中水利用施設での重要な二次処理の施設は、ばっ気槽が四槽とその各槽の間に自然石槽が三槽作られている構造になっています。
 自然石槽には、軽石や花崗岩を投入しています。
 ばっ気槽の容量は、一槽あたり六立法メートルとなっており、全体では約三六立法メートルの容量となっています。以前の施設では合併浄化槽は二四人槽でしたから、施設は大きく余裕を持っています。

 滞留日数はおおよそ五日間の設定です。この施設の活用で上水道の利用水量を節約できるようになります。ここパルシステム埼玉(ドゥコープ)の中水資料施設での実績では、約1/3まで使用水量が減り節約できていました。
 十一月からのセンター稼働後に、処理水質の検査や、節水効果についてデータ収集していく予定です。 (文責:星加 浩二)

Author 事務局 : 2011年11月01日12:15

【AQUA236号】BMW生物活性水のキレート効果とロシアより入手された土壌菌による、 福島汚染土壌の放射線量減少実験開始

 八月二六日に行われた第三回BM基礎セミナーにおいて、椎名常任理事の「BMW技術が持つ可能性」として講演された際に、BMW生物活性水のキレート効果とロシア・チェルノブイリ周辺より入手された土壌菌などによる放射線量減少実験が始まっているとの報告がなされました。
 七月中旬より、ロシアより入手された土壌菌を山梨県白州郷牧場の生物活性水で培養を開始しました。
 九月一四日に伊藤BMW技術協会副理事長、協会事務局 秋山、星加の三名で福島県須賀川市にある農業生産法人J・RAPの伊藤俊彦代表を訪問し、培養液(生物活性水+土壌菌)を使用した、土壌中の放射性物質(セシウム二種)減少実験を依頼しました。同社には「NaIシンチレーション式γ線検出器」という放射性物質分析装置が設置され、これまでに土の除染実験を約四〇〇検体やってきているとのこと。しかし、未だこれだというものは見つかっていないとのことでした。ゼオライトを土壌と混ぜて吸着させることや、稲作でカリウムを田んぼの出水前四〇日ぐらいに反当り六キログラム投入し、稲穂がセシウムの吸い上げを防ぐといったことが有効的というのが今のところの見解で、では実際に吸着させた土壌をどこに処分するかなど、難問と闘っています。
 その他にも世間でいわれている「菜種」などの効果はある、などのことはわかっている。また、アンモニア態窒素がセシウムと土壌の結合を緩め、潅水や雨、風などで土壌からなくなっていくことがわかったけれども、土壌にとってアンモニア態窒素の過剰投入は別の問題を引き起こしてしまうので難しい。
 今回の実験はまず次の方法で行われています。
①一〇〇ccのポットに三三、〇〇〇ベクレルの汚染土を入れて行う。
②ロシア土壌菌を培養した生物活性水を入れる。生物活性水は一週間おきに散布する。
③一〇〇ccのポットはAとBの生物活性水(A→生物活性水、B→ロシア土壌菌+生物活性水)あたり七~八個検体を用意。
④一週間おきに一ポットずつの土を採取していく。
 採取した土中のセシウムの数値を、表層を三段階にわけて測定する。
※表土の吸着、あるいは沈下の経過を見て行く。
 セシウムは一年に一センチほど土壌中を沈下していくので、そのスピードも見て行くとのこと。
 今後は圃場においての栽培実験をすることも予定されている。
 経過を見るには時間がかかるとのこと、わかり次第この誌面で報告します。
(文責:秋山 澄兄)
※農業生産法人㈱J・RAP
 1995年設立。「顔の見える」直接販売の独自流通システムを確立し、中間流通の簡素化と年間を通した安定供給のネットワーク化を構築。農業技術や情報の収集、質の高い生産管理で高品質の米、野菜、果実、加工品を提供している。

Author 事務局 : 2011年11月01日12:13

【AQUA236号】原発問題レポート(北海道)

北海道・泊原発――孤立を恐れず闘う斉藤武一さん
「日本のすべての原発を止める時が来た」

 八月一七日午後、経済産業省原子力安全・保安院は、定期検査の調整運転を行っていた泊原発三号機について、北海道電力に対して検査修了証を交付しました。これは、高橋はるみ知事が泊原発三号機の営業運転再開を容認したことを受けてのものです。3・11以来、原発への信頼が地に落ちる中、あえて運転を再開した泊原発に対しては道民の反対も多く、八月二一日には札幌市内で再稼動に抗議のデモも行われました。北海道電力が運営する泊原発は、北海道・積丹半島の西側の付け根にあります。小樽市の西方四〇キロ。小樽市からはバスで約一時間三〇分。泊原発のある泊村、そして近隣の岩内町、共和町などの地元ではどう反応しているのか。実際に泊村、岩内町の現場を訪れてみました。

