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2008年06月01日

「有機認証取得がはじまりました。」第8回 【AQUA197号】

BM技術協会会員の最近の動向
有機認証取得が始まりました

第8回 福島県・会津美里町
(株)会津うまいもの塾
    代表取締役 佐藤 邦夫さん

有機認証所得日 2001年7月1日
有機認証面積  121アール

 BM技術協会では、これまで、自然生態系の保全・回復を目指し、資源循環型の農業技術の普及に取組んできました。三年前から会員の各産地で取組まれている~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座では、BMW技術を活かし、有機栽培技術の確立を図ろうとしています。アクアでは、有機農業に取組み、有機JAS認定を取得している協会会員・産地にJAS認定取得の動機や経緯、現在の「有機農業」を巡る動きについて、どう捉えているかインタビューを行っています。第八回は、福島県の(株)会津うまいもの塾・代表取締役で、稲作やトマトなどの有機栽培に取組む佐藤邦夫さんです。    (まとめ:礒田有治)

――有機栽培をはじめようと思ったきっかけと、経過についてお聞かせください。
佐藤 特別に有機栽培をしようという意識はありませんでした。普通に食べ物を作ろうとしたらそうなったということです。
――現在、有機栽培で、どんな作物に取組んでいますか。
佐藤 最初にトマトと柿、次に米、最近はニンニクも少々作り始めています。
――有機栽培では、どんな点に難しさを感じますか。
佐藤 普通の栽培と同じで、病害虫に一番悩みます。農家にできるのは、作物が育つ上で最善と思われる環境を整えることしかありません。植物はモノを言わないので推測するしかないのですが、何年やっても難しい。よく、病害虫の付かないような健全な作物を育てれば良いと言われますが、これも難しい。いまだに何が最善かわかりません。それから周囲に有機栽培に対する理解がなくてもいいんですが、以前隣で果樹栽培をされていて、スピードスプレヤーで農薬を撒き散らされて悩んだことがあります。あれは本当に困ります。
――有機認証については、どうして取得されようと思われたのですか。
佐藤 言葉には定義が必要だと思います。昔、有機農産物についてはいろんなトラブルや事件がありました。個人個人で言葉の中身が違うのでは困ります。まして、買ってもらう食べ物ですから、有機に対する社会的なルールができたのは一定に良いことだと思います。独りよがりでは仕方がないので、私も買って食べてくれる人に対する公的な説明のために取得することにしました。
――有機認証を取得する上での難しさや、現状の認証制度に対するご意見はありますか。
佐藤 有機は常にチェック、確認、記録です。それもすべて書類で行う必要があります。書くことが苦手な人やあまりにもルーズな人は難しいでしょう。普通の人なら取得できると思いますが、多少労力は必要です。ただ、何のために取得するのかは問題です。有利販売だけに目が行っているとしたら、少し考えてみたほうがいいと思います。どんな仕事でもそうでしょうが、最後はその人です。現在の認証制度については特別な意見はありませんが、有機という言葉の定義に抽象的な部分があるので、簡潔にわかりやすくしてほしいと思います。認定を受けている人でも、その通りに言える人は少ないのではないでしょうか。もう一つ、今後種についての規制が強化されると困ります。ないとは思うのですが、有機圃場で採取した種子しか認めない、などとされては難しくなります。
――大手量販店でも有機農産物の取扱いを増やす動きがありますが、それについて、どう思われますか。
佐藤 生産量が少ないので、私の生産物は対象になりませんが、歓迎です。有機農産物に対する認知度が広まればと期待します。同時に量販店で小分けの認証を取得するのが一般的になってくれると助かります。わずかですが、地元の量販店に出荷したとき、その店が認証を取っていないので、朝の収穫後、計量、袋詰、JASマークによる有機表示をし、ただちに届けなければならず、うんざりしました。小分け認証があれば、ダンボールで出荷できるし、店側も売れ行きに応じて商品を陳列できると思うので、取得してもらいたいものです。
――有機農業基本法が策定され、各県では、その施策の策定が進められていますが、行政に対して意見や要望はありますか。
佐藤 有機農業を支援するというのはよいことだと思います。福島県では、この法律の少し前から有機農業推進の取り組みを始めていて、勉強の場や生産者の集まる場を提供してくれています。先日は「水稲紙マルチ情報交換会」がありました。基本法についてですが、有機認証より有機の定義がゆるく、これを真に受けて有機だと思って栽培すると認証が取り消しになってしまうと思います。この部分を整理して進めてもらいたいと思います。
――有機栽培をはじめ、今後、どんなことに取組んでいきたいと考えておられますか。
佐藤 個人的には食べて喜んでもらえるものを作れればと思っています。地域で言うと、若い人に前面に出てもらい、活動してくれるようにしたいですね。先日、二〇代四人ほどで集まって情報交換の場を持つようにするということになったようなので、これがどうなるかです。引き継げるところは引き継いで、新たな取り組みをしてくれるようバックアップするつもりです。

Author 事務局 : 2008年06月01日 16:15

 
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