パルシステム「こんせん72牛乳」生産牧場でBMW技術を導入【AQUA207号】

パルシステム「こんせん72牛乳」生産牧場でBMW技術を導入
根釧地区の酪農家とパルシステム、BM技術協会で、今後学習活動を展開


 二月七~八日、パルシステム生活協同組合連合会の「こんせん72牛乳」生産牧場である北海道厚岸郡厚岸町の石澤牧場において、レインボー・パル基金助成活動対象施設プレート及び、BM技術協会認定プラントプレート設置式が行われました。石澤牧場には、二〇〇八年度パルシステム連合会のレインボー・パル基金の助成対象として、BMW技術を利用した生態系本来の水をつくる飲水改善施設が、「こんせん72牛乳」生産牧場に初めて導入されました。
 当日は、パルシステム連合会から、和知稔専務補佐と那須豊産直開発課長、BM技術協会から椎名盛男常任理事、礒田有治事務局長、施設施工に当たった㈱匠集団そらから星加が石澤牧場を訪問し、レインボー・パル基金助成活動及び協会認定プラントプレートの設置を牧場主の石澤元勝さんと一緒に行いました。
 石澤牧場でのBMW技術の取組みは、一昨年に生物活性水を購入して牛の飲水へ添加したところ、搾乳牛の乳房炎の治りが早くなる等の効果があったことがきっかけとなり、その話を聞いたパルシステム連合会のすすめで今回の飲水改善施設の導入となりました。
 厚岸町では地下水の水質が悪く、乳牛の飲み水には、上水道を利用しています。そのため、石澤さんは本格的にBMW技術に取り組もうと、手始めに飲水改善プラントの導入を検討していました。石澤牧場の生乳は、パルシステムの「こんせん72」牛乳として多くの組合員へ供給されています。その関係からレインボー・パル基金の助成を利用することができ、昨年の九月、飲水改善プラントが設置されました。
乳房炎の減少により生乳出荷量が一四%増
 石澤さんは、牛を牛本来の生態にもとづいて飼育するマイペース酪農に取組んでいます。マイペース酪農では、親牛一頭あたり牧草地一ヘクタールを利用して、牧草を主体にして輸入濃厚飼料はあまり使わず、搾乳量も五千~六千リットル/年間(一頭)程度にし、牛への負担を少なくし、健康で長く飼養することに主眼を置いています。現在、石澤牧場では搾乳牛を四五頭飼育し、草地は五三ヘクタールとなっています。北海道での酪農の主流である多頭飼育・多量搾乳とは正反対で、その名のとおりマイペースで牛にも、そして管理する人にも無理がかからない方法です。人のためになってくれる家畜を健康に飼育することができるように、生態系の飲み水に変えて飼育するBMW技術の考えかたにもマッチしています。
 昨年八月の飲水改善施設導入以降、「乳房炎の発生が減少し、発生しても、治りが早くなる等の効果が見られ、このため、生乳の出荷量が一四%アップしている」と石澤さんは話します。
地元酪農家らとミニBMW学習会を開催
 七日の夜は、マイペース酪農に取り組んでいる厚岸町や別海町の酪農家など十人が石澤牧場に集まり、BMW技術のミニ学習会が開かれました。礒田事務局長からは、BMW技術の概要、椎名常任理事からは、北海道における技術展開の歴史や、BMW技術の「水」について解説が行われ、参加した酪農家の皆さんからも、活発な質問が寄せられました。
 また、学習会に参加したマイペース酪農の高橋昭夫事務局長からは、根釧地区においては、酪農からの糞尿が地下水を汚染してきた結果、家畜のみならず、人も上水道に頼らざるを得ない状況になっていることや、道東地域の沿岸部の漁業にも深刻な影響を与えている。そのため、行政や地域の漁協も協力して、酪農家の糞尿処理に助成している状況になったことをお聞きしました。
 パルシステム連合会の和知常務からは、「こんせん72牛乳」を根釧地区からこれからも供給し続けていくために、石澤牧場でのBMW技術の取り組み事例をもとに、環境問題への取組みに協力し、BMW技術をはじめとする学習会を生産者、BM技術協会とともに、ここ厚岸町から始めていきたいと提案がありました。
 今後、生産者、BM技術協会、パルシステム連合会の三者で協議の上、学習会活動を展開していく予定です。(報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2009年04月01日20:51

