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2013年10月01日

【AQUA258号】中国地方と高知県の「BMWプラント」巡回点検報告

中国地方プラント巡回
 八月二十七日から二十九日の三日間で中国地方島根県、岡山県のプラントを生田常任理事、秋山事務局長と巡回点検をしてきました。

◆島根県斐川町 池田農場
 最初に島根県斐川町の池田農場を訪問し、家庭の雑排水を合併浄化槽の一次処理水を原料にした生物活性水施設プラントを点検しました。
 ホーロータンクを四基設置してあります。原料が一次処理水なので色は少し薄く、EC値を測定してみると〇・四mS/cmでした。亜硝酸態窒素は、合併浄化槽からの処理水では〇・一mg/Lと検出していたのが、第一槽では〇・〇〇五mg/Lとなり第二槽目からは検出しませんでした。生物活性水は濁りもなく状態は良好でした。生物活性水はトイレの流し水として再利用されています。
 生物活性水は、最終槽からオーバーフローして自宅前の田んぼに排水されます。池田さんから「自宅前の田んぼにモリアオガエルが戻ってきた。周りの田んぼでは見つからない。」とのことで、自然生態系が田んぼに帰ってきたのではないかということです。

◆岡山県真庭市蒜山高原
 蒜山酪農農業協同組合
 ジャージー牛で有名な蒜山高原にある酪農協で、組合員の牧場で生まれた子牛を買い取り、育成牧場で育成しています。また全国的にも珍しいジャージー牛の雄牛の肥育もしています。ミルクプラントではジャージー牛乳のほかヨーグルト、アイスクリームなどの加工製品も製造しており、併設されているレストランで味うことが出来ます。
 BMWプラントは、使わなくなったバンカーサイロを活用して土木槽とし、飲水改善施設と生物活性水施設が一体となっています。平成九年から稼働を始めています。
 生物活性水施設を点検すると、EC値が〇・二七mS/cmと低く色も薄くなっていたので担当の野尻さんへ堆肥の定期的な交換をお願いしました。
生物活性水は、育成牛舎に散布ラインがあり、凍結してしまう期間を除いた四月〜十月まで散布しています
 育成牧場では、体験学習としてジャージー牛の乳しぼりなどで年間九五〇〇人の子供たちが訪れるそうです。

◆高梁市川上町堆肥センター、
JA美星食肉加工場
 岡山県高梁市の㈱三美産業の妹尾相談役(協会理事)の案内で、川上町のきじまる堆肥センターに設置している生物活性水施設を点検しました。
 プラントは、ホーロータンク四基を据え付けています。生物活性水の原料はここで製造される牛糞が主体の原料「きじまる堆肥」を利用しています。毎週木曜日に堆肥を交換しており、EC値は〇・八四mS/cmとなっていました。堆肥を交換すると第一槽には泡立ちも多くなるそうです。タンク間の移送は、水中ポンプを利用しています。
 生物活性水は堆肥づくりの攪拌発酵槽へ毎週一・五トンを散布して使っています。堆肥の年間製造量は八百トンになっていますが、前﨑センター長は、「川上町でも畜産農家の減少により原料糞の入手が困難になっている。」と話されていました。堆肥は果樹農家や耕作農家が利用しており、生物活性水もブドウ栽培に利用している農家もいるとのことです。

◆JA美星食肉加工場 排水処理施設
 美星町にある食肉加工場(ハム・ソーセージ)に設置した排水処理施設を維持管理している三美産業の伊達専務さんに案内していただきました。
 原水槽、流量調整槽、曝気槽、沈澱槽、汚泥培養槽などがコンパクトにまとめられた施設で、曝気槽槽の活性汚泥の沈降性などを見せてもらいました。処理施設からは、臭気も無く処理水も良好でした。この施設から出る余剰汚泥は、他の排水処理施設の種汚泥として有効に活用してるそうです。
      (報告:匠集団そら 星加浩二)
高知県プラント巡回
 八月六日〜八日の三日間、高知県のBMWプラントの巡回を行いました。巡回には大川村役場の長瀬憲章氏も参加、匠集団そらの星加浩二氏も同行し三名で五つのプラントを訪問しました。

