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2008年11月01日

第4回「BMWシステム生きもの調査」 【AQUA202号】

 茨城・田中一作邸、第4回「BMWシステム生きもの調査」を実施しました

 9月26日、茨城県鉾田市の田中一作さんのお宅で「BMWシステムによる資源循環型水田の生物多様性調査及び研究」における第4回目の「田んぼの生きもの調査」が行われました。同調査は、パルシステム生活協同組合連合会、BM技術協会、生活協同組合パルシステム茨城、NPO生物多様性農業支援センター、茨城BM自然塾の共同研究として実施されているものです。

 田中さんのお宅では、生物活性水プラントを中心に、廃棄物を出さない循環型のシステムが整備されています。家庭から出る排水→浄化槽→BMW生物活性水プラント→田んぼや家庭菜園や鶏舎→収穫した野菜や鶏卵→田中さん一家の食卓、そしてまた家庭から出る排水…という具合です。
 そんな田中さんのお宅の田んぼとその周辺に生息する生きものを明らかにして、このシステムの有効性や課題を見つけたいという目的で、今回の調査が始められました。NPO法人田んぼの理事長、岩渕成紀さんの指導のもと、調査を行っています。
 稲刈りを目前に控えたこの日、田中さん宅の田んぼの稲は、たわわに実って頭を垂れていました。まず顔合わせと調査内容の説明が行われ、さっそく作業にはいりました。毎回調査に参加している参加者を中心に、一六人の参加者が手分けして調査を進めました。
 最初に、水質成分分析のための採水をします。これまでは、浄化槽、生物活性水、田んぼ、田んぼの暗渠排水の四か所からの採水でしたが、今回は池の水も調べることになりました。それぞれの水温やpH、EC(電気伝導度)、DO(溶存酸素)、ORP(酸化還元電位)を、専用の測定機器で測定します。また、試薬を使って窒素、リン酸、カリ、苦土、鉄などの含有量を調べます。田んぼの土壌成分についても、土壌成分測定器で調べました。
 成分調査と並行して、生きもの調査を進めます。網で稲の上をすくったり、田んぼの周辺を探したりして、生きものを採取しました。そして、浄化槽、生物活性水、池、田んぼの中に、どんな生きものがいるかを探します。ルーペを使って確認し、名前を記録しておきます。
 それから、稲の生育状態を確かめるために、稲を一株抜き取っての調査も行いました。
 午後から、今回の調査結果を確認、これまでの調査結果との比較を行いました。
 生きもの調査では、三八種類の生きものが見つかりました。田んぼでは、イトミミズはいましたが、ユスリカがいなくなっていて、新たにヒルが見つかりました。田んぼ全体に換算すると、イトミミズが20万匹、ヒルが5万匹いると考えられます。
 水質調査の結果からは、これまでよりDO(溶存酸素)が高くなっていることがわかりました。水質成分調査では、今回、リン酸と苦土が全体的に少なくなっていました。土壌成分調査は、前回までとほぼ同様の結果となりました。
 稲の生育調査では、二株で植えた稲が三八本に分けつし、それぞれの茎は、100~120センチメートルにまで育っていました。稲穂についている米の粒数は、全部で4,740となりました。ここ数年、豊作が続いていたのですが、今年は、かなり少なくなっているとの報告でした。原因としては、前年の稲刈りの後、堆肥を30キロほど、田んぼに投入しましたが、反当換算で、窒素成分が15キロ以上、投入されたことにより、その窒素が生育後半になって効いてしまい、生殖生長への転換の遅れと、イモチ病の発生につながり収量が減少したと推測されます。田中さんの田んぼの場合は、堆肥の投入は余計で、生物活性水が流れ込むだけで充分だったことが、分りました。
 報告では、前回と前々回のBOD(生物化学的酸素要求量)とCOD(化学的酸素要求量)調査の結果を確認しました。これは水質指標の目安になるもので、浄化槽、生物活性水、田んぼ、田んぼの暗渠排水の水を、専門の施設で分析したものです。それによると、田んぼ以外の水は、BODは一桁代と低い数値を示しており、BMW技術によって、水の浄化がしっかり行われていることの証となりました。
 その後、調査で発見された外来種の生きものが話題になり、岩渕さんから「隔離された田中さんのお宅だから、外来種を排除して、日本古来の豊かな生態系を取り戻すことが可能」との話がありました。
 今回までの調査のまとめ方についても話し合われ、できるだけわかりやすく報告しようということで、調査の終了となりました。
 得られたデータは、毎回まとめられ、今秋のBMW技術全国交流会で発表される予定です。

Author 事務局 : 2008年11月01日 17:35

 
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