【AQUA246号】東ティモールレポート

 インドネシアの小スンダ列島の最東端、オーストラリアの北西部で日本のほぼ真南に位置するティモール島。その東半分を中心とした東ティモール民主共和国が独立(主権回復)を果たしてから、二〇一二年五月で丸一〇年が経過した。
 東ティモールは、総面積一四、八七四平方キロメートル(岩手県とほぼ同じ大きさ)、国土の大半を占める山地と海沿いに広がる平地からなっている。熱帯性サバンナ気候のため雨季と乾季にはっきりと分かれているが、近年では気候変動の影響が関係しているのか、従来の時期から季節がずれてしまい、長雨が続いたりすることも珍しくなくなってきている。
 二〇一二年現在、約一〇六万人の総人口のうち八割以上が地方に暮らしており、そうした人々は、自分たちの土地で様々な種類の作物(穀物、果物、野菜)や家畜を育てている「農民」である。このように農業が唯一の基幹産業といえる東ティモールの一人当たり名目GDPは近年大きく上昇しており、二〇一二年の統計では、フィリピンの一・五倍ほどの三、六四〇米ドル(実質GDPは約九五〇米ドル)となっている。その理由としては二〇〇四年から生産が開始されたティモール海の海底油田における石油・ガスからの収入にあり、これが国家収入の九五%以上を占めているため。では残りの数%はというと、唯一の輸出品目であるコーヒー産業、近年少しずつ発展してきている観光業などと非常に限られたものとなっている。しかし、海底油田は二〇二五年には枯渇するという予測もなされており、現在のいびつな経済構造からいかに脱するかが問われているといえる。
 東ティモール政府は、二〇一〇年に「戦略的開発計画」を発表し、二〇三〇年までインフラ開発に力点を置く方針を打ち出している。基本的なインフラ整備が重要でないと主張するつもりはないが、八割以上が農民である東ティモールの人びとの暮らしに直結する農業・産業を育てるための予算は、国家歳出のわずか四%にも満たない。しかも、農業や食料安全保障などに関する明確な計画や政策は皆無に等しく、各省庁間での調整も圧倒的に不足している。さらに、農業部門への限られた予算の多くが、外国人アドバイザーへの高額給与や海外からの農業資材・機材の輸入代金などに消えている。実際に、西部の稲作地帯ではトラクターが水牛にとって代わりはじめており、輸出産業の柱であり国としても国際市場に対して「有機」ブランドとして売り込みたいコーヒーとは対照的に、化石燃料依存型の農業が推し進められている。
 そもそも、元々東ティモールの人びとが主食としていたものは、キャッサバやタロイモなどの根菜やトウモロコシだった。しかし、一九六〇年代にポルトガルによって持ち込まれた稲が、続くインドネシア占領期の一九七〇年代に集約的な形態で広められて以降、米が主食として一般的に定着したという歴史がある。そして、いまや主食として人びとにとって欠かせなくなった米の確保のため、政府はベトナムなどからの輸入米(しかも「二五%Broken」というような表示のついたくず米が混ざったものも多い)を輸入することに莫大なお金をつぎこんでいる。その一方で、シャナナ・グスマン首相率いる東ティモール再建国民会議(CNRT)を筆頭とする連立政権は、観光商工省を通じて、「POVU KUDA GOVERNU SOSA(人びとが種をまき、政府が買い上げる)」というプログラムを実施し、「食料自給の達成」を掲げているが、実際のところ、これは単なるスローガンにしかすぎないことは明らかだ。これに対し、ミュージシャンであり運動家のエゴ・レモスさん(注)は、「こうした政策は、東ティモールの人びとが自分たちの土地で育てた旬の多種多様な作物を食べる代わりに、白米への依存をより一層強めることに貢献しており、人びとの栄養不良、土壌劣化、地方の市場の崩壊などを招いている」と強く批判している。
 NPO法人APLAでは、コーヒー生産者がコーヒーによる現金収入だけに頼らない自立・安定した地域づくりをめざし、淡水魚の養殖や自給のための多様な作物づくりなどを進めている。さらに今後は、エゴさんが立ち上げた「Permatil」という現地NGOと協働し、東ティモールの農民が直面している現状へのオルタナティブを提示していくという意味で、持続可能な農業を担う若手の育成プログラムなども実施していく予定なので、ぜひみなさんにも知恵を貸していただきたい。
(注)エゴ・レモス…持続可能な農業の実践と普及に取り組む一方で、東ティモールを代表するミュージシャンとしても活躍している。二〇一二年五月には、独立一〇周年を記念し、日本ツアーをおこなった。

