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2008年10月01日

BMW技術で地域資源を活用する無農薬バナナ栽培へ 【AQUA201号】

生物活性水プラント(トゥンカーワット農園経営農民会)開所式を開催

パン・パシフィック・フーズ・コーポレーション㈱  小山 潤

 去る七月二九日、日本に無農薬バナナを輸出するタイ・トゥンカーワット農園経営農民会に建設されたBM生物活性水プラントの開所式が催され、日本からは、パルシステム生活協同組合のタイ訪問団一八名が出席し、BM技術協会からは、椎名盛男常任理事が出席しました。同プラントはすでにタイ政府の補助金で同農民会本部敷地内に建設されていた堆肥プラントの機能性を向上させることを目的に農民会が建設に踏み切ったもので、レインボー・パル基金の助成を受けて、設置されました。プラント建設に当っては、㈱匠集団そらが設計を行い、BM技術協会が指導を行いました。
 首都バンコクから南に約五百キロ、チュンポン県ラメー郡にトゥンカーワット農園経営農民会はあります。同農民会では、週に約二〇~四〇トンの無農薬バナナが生産され、PPFC(パン・パシフック・フーズ・コーポレーション㈱)を通じて、パルシステムを始めとする日本の生協に輸出されています。
 タイにおけるBM生物活性水プラントは、ペッブリー県バンラート農協管内に建設されたものに続いて二箇所目となります。バンラート地区では、すでにBM堆肥が常時製造され、バナナ栽培に活用されるなど、BMW技術は広い範囲で浸透しています。
 これまでは、トゥンカーワット農民会でも三百キロ離れたバンラートから、生物活性水やBM堆肥を取り寄せて利用してきました。しかし折からの石油価格高騰で輸送費が大幅に跳ね上がるなど、最近では様々な困難に直面、化学肥料の価格も倍増する中で、農家からは質の良い堆肥を適正価格で購入したいという強い要望が寄せられていました。
 現在、農民会ではすでに生物活性水を活用しての堆肥や液肥作りに着手しています。毎週出荷作業で発生する約四~五トンのバナナの残渣や、周辺地域で栽培されているパーム椰子の加工残渣に家畜の糞尿を混ぜたものに生物活性水を散布しながら、堆肥づくりを行っています。また、魚のアラ、カボチャ、バナナの実などを生物活性水と共に曝気しながら発酵させた液肥づくりに取組んでいます。これらは全て農民会会員のバナナ栽培に活用させていく方針です。
 世界的に温暖化の影響で異常気象が「通常化」する中で、ここタイでも近年は突風、旱魃、多雨など気象の異常が続いています。その影響はもちろんバナナ栽培にも及んでおり、生産を安定させていくことが益々困難になりつつあります。そうした中でBMW技術が生産の安定化に向けて果たす役割に、現地でも期待が高まっています。
 今回の開所式にはラメー郡行政当局から郡長やトゥンカーワット区長など、地元の主だった皆さんも顔を見せ、農民会が地域で重要な役割を担っていることが分かります。式は仏式でお坊さんがお経を上げて開所を祝いました。お経といえばお葬式でしかお目にかからない(?)日本人にとっては多少奇異な感じがしたかもしれません。
 ともあれ開所式は無事終了しました。今後は生物活性水を最大限に活用した農民会のバナナ栽培事業の展開に注目しています。

Author 事務局 : 2008年10月01日 23:11

 
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