« BMW技術を活用した有機栽培に着手 【AQUA199号】 | メイン | 田んぼの生きもの調査(第3回)のご案内 »

2008年08月01日

自然学を実践する「土と水の学校」報告 【AQUA199号】

●長崎・南高有機農法研究会
西日本BM技術協会 共催 有機栽培講座
  ジャガイモのソウカ病対策
  有機肥料の散布方法もポイント
 長崎県南島原市で六月四日、~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座が、南高有機農法研究会(南有研)と西日本BM技術協会の共催で開催されました。講師には、「土と水の学校」講師の小祝政明氏を迎え、南有研と西日本BM技術協会からは、二五人が参加しました。
 最初に昨年、ソウカ病対策として乳酸菌を活用し、効果を上げた南有研生産者のジャガイモの圃場を巡回しました。今年は同じく乳酸菌を活用したものの、ソウカ病が発生しました。その原因を特定するため、小祝氏は、生産者に昨年と栽培方法が変わったか、どのような施肥方法を行ったかを訊ね、原因を明らかにしていきました。その結果、有機肥料の散布方法、乳酸菌の投入量が今回のソウカ病発生につながったものと想定しました。
 続いて、ジャガイモ生産者が、鶏糞を材料につくっている堆肥現場を巡回しました。生産農家がもらってきた鶏糞そのものが未熟なため、臭いがあり、このまま圃場に投入すると、病原菌の繁殖につながることが指摘され、堆肥場の改善案が示されました。
 圃場巡回を終えた後の小祝氏の講義では、今回のソウカ病発生の原因が解説され、その対策を総合的に検討しました。とりわけ、病気が発生している圃場では、無菌状態の有機肥料をそのまま散布することは、病原菌の増殖につながり、病原菌に対抗する菌を有機肥料に混ぜてから散布することが対策として有効であることが指摘されました。
 続いて、西日本BM協会から今回参加した会員を対象に植物生理、とりわけ光合成の仕組みについて解説が行われ、植物生理に基づいた施肥設計の重要性が強調されました。その後は、参加者の代表的な栽培作物を例に、パソコンを使用した施肥設計講習が行われました。初めて、パソコンを利用して施肥設計を行った参加者からは、「是非、自分も試してみたい」と感想を述べていました。(報告:礒田有治)


●新潟県・謙信の郷
  育苗培土の検証とイネミズ対策を検討
 六月一四日、謙信の郷のメンバーの水田を巡回し、技術的課題の検証と対策の検討を行う「土と水の学校」有機栽培圃場巡回検討会が開催されました。
 今回の目的は、昨年、実施されたBM活性堆肥による水稲育苗用培土づくりと、生物活性水を利用したプール育苗実験を基に行われた今年度の育苗の検証と、昨年から大発生しているイネミズ対策の検討です。

 最初にメンバーの圃場の巡回し、生育状況を観察しました。栽培に紙マルチを使用している圃場では、葉色が落ちて生育の停滞が見られます。停滞の原因はイネミズの発生と低温です。次に観察した圃場は、合鴨と、除草機使用による圃場です。合鴨の圃場は、順調に生育していましたが、除草機使用による圃場は、イネミズの大発生のための停滞が著しく、根が抜けてしまうため除草機も押せない状況で、雑草が繁殖しています。
 最後に観察した圃場はイネミズ対策として、合鴨農法を全面導入しており、イネミズ害を完璧に抑え、かつ除草効果も大いに上がっており、生育は抜群に良好です。
 全般に、秋耕いによる水田の藁処理は問題なく、ガス沸きも発生していませんが、全員イネミズの大発生には困っている状況でした。
 巡回終了後は、地元の集落センターで、巡回に参加した礒田有治BM技術協会事務局長を交え、検討会を行いました。
 最初に昨年の実験に基づき、BM活性堆肥を利用した培土による今年の育苗結果を検証しました。メンバーの報告では①市販の有機育苗培土にありがちな育苗期間中のカビの発生や、病気の発生は一切見られなかった②昨年の実験では育苗中に肥料切れは見られなかったが、今年は肥料切れが見られた――というものでした。肥料切れについては、何が昨年の実験と違ったかを検証するとともに、各地で行われている育苗事例をもとに、課題を検討しました。
 次にイネミズ害対策を検討しました。一つめは、まず根本的にイネミズ個体数を減らす方法、二つめは、イネミズに負けない健苗づくりです。健苗づくりについては最初に検討した培土づくり、そして育苗中の管理を検討し、さらにプール育苗中の生物活性水のより有効な使い方、つくり方について意見交換を行いました。
(報告:井上忠彦)

Author 事務局 : 2008年08月01日 21:30

 
Copyright 2005 Takumi Shudan SOLA Co.,Ltd All Rights Reserved.