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2008年12月01日

有機認証取得がはじまりました!第11回【AQUA203号】

第11回 新潟県・謙信の郷

金谷武志さん
 BM技術協会では、これまで、自然生態系の保全・回復を目指し、資源循環型の農業技術の普及に取組んできました。四年前から会員の各産地で取組まれている~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座では、BMW技術を活かし、有機栽培技術の確立を図ろうとしています。アクアでは、有機農業に取組み、有機JAS認定を取得している協会会員・産地にJAS認定取得の動機や経緯、現在の「有機農業」を巡る動きについて、どう捉えているかインタビューを行っています。第一一回は、新潟県の謙信の郷で、稲作に取組む金谷武志さんです。    (まとめ:井上忠彦)

―――有機JAS認証はいつから取得されましたか?
金谷 日本で有機認証がはじまった年からやってます。その前も無農薬で稲作をやっていましたけど。認証の書類整備は全部自分でやってますが、やっぱりこれは負担になります。
―――有機で稲作する場合の問題点はどういうことですか?
金谷 最近はイネミズゾウムシが増えてきて害虫の対応が難しくなっています。鴨を三ヘクタールの田んぼに入れています。除草のこともありますが害虫の面で鴨はかなりいいですね。
 無農薬の技術は高めたいですけど、毎年いろいろな失敗があります。やっぱり有機は減収するリスクが高いです。まぁ、好きで無農薬をやってるんですが。長年、有機でやっているといままで問題にならなかった害虫も増えてきたり。こういってはなんですが、地域全体が減農薬になると虫も増えてくるのかもしれない。また草の種類も変わってきます。以前はヒエが問題になり、米ぬか除草で押さえられるようになりましたが、毎年毎年違う草が生えます。多年草が増えてしまうと対応が難しいです。
―――有機栽培米の販売価格についてどうお考えですか?
金谷 有機栽培米は、手間がかかる分どうしても値段が高くなってしまうのは消費者に理解してもらわないといけません。今のところこだわった人向けで、どんどん広がるというところまではいきませんね。
 それから消費者も、価格が高いのだし有機米だからおいしいだろうっていうイメージをもっている。味覚、食味をあげる努力も必要です。
―――有機農業推進法についてどうお考えですか?
金谷 有機農業推進法ができて自治体に有機農業を推進する義務が課せられていますが、いままでは行政も関心が薄かったですね。有機認証を取るとなると手間はかなり増えますが、これから画期的な技術がでてきて作業が楽になるという可能性も低いでしょうしね。
―――行政に対してどんな要望がありますか。
金谷 国はいろいろと方針は出すんですけど、例えば「生産配分を生産者自らが決める」といってもそうはならない。結局、一律配分になる。もうすこし抜本的に生産調整のシステムができればいいと思います。もっと米をつくりたいのはみんないっしょですからなかなか難しいですが。
―――生物活性水をどのように使用されていますか?
金谷 活性水は苗にやっています。また、田んぼの微生物状況を改善する目的で流し込んだりもしましたが、やはり田んぼは広いですから効果がはっきりわかるほど大量に入れるのは大変です。試行錯誤していますが失敗や成功の原因がどの辺にあるのか、その年の気候にもよりますし田んぼだって一枚一枚条件が違いますから長期の研究が必要です。
―――有機農業の今後のあり方についてはどう思われますか?
金谷 一人でやっていたら失敗すると落ち込みますよ。酒を飲んでもまったく酔えない。やっぱり仲間が必要です。でも、ある人から成功したやり方を聞いても、その方法のどこに本当のポイントがあるのかやってみないとよくわからない。技術が向上するほど稲作がむづかしくなるように感じます。
―――今後の抱負は?
金谷 毎年、試行錯誤ばかりで失敗の連続です。作業も忙しすぎて三人の子どもの相手もできない。子どもが継ぎたいと思うような内容の農業にしたいです。
 わたしの親は以前、複合経営で加工品(つけもののつけ床)をつくったりしてました。しかし、人を導入して法人にして規模拡大できるならよいのですが、なかなか難しい状況です。今はまず米の方をしっかりやりたいと思います。米の価格が安くなったので、もっと個人販売を増やしたいですね。個人販売のお客さんとのいろいろなつながりができてくるのは本当にうれしいものです。だからホームページも充実させていきたいのですが、なかなか手が回りません。でも有機認証を取っていないとだめだよという風に社会もすこしづつなってきている気がしますね。

Author 事務局 : 2008年12月01日 14:14

 
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