巨額の財政援助で反対運動を押さえ込んできた、国と北海道電力
 「地元の反応に目だった動きはありません」。そう肩を落とすのは、地元で数少ない仲間と原発反対運動を続けている斉藤武一さんだ。斉藤さんは、岩内原発問題研究会を主宰するかたわら、各地を訪れて泊原発の危険を訴える講演活動を行っている。
 「原発の地元誘致が決議された一九六九年当時は、いまでは考えられないほどの反対運動が起こったのです。漁民も農民も町民も当初は反対しました。しかし、国からの交付金や北電からの寄付金などで住民は徐々に懐柔されてしまったのです」
 原発立地に協力した泊村をはじめ、近隣の岩内町、共和町、神恵内村の地元四町村には、電源立地の名目で多額の交付金がばらまかれた。泊村は約一九〇〇人の人口で、二〇一〇年度の予算規模は約五六億円。そのうち国の交付金が一八億円、北電関連の固定資産税が二六億円。つまり原発関連の村予算に占める額は四四億円(七八%)にもなり、もはや泊原発がなければ村の存続はないほど、特殊な村財政となってしまった。
 「私の住む岩内町では、漁業は壊滅してしまいました。もともと岩内はスケソウダラ漁の発祥地で、日本一の高品質というタラコの大産地でした。最盛期にはスケソウ漁の漁船が一〇〇隻以上だったものが、今年中にはたった二隻に減ってしまいます。理由は漁獲量の減少ということもありますが、お金に釣られる体質が地元に根付いてしまったからです。岩内の漁師には漁業補償金が配られたのです。総額で二五億円、組合員六〇〇人で分けると最高でも一五〇〇万円。一過性の補償金が消えると、漁業を捨て、現金収入を求めて原発の作業員として働く人、定期点検に全国から訪れる点検作業員を当て込んで民宿を開業する元漁師など、この三〇年間で岩内の漁業は壊滅してしまいました。町の人口は、原発の地元誘致が決まった一九六九年には二八〇〇〇人でしたが、今は一五〇〇〇人を割るほどになってしまったのです。今、岩内町の借金は二〇〇億円です。それでも財政破綻しないのは、原発立地の自治体を赤字団体にしない程度の国の支援があるからです。原発があれば町は永遠に発展するといっていたバラ色の幻想の成れの果てがこの始末です」
 斉藤さんは、淡々と岩内町の経緯を話してくれた。国とエネルギー産業によるハゲタカのような地方食い潰しは、この過疎地域にも及んでいた。
 「原発はエネルギーの問題でも電気の問題でもなく、金儲けの道具にすぎません。お金をむしりとる『たかりの構造』となっています。資源がないから原発というのは、金儲けを隠すための方便にすぎません」。泊原発をめぐる利権構造を目の当たりにしてきた斉藤さんの実感だ。

三四年間、泊原発近くの海水温を測り続ける斉藤武一さん
 「泊原発の温排水から故郷の海を守りたい」という思いから、斉藤さんは、今年で三四年、ほぼ毎日、泊原発を真正面に臨む岩内港の防波堤で水温を測ってきた。今回、筆者も斉藤さんの測定の様子を見せてもらった。防波堤に梯子で登り、水面まで七メートルはあろうかという高さから、ヒモの付いたバケツをポーンと投げ入れた。作業を続けながら温排水の仕組みを説明してくれた。
 原発は、ウランの熱で水蒸気を作り、タービンを回して電気を作る。そこで発生する水蒸気の熱で冷却水として利用された海水は温まり、約七度高くなって放水されるといわれている。泊原発の場合、一号機から三号機までの合計で毎秒一五〇トンの温排水が放出されているというのだ。
 「原発は、ウランの熱のうち、電気になるのは三分の一(三三%)で、残りの三分の二は海に熱を捨てているのです。排水にはわずかとはいえ放射性物質が含まれています。つまり原発は海を汚染し、海を温め、環境に負荷を与え、海を殺し続けているのです」と斉藤さんは話す。そこで一九七八年、斉藤さんが二五歳のときに、海水温のモニタリングを始めた。最初は軽い気持ちだった。一九八九年、一号機が営業運転を開始。九一年には二号機も運転を始めた。斉藤さんは二〇〇八年、測定開始から三〇年を迎えるにあたり、温排水の測定論文を発表した。測定の記録を公表して、岩内の海が死滅しつつある現実を知らせたいと思ったからだ。
 「岩内町から二五キロは離れた余市町の水温などと比較すると、原発の運転開始後、岩内町の海水温度は〇・九度も上昇しています。私は、稼動前の一〇年間のデータを持っていますので、比較することができる。その結果、少なくとも〇・三度は上昇したと言っていいと思います」
 