NPO法人APLA 野川 未央

Author 事務局 : 2012年10月01日22:01

【AQUA246号】2012年度BMW技術協会全国理事会が開催

 七月六日(金)に二〇一二年度BMW技術協会全国理事会(総会)が開催されました。全国理事会は一般社団法人法でいう社員総会にあたります。常任理事、全国理事一五名の出席(一九名の委任状)により、二〇一一年度の活動報告、決算報告、二〇一二年度の活動方針、予算案と四つの議案すべてが承認されました。また、長く常任理事を歴任されていた荒木隆太郎氏(元西日本BMW技術協会会長)の辞任に伴い、新たに中村康則氏(西日本BMW技術協会会長)の就任も承認されました。
 昨年の法人化から引き続き、事務局を中心とした活動の活性化、学習会等を中心とした若手の底上げを軸にBMW技術の普及と強化の方針が確認されました。全国のプラントの巡回も引き続き行っていきます。

◆BMW技術協会の設立目的(基本方針)
 BMW技術協会は、生命活動の基礎であるBMW(バクテリア・ミネラル・水)の地球生態系システムを、生産と公共の場で再生、回復するための諸問題と技法を共同で研究し、これを普及させるために生産現場での技術革新と農山漁村および都市地域における実践を求めます。生命環境の危機をもたらしている自然観、技術、生産のあり方を変え、地球環境の浄化を推進することを目的とします。また、日本全国、そしてアジア(注)を中心とした生産者・消費者ネットワークを広げ、豊富な情報交換や技術交流を活発化させます。
 ※注「アジア」を追記することになりました。

◆二〇一二年度の活動方針
 二〇一一年一〇月五日よりBM技術協会は法人化し、一般社団法人BMW技術協会としての活動が始まりました。昨年は三月に起こった東日本大震災(自然災害)・原発事故(人災)にはじまり、激しく変化する天候、TPP問題など、昨年の全国交流会のテーマでもあった「原点に返る、BMW技術〜技術と人の再生に向けて〜」の「原点に返る」ことや「再生」に向かうことが現実のものとして降りかかり、協会をはじめ、会員、そして日本に暮らすすべての人に決断し行動することが求められています。その中で社会的使命を果たせる器となった一般社団法人・BMW技術協会としては、これまでの長きに渡る活動の歴史と基本方針を基礎に「技術が人やその営み、環境を支え、人を作り、人がより良い環境と未来を創造できる」ということをより具体化し、他団体との連携を取りながら日本全国、アジア各国にBMW技術(技術・理念)を手にした、仲間の輪を広げることを推進していきます。BMW技術協会には全国の農業者、消費者、物流組織や自治体など幅広い分野で活動する団体を含め、協会の活動を支える約三二〇の会員がいます。このようなネットワークの広さを持った団体は多くありません。BMW技術が持つ「技術」と「理念」が成し得えてきた約二〇年の活動と培かわれたネットワークこそが、協会の持つ大きな意味(強さ)でも在ったかと思います。その根強いネットワークを再認識、再確認するとともに全国組織の強化に努め、BMW生態系システム(BMW技術自然循環システム)推進をともに考え、深化させ、ともに実行する姿勢で活動していきます。
 また、昨年の東日本大震災直後におこった東京電力福島第一原発事故は、放射能汚染、エネルギー確保等、人々の生産・生活に取り返しのつかないほど甚大な影響を与えています。BMW技術協会は「脱原発」を宣言し、原子力発電所に頼らないエネルギーの確保(自給)を目指し、バイオマスの調査・研究、バイオベットや自然エネルギー確保への取り組みを推奨し、他団体と協力も視野に入れた取り組みを引き続き行っていきます。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2012年10月01日21:59

【AQUA246号】BMプラント巡回報告(九州)