韓国・楊平郡の親環境農業の現状【AQUA207号】

生産農家の生物活性水需要が急増、日量6トンの生産・供給体制へ
韓国・楊平郡の親環境農業の現状
そらインターナショナル・コリア代表取締役 ハ・ジョンヒ

韓国の親環境農業のメッカ、楊平郡
 京畿道楊平郡は大韓民国の親環境農業の誕生の地です。楊平(ヤンピョン)郡は北漢江と南漢江が合流する八党上水源の中心地域に位置しており、清らかな水を二千二百万人の首都圏地域に供給する地でもあります。それだけに、それによる規制や制約が多く、農業以外の経済活動は難しい状況であり、水質と環境の保全を国に求められていた楊平郡では、親環境農業が宿命的な課題でもありました。
 一九九五年、選挙によって初めて楊平郡守(郡知事に当たる)に就任し、二〇〇二年まで郡守を務めた 閔丙采(ミン・ビョンチェ)元郡守は、郡と地域が生き残る唯一の方法として土(農業)にかける決心をし、一九九七年一二月、「第二の農業復興運動」を宣言し、これを本格化するために、一九九八年四月、全国最初の親環境農業の実践運動である「楊平親環境農業―21」を八か年(一九九八年~二〇〇五年)計画で推進し始めました。その成果として二〇〇七年度には韓国政府の財政経済部より実施された全国「親環境農業特区」 の中で大賞を取るなど、楊平郡は韓国の中でも「親環境農業のメッカ」と呼ばれている地域となっています。
二〇〇〇年度から生物活性水の生産と供給を開始
 「楊平親環境農業―21」の一環として、二〇〇〇年度から、いわゆるBM生物活性水供給プロジェクトが始まりました。二〇〇〇年オクチョン面(地区)に一日一トンの生物活性水を生産・供給する第一期生産事業が始まり、二〇〇三年度には、ヤンドン面に同じ規模の第二期BMW生物活性水プラントが設置され、現在、楊平郡が直接一日二トンの生物活性水を生産し、管内の親環境農業生産農家に無料で供給しています。
耕作や畜産に幅広く活用され効果を上げている生物活性水
 楊平郡農業技術センターの農業開発課経営畜産担当は、「BM生物活性水を農作物の播種及び定植の前に原液で散布し、生育期に一〇~五〇倍液で散布すれば、農作物の成長を健康にし、病害虫に対する抵抗性や貯蔵性、葉の光合成の活性化に効くなど、農作物の親環境農業に多く役に立つ」と説明します。また、「畜産農家では五〇〇倍に希釈して家畜の飲水として与えた場合、家畜の腸内に微生物のバランスが取れて、各種の病気に対する抵抗性を高めて飼料の効率の改善にも多く役に立つ。畜舎の中に消毒のかわりにまけば、悪臭を除去するだけではなく、ハエやカなど、病気を誘発する害虫の発生を防ぐ効果が優れており、牛や豚、鶏、犬など、全畜舎で使用が急増している」と話します。生物活性水の効果と普及が管内生産者に浸透していることが分ります。
需要増加に対応し、日量四トン生産の生物活性水施設を今年度増設
 このように楊平郡では親環境農業資材として生物活性水の優秀性が知られるようになり、生産農家の需要が急増しています。二〇〇七年度には前年対比で供給量が二五〇%も増加しました。八八五農家に六六一トンを生産・供給したと報告されています。しかし、これでも需要に追いつかず、今年度には約二億ウォンを投入し、一日四トンを生産・供給できるBM生物活性水施設の着工を三月に予定しています。
 また、楊平郡で韓牛を一〇〇頭以上飼育している畜産農家には、BMW飲水改善および生物活性水プラントの設置工事費用を補助することになり、今年はまず四農家が補助対象として決定しました。楊平郡では「農業者の期待に応じ、楊平郡親環境農業を成功させるために、より優秀なBM生物活性水を生産、普及することによって、農業者の高品質の親環境農畜産物を安定的に生産することに役立つように積極的に推進していく」としています。

