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2007年12月01日

~自然学を実践する~「土と水の学校」報告 【AQUA192号】

有機栽培講座 今年のまとめを各地で実施

 ~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座が、一〇月、謙信の郷、会津うまいもの塾、ファーマーズクラブ赤とんぼで小祝政明先生を講師に開催されました。いずれも今年の取組みの結果を踏まえたまとめの講座となりました。それぞれの報告を紹介します。

新潟県・謙信の郷
●稲つくりの裏技    
 稲の収穫も終わった一〇月二五日(木)、上越市三和区神田集落センターで、「謙信の郷」主催の第三回~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座が開催されました。
 今回は、一年の締めくくりとして、メンバー各々が栽培したお米を試食して食べくらべる事が最大のテーマです。
 折しもこの時期は大豆刈りの最後の追い込みで、参加者は少なかったのですが、幸い「魚沼有機」の農家二人がお米を持って講義に参加してくれて、様々なお米の食べくらべが出来ました。日常使っている電気釜を使用し、四種類の米を試食し、「香り」「甘み」「粘り」「食感」などを比較しながら、一人一人感想を述べました。
 一言に、美味いお米と言いますが炊いたご飯が、それぞれ個性があり、特徴があることを再認識しました。
 この試食を踏まえ、どのような特徴の米を作っていくかについて、有機栽培における肥培管理の面から次の事が小祝先生から解説されました。
◆量の観点  分けつの確保ではNとKが重要。
◆美味さ、甘さの観点  CaやMgが重要。
 そして、移植後の追肥ではNとMgが収量と食味の鍵を握っていること。肥培管理面から出穂四〇日前が重要な時期ですが、いずれもCaがベースになっていることが大事であること。また、甘さの観点からはマンガン、ホウ素が重要な点も解説されました。
 前回の講義では有機栽培における「苦土」の稲作診断のポイントを、今回は、食味における「苦土」の追肥の重要性がポイントでした。   
(報告:謙信の郷 峯村正文)

福島県・会津うまいもの塾
●いもち病対策を検討
 一〇月二七日(土)、小祝先生を講師とした「土と水の学校」有機栽培講座が、米栽培農家など二〇名の参加のもと福島県喜多方市で開催されました。
 「今年の反省と来期作に向けて」がテーマで、中心になったのは米減収の原因と対応についてです。今年、減収の最大の要因となったのは、九月の台風九号前後の雨とその後二二日まで続いた猛暑と推定されました。この結果、いもち病が蔓延したうえ粒が細くなってしまったのです。
 いもち病対策では、病気に強い品種にする。風通しを良くする。栽培時期をずらす。などの案が検討され、風通しを良くすることが有力となりました。茨城の事例では、二条植え、一条空きの作付けで収量も上がっており、風の弱い地域では実践してみる価値が十分あると思われます。
 さらに、水管理や乾し方、追肥時期と肥料、稲ワラ分解と微生物の働き、倒伏防止策、堆肥と微量要素の相乗効果など稲作の基礎を話していただいた後、来期の稲作にはこれらを活かすことを確認して閉会となりました。
(報告:会津うまいもの塾 佐藤邦夫)


山形県・ファーマーズクラブ
赤とんぼ
●硝酸イオンが少ないキュウリは美味で食感も良い
 一〇月二八日(日)、山形県川西町のファーマーズクラブ赤とんぼを会場に、今年の締めくくりとなる「土と水の学校」有機栽培講座が開催され、一五人が参加しました。
 今年度、野菜栽培では、「硝酸イオンが少ない安心で美味しい野菜作り」と「多収穫と安定収量」を目指して取組みました。結果として、硝酸イオンが少ないキュウリは、甘くて食感が良く、美味しいと確認することができました。
 キュウリ栽培における問題点として、「病気」や「落花」などがあり、小祝先生から肥料状態がどうだったか、腐敗による原因やホウ素不足が考えられることなどの説明と、対処するための適切なアドバイスをいただきました。
 米作りでは、イモチ病対策の質問がありケイ酸不足が考えられ、初期成育から必要量を吸収できれば病害虫に強い頑丈な茎葉になることなどを学習しました。
 今後の課題として、施肥設計の充実と肥料分解に必要な微生物(放線菌・酵母菌等)をタイミングよく使用することや、鉄、ホウ素などの微量要素を補い、健康に育てることが重要と考えます。来年度は、さらにミネラル豊富な美味しい野菜づくりを目指していきます。
(報告:ファーマーズクラブ赤とんぼ 武田 和敏)

Author 事務局 : 2007年12月01日 12:31

 
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