 六月から七月にかけて、九州にあるプラントの巡回をしました。いずれも西日本BMW技術協会事務局の宮﨑事務局長、事務局の内山氏、匠集団そらの星加と協会事務局長・秋山の四名で巡回しました。
 はじめに先月号で報告のあった西日本BMW技術協会の総会の前日、六月二一日に大分県竹田市にある㈲藤野屋、㈲グリーンファーム久住、同県佐伯市の越野堆肥利用組合を訪問しました。
 ㈲藤野屋は採卵鶏の養鶏場(七万羽)、飲水改善プラントと生物活性水プラントが設置されています。飲水改善プラントは地下に埋設された土木槽(五〇t槽×二槽)です。地下に埋設されている土木槽は一年を通して水の温度がほとんど変わらないのが特徴です。生物活性水プラント(土木槽一槽が約五t)は稼働しているものの、生物活性水自体はきちんと作られていませんでした。各鶏舎に噴霧ラインが設置されているのですが、ここ最近は鶏の軟便が続き、床がビショビショの状態が続いているとのことで、噴霧もできない状況にある。原因はそれだけではないが、今ひとつ勉強不足できちんと生物活性水が作れていないとのことでした。
 ㈲グリーンファーム久住も採卵鶏の養鶏場(五万羽)で飲水改善プラントと生物活性水プラントが設置されています。飲水改善プラント(五〇t×二槽)は㈲藤野屋と同じく地下に土木槽が埋設されています。ここでは生物活性水を飲水への添加に使用しています。ここでは実際にプラントで生物活性水を作らずに、生物活性水を貯留するためにプラントを使用していました。以前は宇目町(大分県)に設置されていたプラントから生物活性水を運んで使用していたが、そのプラントが閉鎖されたため今後は、紅会の中村養豚場の生物活性水を使用するとのことでした。
 越野堆肥利用組合は母豚三〇頭の養豚場です。ここには簡易尿処理プラントが設置されています。毎日のようにプラントを点検し、プラントの処理状態が思わしくない時は水を投入したり、第一槽目に戻す活性汚泥の量を増やすなどして、日々調整しながら使用しているとのことでした。また処理水の上澄みを一槽目に戻していて、一槽目からほとんど臭いがしませんでした。
 七月一一日〜一三日には長崎県西海市の西岳高原農場、熊本県宇城市のやまびこ会、サンファーム、福岡県糸島市の㈲ヨコテ、柴田農園を訪問しました。
 西岳高原農場は養豚場(母豚四二頭)で簡易尿処理プラント(土木槽)が設置されています。尿処理の状態は良かったですが、各槽の曝気の空気量にバラつきがあったので調整をしました。その際に空気を送る配管に亀裂が入ってしまっていて、空気が若干漏れていることがわかりました。実際にはブロアー(送風機)の動力音で、なかなか気づけなかったのでしょう。細かいことなのですが、点検の際にこの様な事にも気づくことができ良かったのではないかと思います。
 やまびこ会は蓮根の生産者を中心とした出荷組合組織で生物活性水プラントが設置されています。ここではリアクター塔充填材の交換を、匠集団そらの星加氏が交換方法の説明をしながら行いました。プラントは若干EC値(電気伝導度)が低かった(表参照)ので、第一槽目(接触曝気槽)への堆肥の投入をお願いしました。
 サンファームは養鶏場(一四万羽)で飲水改善プラントと生物活性水プラントが設置されています。サンファームでは、毎日、生物活性水のEC値とpH値を計測しているとのことで、プラントの稼働も含め安定していました。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2012年10月01日21:58

