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2008年11月01日

「土と水の学校」有機栽培講座報告 【AQUA202号】

 ~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座報告
 BMW技術の活用と有機栽培理論の学習で、有機栽培技術を確立していく~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座が全国各地の協会会員の生産者や団体で開催されています。各地からの報告を紹介します。

茨城県 茨城BM自然塾
多多納 勝行
BMW技術は、有機物をアミノ酸にする有効な技術

 八月四日、茨城BM自然塾で~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座が開催されました。
 講座は、午前中に圃場視察を行い、午後は、現在課題になっている夏場の(ホウレンソウ・コマツナ・ミズナ)栽培の問題をおり込んだ講義を講師の小祝政明先生にしていただきました。当日は一八名の会員にご参加いただき、午前中は清水農園の水田と今年から初めて取り組んだエダマメの圃場を視察しました。
 水田については、小祝先生から初期成育は順調でよく分けつしているが、途中、米糠除草を実施したことにより発生したガス湧きで、外側の根がやや焼けてしまっているのが残念とのご指導をいただきました。
 続いてエダマメの圃場では、非常に花つきがよく素晴らしいが、いかんせん花が咲いた後の一番水が必要な時期に干ばつの影響を受けてしまっているとのご指摘をいただきました。エダマメの葉が立ってしまっているのは、水分不足で葉から水分が蒸散しすぎるのを抑えるため太陽光を遮光調節しているそうで、灌水時期の目安になるとご指導いただきました。
 午後の講義では、①「BMW技術が植物の生育に具体的にどう役に立つのか」、②「夏場の葉物栽培はどこに注意すればよいのか」、③「参加者からの質問」の三構成で行われました。
 BMW技術についてはボカシ作りを一例としてあげ、たんぱく質等でできた有機資材を植物の吸える状態であるアミノ酸に分解させるのに有用な技術であると、図解を交え解りやすくご説明いただきました。
 夏場の葉物野菜の栽培については、三三度以下に葉の温度を下げることが必要で、葉の温度を下げるには葉の蒸散作用を妨げない為に、なるべく下のほうから風をあて、ハウス内をカラッとさせることがポイントと指摘されました。
 参加者からの質問では、知識を吸収したいという参加者の熱意から活発に質問が出され、一つ一つ丁寧にお答えいただきました。回を重ねるごとに、参加者も手ごたえを感じている様子で、BMW技術と有機栽培理論がメンバーに確実に根づいているのを感じることができました。


千葉県 パルシステム千葉・NPO支援センターちば
生活協同組合パルシステム千葉 宮城 直

作物診断や堆肥・肥料の判定方法等を学習

 パルシステム千葉、NPO支援センターちばでは、千葉県野田市に於いて、園芸福祉農場等をはじめとする生産を中心に据えた地域コミュニティづくりに取組んでいます。今年の春にはBMW技術を導入し、地域資源の循環を見据え、健全な作物の生産を広げていくことを目指しています。その一環として、BM技術協会が取組んでいる~自然学を実践する~「土と水の学校」有機栽培講座を園芸福祉農場のボランティアや、地元生産者、生協・NPO関係者を対象に連続で実施しています。
 その第三回目の講座を八月五日、千葉県野田市にて「土と水の学校」有機栽培講座in野田として開催しました。同講座の講師の小祝政明先生・礒田有治BM技術協会事務局長をお招きし、園芸福祉農場の方々や地元生産者が参加しました。
 講座はまず、現場講習として、園芸福祉農場での圃場診断から始まりました。小祝先生からは、キュウリ、ピーマン、ショウガの葉色や雑草の根張りの状態を説明いただきました。「土の物理性は良く病気の傾向も軽度だが微量ミネラルが不足」との診断で、対応方法についても丁寧にアドバイスいただきました。
 次に園芸福祉農場でも一部利用している堆肥の生産現場である野田市が管理している堆肥センターを見学しました。堆肥の原料は、ほとんどが市民の庭の剪定枝や街路樹などの木質チップのため、炭素分が非常に多く、土づくりには良いものの、堆肥が完成するまでに時間がかかりすぎるとの指摘が小祝先生からありました。原料に鶏糞を加えると良い堆肥となり、時間も三分の一でできることなどを提言いただきましたが、堆肥センター職員によると、そのことは承知しているが窒素分の多い原料を使うことは施設設置時の条件(臭いなど)があり、現状での改善は市民との調整が困難であり課題になっているそうです。
 最後に生物活性水や土壌分析により施肥設計を行っているインゲンの実験栽培ハウスでの現場講習を行いました。ハウスの風通しが悪いことによる高温と遮光ネットによる陽光不足が顕著で、栽培技術以前にハウス環境の改善が必要との指摘を受け、さっそく翌日からハウス環境の改善を行いました。
 その後、地域の公民館に移動し、二時間ほどの講義を行いました。講義では、土の構造や、微生物の働き、ミネラル先行の施肥設計、肥料の種類と、良質堆肥の見分け方や作り方、多量成分と微量成分とその性質等を学習しました。また、分析器を使用した堆肥の熟度の判定方法や、現在使用している肥料の表示の見方や、性能の見分け方等も学習しました。
 盛りだくさんの内容でしたが具体的で分りやすく、園芸福祉農場の方々は、さっそく有機栽培で学んだ内容を大根の作付けに取り入れています。また堆肥も自分たちで作ってみたいとの声も上がっています。

Author 事務局 : 2008年11月01日 17:29

 
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