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2012年12月01日

【AQUA248号】九州のプラント巡回

 九月一一日から一三日にかけて、九州にあるプラントの巡回をしました。いずれも西日本BMW技術協会事務局の宮﨑事務局長、事務局の内山氏、匠集団そらの星加と協会事務局長・秋山の四名で巡回しました。
 はじめに大分県日田市にあるアーム農園を訪問しました。アーム農園の訪問は七月に予定されていたのですが、七月に熊本県を中心に大きな被害をもたらした豪雨の影響で延期となっていました。
 アーム農園は梨の専業農家、二六〇aで幸水、豊水、あきづき、新高、新興などを栽培、プラントは導入されていないのですが、昨年から中村養豚場の生物活性水をテスト使用しています。
 実験内容の詳細についてはアクア七月号の「西日本BMW技術協会・第二〇期総会および研修会」の報告にあったように、梨の多くは同じ品種の花粉では受粉しない性質(自家不和合性)があるため、花の咲く時期に他の品種の花粉を一つ一つ人工的に交配させる作業が必要になるので、混植園で生物活性水を使用した無交配の試験区と、生物活性水を使用しないでこれまで通りの人工交配を行った試験区で、結果がどのようになるのか調べています。代表の半田氏は「まだ最終の収穫が終わっていないので、はっきりとした結果はでていないが、生物活性水を使い人工交配させていない方もしている方と変わりがないと思う。生物活性水を使用している方は土の状態も良く、木も元気に見える。収穫が終わり次第、収量や秀品率などのデータを出してまとめますので、もう少し待って下さい。」と凄く楽しそうに話していました。また、「生物活性水を使用した方の秀品率が少し低かったとしても、人口交配させる労力と費用を考えれば、それはそれでまかなえるような気がしている。決して楽すると言う意味でなく、ただでさえ手がまわっていないので、手がすけばその分を圃場の管理や木の剪定にまわしたい。」とのこと。
 次に訪問したのは福岡県筑後市にある、田村ポートリー・ファーム(採卵鶏二五、〇〇〇羽)と中島養鶏場(採卵鶏一〇、〇〇〇羽)を訪問しました。両養鶏場には飲水改善プラントが設置されています。両農場とも原水は地下水を汲み上げて利用。近隣は住宅に囲まれていますが臭いが問題になることはほとんどないとのことでした。
 翌日、熊本県宇城市の那須ファーム(採卵鶏七〇、〇〇〇羽)と庄村養鶏場(一五、〇〇〇羽)を訪問しました。両農場には飲水改善プラントと生物活性水プラントが導入されています。
 那須ファームの那須代表は「本場と分場のそれぞれに飲水改善プラント、本場に生物活性水プラントが設置してあります。飲水は自然落下式で全鶏舎に水を配水するため、プラントから一七メートル上に設置されたタンクにポンプで送ります。その送水の際に薬注ポンプを使って生物活性水を一〇〇〇倍希釈で添加しています。」とのこと。さらに稀釈した水は夏場の鶏舎への散布、鶏をオールアウトした後の鶏舎洗浄、堆肥の発酵促進等にも利用しており、農場全体で消臭効果がみられるとのことでした。生物活性水プラントは土木槽(一槽が約七t×六槽)で、日生産量は約七〇〇リットルになります。那須ファームの生物活性水はEC値が若干低かったのですが、生物活性水のできは良いものでした。匠集集団そらの星加氏から今後は第一槽目への堆肥投入をもう少しこまめにしてもらうことなどの指導がありました。
 庄村養鶏場でも同様に生物活性水の水質検査をしましたが、こちらはEC値が一・一六三mS/cmで色ツヤ含めてとても良い生物活性水ができていました。庄村養鶏場でも那須ファームと同じく一〇〇〇倍希釈で飲水に添加していました。ここではプラントに空気を送るブロアの調子が二台とも悪いとのことで、機械本体を分解して点検をおこないました。故障ではなく、一部消耗品パーツが破損していることがわかったのですが、すでにこのパーツは生産停止となっていて、いきているパーツ同士を組み合わせて使い、もう一台は新しく購入した方がいいということになりました。こうしたことが巡回・点検してわかっていくことに、この取り組みの意義を感じます。ちなみに那須ファームと庄村養鶏場の生物活性水は共に自社の鶏糞堆肥を利用しています。
 宮崎県の小林市に移動して、有限会社丸忠園芸組合を訪問しました。丸忠園芸組合は地元の生産者の野菜を販売、加工販売する組織です。集荷場に設置された生物活性水プラント(土木槽七t×五槽とその間に自然石槽二槽)からは生産者が生物活性水を持っていけるようになっています。税所代表は「生物活性水の基本的な使い方は圃場に施肥してから一〇aあたり三〇〇リットルを散布、葉面散布には三〇倍で使います。昔、嫁さんに花の苗にいいから原液をかけてみろと言って、全部枯らしてしまったことがあって、苗や生育不十分のものへの使用は避けています。」とのこと。原料は近隣の養豚場の豚糞堆肥を利用しています。
 最後に訪問したのは宮崎県綾町の有機農業開発センター、ここには生物活性水プラント(五tホーロータンク×四槽)が設置されています。原料は有機系堆肥を使用しているとのことで、地域の養豚場から出る豚糞堆肥は利用していないとのことで少し残念でした。現在は二〜三軒の農家が利用しているだけで、あまり活用されていないとのことでした。プラント自体はきちんと管理されていたのですが、管理担当の方に話しを聞いてみると「担当者が何度か変わってしまったこともあり、管理方法が曖昧になってしまっている部分もあるし、利用方法そのものがわからなくなっているのが現状」とのこと。
 今後、農協や生産者とも相談して、あらためて説明会や、学習会をやる必要性を感じました。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2012年12月01日 16:08

 
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