Author 事務局 : 2009年04月01日20:49

韓国視察研修会をBM技術協会と日・韓のそらで企画【AQUA207号】

韓国視察研修会をBM技術協会と日・韓のそらで企画
韓国のBMW技術の取組みを学ぼう
㈱匠集団そら 秋山 澄兄


 そらインターナショナルコリアのハさんから韓国楊平郡でのBMW技術の取組みが紹介されましたが、現在、韓国内には、約七〇ヵ所にBMW技術による排水処理施設や生物活性水施設、飲水改善施設があります。楊平郡のように自治体主導により、生態系の保全にBMW技術が地域の核となっている例をはじめ、農業学校や生協が中心となり地域一体で有機農業に取り組んでいるプルム農学校等にもBMW技術が導入されています。 
 韓国におけるこうした取組みは、今後、日本における生態系を保全・再生しながら地域資源を活かした生産・生活・地域づくりを進めていく上で、多いに学ぶべき点があります。
 そこで、BM技術協会では、今年、会員生産者やその後継者をはじめ、各会員生活協同組合、さらには自治体、農協等、幅広い方々を対象に、陽平郡をはじめ、韓国内での取組みを研修することを二月の常任理事会で決定しました。これを受けて、協会と㈱匠集団そら、そらインターナショナルコリアで、韓国視察研修プログラムを企画します。
 研修プログラムが出来次第、会員の皆様にお知らせしていきますので、是非、ご参加いただければと思います。
 現在、楊平郡以外に訪問を予定している地域は次の地域です。
●プルム農学校:忠南洪城郡洪城
 地域を守る人づくりを実践しているプルム農学校、学校OBなどの手によって設立された洪城プルム生協。農学校を中心に地域作りが進められている、韓国有機農業の聖地を視察します。(AQUA 192号参照)
●山自然学校:慶北永川市
自然・環境・生態系を日常的に体験し、子どもたちが、自然の循環システムを学ぶ教材としてBM技術が導入されている代案学校を視察します。(AQUA 191号参照)
●ガンジー学校:慶尚南道山清郡
 ドゥンチョル山のふもとに「アンソルギ」という共同体は韓国で初めて「計画的な生態系保護」のための共同体です。
アンソルギをつくったのはガンジー学校という自由な教育を行う学校です。
 日本ではフリースクール、などと呼ばれているようですが、韓国では、型にはまった公教育とは違う、伸び伸びした子ども中心の教育を行う特別な学校(代案学校)です。
 ここでは一八世帯が生活しており、ガンジー学校の教育方針に賛同した教師と親達によって、学校を中心に共同体が形成されています。
 住民の職業もガンジー学校の先生をはじめ、漢方医、公務員、大学教授、建築家など、全国から集まった多様な人達が、自然を愛し、生態系を保護するために地域作りに取り組んでいる姿を視察します。
●済州島
 楊平郡と同じく、自治体が中心となってBMW技術の取組みを始め、島の特産物でもあるミカンを栽培している農家や、養豚場などを視察します。楊平と同じく、タンクローリーに生物活性水を積み、各農家に配達する取り組みが始まろうとしています。
 その他の候補地は春川生協、緑の平和生協などです。