【AQUA246号】「パルグリーンファーム㈱」が設立

資源循環型社会づくりを推進する「農業生産法人パルグリーンファーム㈱」が設立

 「ウェル&グリーンファームのだ」は二〇〇八年から千葉県野田市を舞台に、FEC生活圏づくりを目指して、地域循環型農業ネットワークづくりと生産・加工・販売・流通のビジネスモデル形成に取り組んできました。BMW技術を活用した循環型生産体制のモデルづくりとして有機栽培のサンチュ、ミニトマト、きゅうり等の生産・販売や、地域未利用資源(醤油糟、オカラ、廃菌床)を活用した優良堆肥づくりの研究に取り組んできましたが、協力農家も一農家にとどまるなど、なかなか活動が地域に広まらなかったのが事実です。
 原因は、有機栽培や循環型生産体制を導入することでの経営上のメリットが提示できず、既存の市場や地域内のスーパーなどの販路では、この生産体制は価格としてはそれほど評価されない上に、新たな販路も見つかっていないという状況下では、農家としてはチャレンジできなかったというのが現状です。また野田市の地域農家経営の状況としても、既存の流通販路の中で低価格競争や放射能への対応といった問題が押し寄せ、農業経営が厳しくなり、高齢化や遊休農地化が進行しています。
 ただし四年間の活動の実践の中で、そうした課題を解決するきっかけは見つかってきました。野田市内のある農家さんは「二〇年以上も前にBMW技術が千葉市栄町のドブ川の水質を劇的に改善していたのを見たことがある。今はドブ川になりヘドロがたまっているような野田市内の水路や川も、昔のような子供たちが潜って遊べるような川に戻せるのではないか。」など、BMW技術の「環境力」を理解している方もおります。
 また「茨城BMの清水さんのお米を見に行ったことがある。あんなにすごいお米は見たことがない。ぜひ今後ブランド米に取り組みたい。」などの意欲のある方もおり、遊休農地化や水質の悪化が問題となっている市内の水田耕地においては、BMW技術を活用したブランド米づくりは渡りに船となりえます。
 ただしこれまでは、実際の販路の確保が難しく活動が普及してきませんでした。そうした課題を解決するには生産者・販売者・消費者が一体となって取り組むことと、上流(生産・加工)から下流(販売・消費)まで一貫した新しい直売事業を創設する必要があると考えています。
 二〇一二年九月には、生活協同組合パルシステム千葉の出資により、これまでの「ウェル&グリーンファームのだ」を引き継ぎ、資源循環型社会づくりを推進する「農業生産法人パルグリーンファーム㈱」を設立します。まず当面は自立できる農場運営を目指し、その上でこれまでの課題を解決できる様々なチャレンジを行っていきたいと考えています。例えば、二〇一二年六月に開催の「くらしと放射能を考えるフォーラム 放射能に負けない体づくり」(千葉BM技術協会、生活協同組合パルシステム千葉、生活クラブ生活協同組合主催)にて提案された、「ミネラル豊富な野菜づくり」の実験には、ぜひ手をあげたいと考えております。
 また、上記した水質改善に資するBMW技術を活用したブランド米の販路の確保と生産にもぜひチャレンジしたいと考えております。

ウェル&グリーンファームのだ   遠藤 尚志

Author 事務局 : 2012年10月01日21:57

【AQUA246号】インドネシア スラバヤより

〜ATINA社 エビ加工場の排水処理施設、及び生物活性水施設建設に向けて

 八月八日から三日間、インドネシア・スラバヤ県、シドアルジョ市にあるATINA社(オルタートレード・インドネシア)において、同社新工場に建設予定のBMW技術排水処理プラントと生物活性水プラントの建設に向けて、最終の打合せと図面や設備等の確認作業が行われました。主な打合せは、ATINA社のマネージャー津留氏とサブマネージャーのハリー氏、同社技術部門の責任者・アブラハム氏、日本からは㈱匠集団そら・プラント事業部の星加とBMW技術協会事務局長の秋山の五名で行われました。このプロジェクトは約二年前から計画が始まっていましたが、東日本大震災の影響や現地インドネシアでの新設地における諸問題などをクリアし、いよいよ今年一〇月に着工、来年二〜三月の完成を目指すこととなりました。
 打合せでは、すでに新工場自体は今年の五月から建設が始まっており、八月から各プラントの基礎工事、一〇月からは土木槽工事、一二月には配管設備、機械設備の工事が行われ、来年二月には試運転が始まるという流れを確認しました。また配管設備、設置する各機械(ブロアーやポンプなど)の確認なども行われ、打合せ中には何度か図面の変更が行われるなど、細かい部分まで話し合いは行われました。
 新工場へのBMW技術導入の目的は、環境保全型の都市型工場を目指す目的にあります。インドネシア・スラバヤでは、多国籍企業が多くの工場を建設しています。雇用も必要となるため都市に人口も集まってきています。その結果、工場排水、家庭排水等による河川の汚染が問題となっていて、これがエビの養殖へも影響を及ぼしているとのこと。水質を確かめたわけではないので確実だとはいい難いのですが、近隣の工場の排水もそれ相応の汚れた排水を垂れ流していることが河川を見るだけでわかる気がします。住民のトイレが川の上にあったりもします。ATINA社では化学薬品や合成洗剤等は使用していないのですが、生のエビを扱うことで「生臭い」臭いが時折、近隣の苦情を受けることがあるそうです。この臭いの軽減を含め、BMW技術を使って排水を処理し、その処理水を原料に生物活性水を作ります。また、処理水は※ビオトープを作り再利用します。茨城県の田中邸や秋田県のポークランドの事務所前にあるモデルプラントをモデルにしました。ビオトープでは米を作り、職員たちの給食に使用します。職員たちの休み時間等の憩いの場となるようなデザインを考えています。また、河川放流前の※インディカトルでは淡水魚の養殖を試みます。