◆高岡郡津野町
 津野町は、高知県の中西部に位置し、四万十川の源流点があることで知られる町です。
 町の堆肥製造施設に生物活性水プラントがあります。五tのホーロータンクが五槽、堆肥の発酵促進、水分調整に利用されています。農家の利用は少なく、米茄子の生産者と米の生産者が少しだけ利用しているとのこと。堆肥は牛糞を原料に副資材としておがくずを利用して製造され、地域内の農家を中心に利用されているとのこと。
 昨年の高知での全国交流会で発表された豊田庄二さんの米茄子を栽培しているハウスを訪問、米茄子はちょうど切り戻しの時期を迎えていました。豊田さんは津野町の堆肥製造施設で製造された堆肥を一〇aあたり三t施用、生物活性水は潅水時に毎回五〇〇倍で使用しています。花つきの良さや木の太さなど、収量を含め生物活性水を利用していないところとは差が出ているとのことでした。

◆高岡郡四万十町(旧十和村)
 四万十町は高知県の西南部にあり、窪川、大正、十和の三つの町村が合併してできた町です。以前は二つの養豚場があり、飲水改善、生物活性水、簡易尿処理のプラントがありました。堆肥の製造も行われ、お茶栽培や米、ししとうなどの栽培に生物活性水とともに利用されてきました。
 ところが数年前に二つの養豚場の方が続けて亡くなられ養豚場は閉鎖となってしまいました。現在は、近隣の肥育牛農家の牛糞を原料に堆肥を製造、この堆肥を生物活性水の原料としてプラントを稼働しています。生物活性水の利用は全体的量としては少ないものの、一〇名ぐらいの農家の利用があります。
 ししとうやピーマン、菜の花などの栽培に利用されているとのことでした。生物活性水プラントは土木槽で一槽が五tで五槽、日生産量は五〇〇リットルです。

◆土佐郡大川村
 大川村は高知県北部にあり、一九七七年完成の早明浦ダムにより、村役場を含め旧村の大部分が水没し、ピーク時に約四千人いた人口は白滝鉱山の閉鎖とダム完成による集落の水没などがあり、二〇一二年現在の人口は四四四人、日本の離島以外の市町村の中で最も人口が少ない村になりました。
 大川村には「大川牛」と「はちきん地鶏」の二つのブランドを持っています。その両方の農場に飲水改善プラントと生物活性水プラントが設置されています。
 大川村ではBMW技術基礎学習会が開催されました。参加者は大川村、はちきん地鶏と大川牛の生産をおこなっている「むらびと本舗」の職員と大川村で生物活性水を利用している農家、とさやま開発公社の職員を合わせて八名でした。参加者の中には生物活性水を長年利用されている方もいて、あらためて基礎的な部分を学ぶことができて良かったという声もありました。
 学習会の後には各プラントの点検が行われました。プラントは順調に稼働していましたが、堆肥の完成度がいまひとつの状態で、なぜこうなってしまっているかも理解できていないようでした。製造されている堆肥は乾燥しすぎていて、充分発酵ができていない状態であるということと、水分調整含めて生物活性水をきちんと散布するようにとアドバイスをしました。
 生物活性水プラントは二施設ともに五tのホーロータンクが五槽、日生産量は五〇〇Lです。

◆高知市〜夢産地とさやま開発公社
 高知市の北部にある土佐山地区(旧土佐山村)は鏡川の源流であり、高知県におけるBMW技術の中心でもあります。夢産地とさやま開発公社は今年の四月より一般財団法人として再スタート、若手の職員も多く、有機の里を宣言したこれからの土佐山の地域づくりに無くてはならない組織です。
 土づくりセンターに導入された生物活性水プラントは昨年一二月に倍の規模に拡大し、五tのホーロータンク五槽が二つのラインがあり、日生産量は一tとなっています。堆肥製造ラインも拡張され、堆肥の製造も一・五倍になっているとのこと。生物活性水は主に堆肥製造ラインでの散布に利用されていますが、農家での利用がまだまだ少ないので、堆肥を含めて、利用促進していくかが当面の課題となっているとのことです。

◆高知農業高校
 高知市の東側に隣接する南国市にある県立高知農業高校には昨年、生物活性水プラントが設置されました。学校内で製造している堆肥の発酵促進と臭いの抑制に利用されています。プラント設置前は近隣住民からの苦情もあったようですが、いまはまったくないとのこと。プラントは二tのFRPタンクが四槽で日生産量は二〇〇リットルです。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2013年10月01日 12:58

 
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