 海水温が上昇するということは、海の生態系に変化をもたらすことである。スケソウダラはもともと水深一五〇メートルの付近で捕獲できた。しかし、いまでは水深三〇〇メートル以下にいる。低い水温を求めてのことだ。
 「魚が深くに回遊していると、網の量や長さが必要で網の値段は高くなり、巻き上げ時間の増加など、スケソウダラ漁のコストは合わなくなった。漁業衰退の一因にもなっているのです」
 それでも北電は、自ら海水温をモニタリングすることなく、温排水の影響を否定している。斉藤さんは、これまでの調査の結果をこうまとめる。
 「泊原発の運転前後で、岩内水温が全体で〇・九度上昇しました。自然の変動分が〇・六度です。温排水で〇・三度上昇しています。〇・三度の上昇というと小さいと思われるかも知れませんが、自然変動の〇・六度から見ると五〇%増となります。つまり、泊原発から四キロ先まで、長期的に見て、温排水が拡散していることになる。ついに、温排水で何度上昇しているかが明らかになりました」(詳細は、「岩内原発問題研究会」のホームページ【http://www.geocities.jp/iwanaigenmonken/】の温水データを参照)
 さらに、斉藤さんが疑っているこんな事実もある。科学的に立証はできないが、と前置きして、
 「地元の保健所でもらった資料なのですが『北海道における主要死因の概要』という統計の本です。そこに乳がんの死者数が出ていて、泊原発から一六〇キロ離れた十勝地方と比べると、泊のほうが11ポイントも高い。このポイントはSMR(標準化死亡率)といって、他の町と比較できるように年齢構成などを考慮した数値です。ただ、泊は他の地域に比べて原発ができる前から乳がんの発生率が高い。だから、一概にはいえませんが、泊から四〇キロの小樽市、さらに六〇キロ、一〇〇キロと、泊から離れるほど、乳がんの発生率が低くなっています。医学的には解明されていませんが、今後はもっと専門家なり、研究者なりに突っ込んで調べてもらいたいですね」と話す。
 泊原発の影響はまだ未調査だが、米国では統計学者であった『死にいたる虚構』の著者、M・グールド氏の調査がある。一九五〇年から四〇年間、米国の乳がん死亡率が過去と比べて二倍になったという米国政府の報告に着目、原発から半径一〇〇マイル(一六〇キロ)以内と以外に分けてみると、死亡率の高いのは原発のある地域であり、他の地域は増加していないことを証明した。日本の場合、各地の原発の立地から一六〇キロ圏を日本地図に重ね合わせると、北海道の東半分と沖縄を除くすべての地域が「一六〇キロ圏内」なのである。まさに「汚染列島・日本」の実像が浮かび上がる。

泊原発の沖合に「海底活断層」の指摘
 いま、道民が注目する新たな指摘が浮上した。二〇〇九年、東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)は「泊原発の一〇キロ~一五キロ沖合に、これまで確認されていなかった活断層がある。」と指摘したのだ。渡辺教授は、海成段丘面と呼ばれる階段状の地形を調査。長さ六〇キロ~七〇キロに及ぶ海底の活断層が延びているのではないか、と推定している。この活断層で引き起こされる地震の規模は、マグニチュード七・五以上になるという。
 こうした指摘にもかかわらず、北電は「付近に活断層はなく、耐震安全性に問題はない」と発表(二〇〇九年一一月)。地震の想定や耐震評価に変更を加えようとはしない。
 さらに最近では、泊原発の近くにあり、渡島半島を縦断する黒松内低地断層帯が「半島の陸域内で途切れる」とする北電の見解と異なり、太平洋の海底まで達する、より規模の大きい活断層群であることが、独立行政法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などの調査でわかったと報じられている(八月一三日付朝日新聞)。
 北電の「無視」にもかかわらず、複数の活断層が集まり、日本海側の寿都から黒松内をへて長万部へと続いている。国の地震調査研究機関でさえ、長さ三二キロ以上で、マグニチュード七・三以上の地震が起こる可能性を否定してはいない。泊原発への影響分析はこれからだが、独立行政法人・産業技術総合研究所の研究員は、
 「マグニチュード七・五級の地震がいつ起きてもおかしくない」という。