※ビオトープ:その土地に昔からいたさまざまな野生生物が生息し、自然の生態系が機能する空間のこと。最近は、人工的につくられた、植物や魚、昆虫が共存する空間を呼ぶことが多い。
※インディカトル:工場の河川排水口前に大きな貯水池(調整池)を作ることが義務づけられているとのこと。この池は現地ではインディカトルと呼ばれる。

エビの養殖圃場を見学
 ATINA社の工場から車で南東へ約四〇分ぐらいの位置にあるエビの養殖場へ見学に行きました。残念ながら季節はずれで収穫は終わっていましたが、すでに稚エビは池の中にいるとのことでした。ATINA社のエビは「エコシュリンプ」の名前で全国の生協を中心に販売されています。養殖池ではエビとバンデンのみならず、川や海から入り込んでくる他のエビや魚、カニなどが共生しています。そのような多様な生態系の中で、水草(ガンガン)を発酵させて発生させたプランクトンや池の中に棲む小さな虫などを食べ、一平方メートルあたり約三尾(集約型養殖池の一/一〇)というのびのびとした環境の下で育っているとのこと。稚エビが池に放流された後は、一般的なエビに用いられる人工飼料や抗生物質は一切与えられることがないため、水の汚染が極めて少なく、また収穫には、海水の干満による水流、仕掛け(プラヤン)、網、手づかみなど、最小限の動力を利用した手法で行われています。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2012年10月01日21:55

【AQUA246号】高知で現地学習会が開催

 今年の全国交流会(詳細は本紙九ページ参照)に向け、地元高知県で七月一七日(第一回)、八月一八〜一九日(第二回)に学習会「とさやま有機農業講座〜BMW技術学習会」が行われました。
 第一回のテーマは「BMW技術の基礎〜耕作における活用法、生物活性水の使い方」、とさやま開発公社の若い職員・研修生を中心に約二〇名が参加されました。はじめにBMW技術協会の秋山事務局長から生物活性水がどうやってできるのか、耕作での使用事例の報告を交えて説明がありました。その後は同じ高知県津野町の豊田庄ニ氏から米ナス栽培での事例、大川村役場の長瀬憲章氏から大川村養鶏場(はちきん地鶏)での事例などを交えて、ディスカッションのような形で進みました。参加者の半分ぐらいの人がBMW技術(生物活性水)の話を聞くのが初めてということもあり、ある意味新鮮な学習会となりました。
 参加者の中から「BMW技術は奥が深そうで、実際に使いながら勉強しないと理解ができない」との正直な意見があり、この日学んだ事例報告を基に秋作、来作に実験を組み立てるということになりました。
 第二回の学習会は次号で報告します。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2012年10月01日21:54

【AQUA246号】「くらしと放射能を考えるフォーラム」続報

 六月二三日、千葉BM技術協会は、千葉県船橋市勤労市民センターにて、研修会「くらしと放射能を考えるフォーラム」を開催した。千葉BM技術協会会員及び関係者、生協組合員ら約一三〇人が参加して、“放射能に負けない体づくり”を具体的に学習したこのフォーラムについて詳細をお伝えする。

