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2015年09月01日

【AQUA281号】「サルファ剤より生物活性水が絶対効く」

「サルファ剤より生物活性水が絶対効く」 〜横手さん大いに語る!

報告:西日本BMW技術協会事務局 宮﨑利明

 ヨコテ(養鶏場)の横手俊郎さんはコクシジウム対策で、全国交流会で発表されたこともあります。発表の内容は、コクシジウムに罹った鶏に生物活性水の原液を飲ませたら翌日元気になっていたというものでした。でも横手さんはその前はどうしていたのか、あの発見以降、日常的にどのようなコクシジウム対策をしているのかはお聞きする機会がありませんでした。
 今回、大分県中津市の下郷農協の若鶏の生産者である金丸さんの鶏舎でコクシジウムが発生してロットが全滅状態になり、横手さんの対策を見学させてもらうことになりました。
 七月八日、下郷農協生産者の金丸隆昌さん、農協職員の横山親幸さん、立花康久さんの三名がヨコテ(養鶏場)を訪問し、幼雛、中雛の飼育舎で具体的に説明を受けました。グリーンコープ連合畜産部の谷口さん、西日本BMW技術協会事務局の宮﨑が同行しました。
 採卵鶏は通常六〇日令までの初生〜中雛の飼料に合成抗菌剤であるサルファ剤が入ってコクシジウム症を引き起こす原虫を駆除します。
 横手さんの採卵養鶏場では、雛はすべて自家育成しており、約三万三千羽の親鶏と一万二千羽の雛を飼育しています。雛の餌にもサルファ剤を使いたくないということで無薬の自家配合飼料を使うことにこだわってきました。

――あの「発見」前まではどうしていたのですか。
横手:以前はサルファ剤が入っている市販の餌を雛に与えていました。それを使いたくないので薬を使わない自家配合飼料に変えてから、コクシジウムが出るようになりました。自家配合飼料には抗生物質もサルファ剤も含まれていませんので「やはり出たか」という気持ちがありました。飼料を市販のサルファ剤入りに変えれば解決することは分かっていましたが、それをしたくなかったのです。なんとしても自家配合の餌で育てたいという思いが強くあり、幼雛には配合飼料の餌を、中雛には無薬の自家配合の餌を与えてみるなどの試行錯誤を重ねておりましたが、コクシジウム病がまったくでないということはありませんでした。だからずいぶん鶏を死なせたことになりますね。でも薬は使いたくなかったのです。生物活性水に出会うまでは解決方法はありませんでした。
――急に思い立って生物活性水を使ったわけではありませんよね。
横手:飲水改善のBMプラントは持っていたのですが、生物活性水のプラントは持っていませんでした。生物活性水を飲水に希釈したら鶏舎の臭いがしなくなるということをグリーンコープの担当者から説明されたことで、飲水に希釈して使い始めていました。近くの浦養豚場の生物活性水を一ヶ月五〇〇〜六〇〇リットル購入していました。
――でも急性のコクシジウム症が出たそうですね。
横手:二〇〇二年一二月二九日、またもコクシジウムが出たのですが、今回は急性で数十羽のヒヨコがぐったりしており、投与するサルファ剤も手元になかったので、症状の重いヒヨコを集めたのですが、そのまま帰るわけもいかず、ヒヨコの口を開けて生物活性水を原液のまま二〜三回流し込みました。翌朝、もう何羽かは死んでいるだろうと思って鶏舎を開けると鶏の半数ほどが元気に駆け回っていました。抗生物質やサルファ剤ですらこんなにすぐに効果は出ません。それから急いで餌の入った容器にスプレーで生物活性水を吹きかけ、動けない雛には口の中に直接、生物活性水を流し込んで回りました。結局この鶏群は大した被害もなく育っていきました。現在は生物活性水を薄めた飲水を与えることでコクシジウム症での死亡を抑えています。その後生物活性水のBMプラントを設置したので、今では農場で作った生物活性水を使っています。
 実際に育雛鶏舎を見せていただくことにしました。
――横手さん、今日は実際に鶏を飼っている生産者もいるので、防護服等に着替えましょうか。
横手:そんな必要はないけれど、うちから病気などを持って帰っても知らないよ。
というやり取りで、靴カバーをした者としない者五名は育雛鶏舎に入りました。育雛鶏舎は二棟の連棟で、初生(一日目)から五五日令までを飼育しているそうです。今回片方には五一日令の中雛、もう一方には一三日令の幼雛が入っていました。
横手:本当はコクシジウムで血便が出ているのを見てもらいたかったのですが、もう血便の時期は終わりました。
――いつごろ出るのですか。
横手:大体三五〜四〇日令の時に鮮血便が出ます。ここの真ん中にある餌箱に糞をするのよね。
――生物活性水は症状が出たら飲ませるのですか。
横手:そんな面倒なことはできないので、飲水に、生物活性水をこうすくって入れるのよ。
――あれ、てっきり通常は数百倍に希釈して飲ませて、コクシジウム対策で原液に近いものを使うと思っていました。しかもそのやり方だと混ざり具合が違いますよね。計算上は三〜六倍くらいですが、原液に近いものもパイプを流れますよね。じゃー初生の時から五五日令まではずっとこの水を飲んでいることになるのですね。
横手:そういうことになります。
――サルファ剤よりも、効果があるというお話ですが。
横手:コクシジウム症が出て、サルファ剤を使っても鶏がずいぶん弱りますが、生物活性水ではずっと元気です。だから生物活性水はサルファ剤より効果があると思います。誰が名前を付けたか知りませんが、「生物活性水」とはよく言ったもので、本当に生物を活性化するというのが実感ですね。生物活性水なしでは養鶏は続けられないと思っています。
――こちらが雛用の飼料の仕上げですか、これは製粉機ですね。これだと細かくなりますね。
横手:飼料は別の場所で作った自家配合飼料です。もちろん幼雛と中雛の飼料は異なります。でも、とうもろこし等は成鶏用の大きさのものなので雛が食べられないのです。それでこの機械で細かくしています。以前、山梨の白州郷牧場でやっている飼料の発酵を見学させてもらって、米ヌカを生物活性水を使って発酵させていた時期もあったのですが、水分との関係で自動給餌がうまく行かなかったことと、生物活性水を飲ませるだけでコクシジウム対策としては十分というのが分かったので米ヌカの発酵は止めました。

 以上で育雛舎の見学を終え、生物活性水プラントなどの説明を受けました。
 下郷農協の金丸さんは早速雛に生物活性水を使ってみるということになりました。現在下郷農協には野菜生産用に佐賀県唐津市の中村養豚場の生物活性水があるのでそれを使うことになります。鶏糞堆肥の生物活性水と豚尿を処理した生物活性水では窒素分の含有量も違うので下郷農協の金丸さんが使う場合は、一五〜二〇倍くらいの希釈が良いのではないかということになりました。
 横手さんの無薬での採卵養鶏にかける情熱に圧倒される見学でした。

 後日、下郷農協にお聞きしたところ、金丸さんの養鶏場では、早速鶏舎に生物活性水を散布し、二〇倍希釈で鶏に飲ませ始めたそうです。

Author 事務局 : 2015年09月01日 12:23

 
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