 ここで、週刊誌のスクープ記事を紹介するのはふさわしくないと思うので、内容には踏み込まないが、六月一八日号『週刊現代』に、泊原発の三号機では、独立行政法人・原子力安全基盤機構の検査員が「泊原発三号機の検査結果は真っ赤な改ざんです」と告発する記事が載った。たまたま良心的な検査員の告発だったが、原子力資料情報室の共同代表の伴英幸氏によると、原発の検査は、原発の推進の元締めである経済産業省の外局である原子力安全・保安院の、そのまた下請けである原子力安全基盤機構に検査が丸投げされているという話だ。原子力安全基盤機構は、技術的にはプロ集団だが、正直な検査結果を保安院にあげても通らないことがわかっているので、改ざんは日常的に行われているという。国策としての原発推進であれば、原発の稼動に障害となるものはすべて排除するという姿勢は徹底されているといわざるをえない。九州電力のいわゆる「やらせメール」事件をはじめ、北電でもプルサーマル計画シンポジウムでの「やらせ」が発覚、結局のところ、日本の電力会社のほとんどが虚偽・隠蔽の実行犯だったことが暴露されつつある。もはや原発という技術の問題を超えて、日本のかかえる深刻な社会問題なのだ。

―コラム―
 泊村にも北電の運営する原子力PRセンター『とまりん館』という立派な四階建ての施設が作られていた。「もっと自然に、もっと身近に、原子力」というキャッチフレーズを掲げ、原子力発電の仕組みを小学生にも理解できるように展示物が並び、親切なガイドさんの説明で楽しみながら学ぶことができる造りだ。実物大の泊原発三号機体感ルームなどは、見る人によっては卒倒しかねないほど精巧に作られている。なぜか立派な屋内温水プールまであって、近隣の子どもたちを呼び込みたい意気込みが感じられる。近隣の町村の豊かな自然環境の紹介もちりばめられていて、斉藤武一さんが皮肉を込めた「バラ色の未来」がいまだにPRされていた。


周辺地域に広がりを見せ始めた泊原発反対の声
 「福島の事故後、泊村、岩内町など地元四町村では、大きな運動の盛り上がりはないのですが、3・11の原発事故の実態を目の当たりにして、むしろ、遠隔地域の反応が大きいと思います。なぜなら、原発は一度爆発を起こすと、遠隔地でも他人事でないことがはっきりしたからだと思います」
 例えば、余市町など三〇キロ圏内の地域の農業者たちが、七月に「泊原発を止める会」を結成、斉藤さんは講演者として招かれ、四五〇名もの参加があったという。余市町はフルーツの町といわれ、若い農業者も多く、福島の農作物の汚染の実態に危機感を募らせるのは当然のことだ。岩内町でもこの四月の町議選で、斉藤さん同様「脱原発」を訴えてきた町議が初めて当選した。
 「原発に賛成する人から、議会には原発に反対する監視役のような人も大切だといわれました。こんなことを聞いたのは初めてです。町の中でも泊原発について、話しかけてくる人も少なくない、嬉しいですね」
 斉藤さんの長年の孤軍奮闘がいま、少しずつ実り始めているのかもしれない。

BMW技術協会 事務局 大田 次郎

Author 事務局 : 2011年11月01日12:09

【AQUA236号】9月19日 脱原発5万人集会(明治公園)

 九月一九日、 3・11から半年の時期に「9・19さようなら原発一〇〇〇万人アクション」が東京の明治公園で開催されました。当日、会場は、六万人を越える参加者で、会場に入れないほど人が溢れかえりました。午後一時、イベント終了後に集会が始まり、呼びかけ人の鎌田慧さん(ルポライター)、大江健三郎さん(作家)、落合恵子さん(作家)、澤地久枝さん(作家)、フーベルト・ヴァイガーさん(FOEドイツ代表)、山本太郎さん(俳優)、武藤類子さん(ハイロアクション福島原発)が登壇し、脱原発を力強くアピールしました。
 集会の演壇前には、数台のバスを連ねて福島から参加した被災者が陣取り、東京電力や国の原発推進を厳しく糾弾する姿が印象的でした。その後、参加者は、三コースに分かれて都内のパレードを行い、沿道の市民からも多くの声援をもらい、明るく楽しい雰囲気の集会となりました。参加者は、老若男女幅広い層の人々で、思い思いの衣装や手作りのパネルを掲げてのウォークでした。
 この集会の最後には、今年中に脱原発一〇〇〇万人署名を実現しようとの訴えがあり、この集会はあくまでキックオフ、今後の署名活動と、この集会の人数を上回る数の集会を全国各地で開催しようとの行動提起がありました。
(BMW技術協会 事務局:大田 次郎)

Author 事務局 : 2011年11月01日12:07

 
Copyright 2005 Takumi Shudan SOLA Co.,Ltd All Rights Reserved.