Author 事務局 : 2009年04月01日20:48

「飼料用米ならびに有機栽培米学習会」開催【AQUA207号】

 ポークランドこめ豚協議会・JAかづの主催「飼料用米ならびに有機栽培米学習会」開催
 BMW技術を活用した有機栽培米・有畜複合農業実践事例を報告


 二月一二日、秋田県鹿角市「エスポワールかづの」にて、「飼料用米ならびに有機栽培米学習会」が開催され、峯村正文BM技術協会理事(新潟県・㈲謙信の郷)と、伊藤幸蔵BM技術協会常任理事(山形県・㈲ファーマーズクラブ赤とんぼ)が、BMW技術を活用した有機栽培米づくりと、有畜複合農業について、実践事例報告を行いました。
 同学習会は、BMW技術を活かした養豚に取組むポークランドグループを中心に構成されているポークランドこめ豚協議会と、JAかづのが主催し、鹿角飼料米推進協議会の協賛で実施されました。学習会には、秋田県の稲作農家を中心に、パルシステム、同組合員、全農等から約一三〇名の参加がありました。以下、内容の概要を報告します。
 学習会は、㈱パルミート代表取締役でパルシステム生活協同組合連合会の山本伸司専務補佐(BM技術協会常任理事)から来賓挨拶が行われ、「これまで日本の畜産は輸入飼料に頼って成長を続けてきたが、日本の食料自給率は四〇パーセント以下となっており、飼料自給率にいたっては二五パーセントである、しかし国産飼料をつくるには国の補助金なしではとても採算が合わないという現状の中で、どうすれば日本の食を自給的な方向へシフトしていけるのか」と、問題提起が行われました。
 続いて、経過報告として、JAかづの綱木作之亟営農部長より、現在までの鹿角市での飼料米の取り組みについて、説明が行われました。多収穫品種・試験品種の導入実験、堆肥投入量の比較試験、平成二〇年産の生育記録と収量実績等の発表があり、食用米と同様に飼料米栽培も堆肥・土作りが大切であるとの報告が行われました。また、鹿角市農林課の佐藤寛水田対策班主任からは、「水田等有効活用促進交付金」について具体的な説明が行われました。
飼料米の全国動向
 飼料米の全国動向について、最初に全農畜産総合対策部の谷清司整備推進課長から「飼料米の畜産への利用」と題して実証試験と調査の報告がありました。減反の休耕田や作付け放棄された田を飼料米生産によって活用することで、洪水防止、河川流況安定、地下水涵養、土壌浸食(流出)防止、土砂崩壊防止、有機性廃棄物の処理、気候緩和、住民のやすらぎ・保健休養などの多面的機能が期待できると発表が行われました。
 次に、全農の飼料畜産中央研究所、養豚グループの野口剛氏から、「養豚飼料への飼料用米の利用」と題して報告が行われました。高温多湿で水が豊かな日本において、飼料米生産は風土に適しており、畜産飼料としてもトウモロコシ等、他の穀物に比べても遜色なく優れている点が多いことが、実際の発育成績・豚肉の食味得点とともに解説されました。
 続いて、東京農業大学の信岡誠治准教授から「飼料米の生産など耕畜連携の進むべき方向とその課題」と題して講演が行われました。信岡准教授は「飼料米の生産によって休耕田の活用による環境保全、地域経済の活性化、担い手作りなどの効果が期待できるが、輸入飼料に対抗するには大規模なコスト削減が必要になり、集約化を進める必要がある。食用米との区分管理、分別流通のためのコストも新たに考えなければならない。しかし、逆に高価な化学肥料、農薬は使用できないため、飼料米は必然的に有機稲作になり環境保全型農業になる」と、述べました。
「こめ豚」の試食も
 昼食時間には、ポークランド飼料米育成豚「こめ豚」の現在までの取り組みについて制作されたビデオの上映が行われました。
 また、「こめ豚」の試食が同時に行われました。従来の飼料で育てた豚肉、飼料米を四〇パーセント配合して育てた豚肉、六〇パーセント配合した育てた豚肉を豚しゃぶにして、参加者が試食しました。味はどの肉もほぼ変わらない美味しいものでした。
稲作における有機栽培とBMW技術
 BMW技術による稲作の有機栽培実践事例として、㈲謙信の郷の峯村正文BM技術協会理事から、「BMW技術を活かした稲つくり、楽しく面白く稲作に取り組んで」と題して、稲作における有機栽培の実践事例の講演が行われました。有機稲作における苗づくりの重要性、秋処理の大切さ、「ドクターソイル」による土壌分析の活用、イネミズゾウムシ対策など、有機栽培の具体例がBMW技術の活用法とともに解説されました。
 続いて、山形県㈲ファーマーズクラブ赤とんぼの伊藤幸蔵BM技術協会常任理事から「地域の有畜複合」と題して講演が行われました。赤とんぼの稲作生産者が利用しているBM堆肥や生物活性水を供給する米沢郷牧場での畜産の取組みや、有畜複合経営の実践状況と集団リサイクルシステム、子供たちの食育や田んぼの生き物観察会等の地域交流、地域の岩石をも有効資源として活用するBMW技術を基本においた地域資源循環型農業が語られました。
BMW技術による耕・畜の連携と
   飼料米の可能性
 平成二一年度のかづの地区の飼料米作付け希望面積は七五ヘクタールですが、そこに農林水産省の水田等有効活用促進交付金が交付されて「こめ豚」が年間一万八千頭出荷された場合、コスト的にトウモロコシの代替として飼料米が使用可能になるとの試算があります。ポークランド全体で飼料に一〇パーセントの飼料米を添加した場合、四七〇ヘクタールの減反が解消される計算になります。
 現状では、飼料米栽培は、様々な課題はありますが、BMW技術を導入した畜産から得られる堆肥や生物活性水の有効活用を図ることができれば、コスト削減につながります。耕作と畜産の連携による飼料米栽培は、東北などの中山間地域に適した農業の一つとして、今後、その可能性が期待されます。(報告:井上 忠彦)

Author 事務局 : 2009年04月01日20:47

福岡で有機栽培基礎講座を開催【AQUA207号】

有機栽培講座報告
福岡で~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培基礎講座を開催
西日本BM技術協会耕作部会・グリーンコープ青果生産者の会共催


 二月二〇日、福岡県久留米市のホテルニュープラザ久留米において、西日本BM技術協会耕作部会とグリーンコープ青果生産者の会との共催による~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培基礎講座が開催されました。講師には、BM技術協会の礒田有治事務局長、「土と水の学校」講師の小祝政明氏が招かれ、「有機栽培の基礎理論とBMW技術」について、講演が行われました。講座には、南高有機農法研究会、やまびこ会、糸島BM農法研究会、熊本県愛農会、丸忠園芸組合、グリーンコープ連合等から約一二〇人が参加しました。
 講座では、まず礒田有治事務局長から、「土と水の学校」の概要と目的、今までの取り組み会員団体での成果について説明がありました。BMW技術と有機栽培理論の融合による実践・成功例として各地のBM会員生産団体の青果生産物の写真や、収穫量や品質の向上等を紹介し、「良質の土づくりを行うには、先ず物理性の改善として堆肥の特質を見極めて使用することが重要。生物性の改善には堆肥と生物活性水の活用が効果的で、化学性の改善は、土壌分析による施肥設計がポイントになる。また、創意工夫次第で、使用目的に沿った堆肥や生物活性水の開発が可能」とまとめがありました。
 続いて、小祝氏からは、有機栽培の基礎理論から具体的な植物生理理論の講義がありました。植物の生理を理解することが青果の生産にとってまず大切なこと、正しい(体積法による)土壌分析と実際に作物に有効な堆肥のつくりかた、その施肥設計について、具体例をまじえた説明が行われました。圃場の土は、べったりしたものではだめで団粒構造が望ましいこと、「物理性」「生物性」「化学性」の三つの要素のバランスのとれた有機堆肥が優れていることなどが、図表とともに解説されました。
 また、単に安心・安全な食物づくりのためでなく、慣行栽培以上の高品質・高収量の野菜を育成する手段としての有機栽培という、従来の常識を覆す有機農業の可能性についても語られました。
 植物生理においても人間の生命活動においても、微量ミネラルがきわめて大事な働きをするという解説も行われました。葉緑素の主要成分であるマグネシウムは、心臓や筋肉の働きを正常に保ち、精神安定、脂肪の代謝、血圧の正常化に欠かせないこと、現在、鬱病対策用として販売されているサプリメントの主要成分は葉酸(マグネシウム)であること、つまりストレスにさらされやすい現代人にとって緑の葉野菜を摂取することの重要性なども紹介されました。
 炭水化物の分子式、化学式なども登場する講義内容でしたが、熱のこもったわかりやすい小祝氏の解説であったため、講演の後の質疑も多く寄せられ、密度の濃い内容の三時間となりました。(報告:井上 忠彦)

Author 事務局 : 2009年04月01日20:45

二月度常任理事会開催【AQUA207号】

 二月二四日、二月度常任理事会が、東京・飯田橋で開催され、協会運営・体制や、第一九回BMW技術全国交流会開催内容等についての協議、入会申請の審査が行われました。
新入会員紹介
石澤元勝 (北海道厚岸町)=プラント会員市毛一郎 (茨城県茨城町)=個人会員

Author 事務局 : 2009年03月29日15:43

 
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