肥田舜太郎先生 講演会DVD上映
 昨年八月二六日に開催された、BM技術協会「第三回BMW技術基礎セミナー」での特別講演「内部被ばくによる晩発生障害と、フクシマのこれから」の映像が上映された。肥田氏の被ばく体験に基づいて、昨年の原発事故による放射能汚染が福島を中心とした東日本にもたらす影響が語られた。「今後は開き直り、体を丈夫にし、規則正しい生活をして免疫を高めるしかない。食べ物は食べ方が大切。よく噛み、唾液(消化酵素アミラーゼ)を混ぜ、消化吸収を高めること。また、新陳代謝を高め、放射性物質が入ってもすぐに排出できるようにすることも大事。」

内科医 土井里紗先生の講演「放射能に負けない体づくり」要旨
 これまでの「自然界の放射能」に加えて、3・11以後は原発から出た「人工の放射能」とも向かい合わなければならなくなり、放射能に負けない生活スタイルの追求が必要となった。放射能に負けない体づくりには、「解毒力」「抗酸化力」「免疫力」をつけることが重要。なるべく放射性物質を取り込まないことが大前提だが、やむなく体に入った放射性物質をいち早く排泄するために、まず「解毒力」が必要。排泄しきれないで体に残ってしまった場合、「免疫力」と、活性酸素を消去する身体の「抗酸化力」とで細胞を守る。
 この三つの「解抗免力」すべてを高めることが必要だが、その機能を高めるミネラル、食物繊維、酵素、発酵食品などを上手に利用したい。また、解抗免力を高める生活習慣の実践は、放射性物質に限らず、すべての健康に通じる習慣である。

意見交換会での発表
 新生酪農 鈴木猛氏からは3・11原発事故直後の原料乳状況とその検査結果、新生酪農の対応と生活クラブ生協の放射能対策などの発表があった。新生酪農では、自主基準(牛乳一〇ベクレル以下)を設け、毎集乳日ごとのサンプリング、放射能検査を実施し、測定値はすべて組合員に公開している。より影響を受けやすい子供や妊婦をはじめとして、できるだけ放射性物質を避けるために「徹底した検査と情報公開」が重要。
 農業組合法人 和郷園 木内克則氏からは信頼できる第三者機関として日本GAP協会の放射能検査プログラムを採用した和郷園の検査体制についての発表があった。圃場ごとのスクリーニング検査にはじまり、土壌、水源の水、出荷前の農作物を厳密に検査、すべてにおいて安全性が確認された場合に「品目ごと」の合格の認定が受けられるようになっている。四つのステップの検査を経て合格農場が認定され、今後も検査は継続されていく。
 白州郷牧場 見田由布子氏からは「免疫力を高める食生活」の提案があり、白州郷牧場の麹について、また麹の歴史、微生物利用による発酵食品の機能などが紹介された。白州郷牧場では約三〇年にわたり発酵そのものについて研究をし、麹をはじめ、味噌、甘酒、漬物などをつくってきた。発酵の持つ4つの力、①菌の種類と数の莫大さ、②保存力、③滋養の宝庫(免疫をつくる、ビタミンをつくる、腐敗菌の増殖を抑える、消化を助ける)、④独特な匂いと味。この力がアジアモンスーン一帯の人々の暮らしを支えてきたのではないかと考える。また、これらの力が人間の免疫力、新陳代謝力を向上させることにより「放射能に負けない体づくり」につながっていくのではないか。さらに、放射性物質の半減期の時間、発酵の時間、人の脳の時間と、いろいろな時間の関係について何かあるのではないか。今は「良いうんちをし、そしてそれを無駄にしない」ことが大切で、これはBMW技術にとっても同じ。
 また、コーディネーターのNPO支援センターちば 岡田哲郎氏から、農作物の栄養成分や抗酸化力が六〇年前に比べて減少しているデータが示された。

「くらしと放射能を考えるフォーラム」のまとめ
一.放射性物質に関する現状認識
・東日本の多くの人々、そして千葉県(首都圏)に在住する多くの人々も、すでに内部被曝していること
・環境中の放射性物質の完全な徐染は不可能であること
・生態系の物質循環等を通じ、今後も長期にわたって放射性物質は、身近に存在すること
・低線量の内部被曝であっても、人体への悪影響は否定できないこと
――という状況認識に立った上で、以下の人体や生命体への悪影響を最小限にする必要がある。
二.内部被曝による人体や生命体への悪影響
・放射性物質から発生する放射線により、DNAに障害を発生させる直接的な悪影響
・放射性物質から発生する放射線により、体内に活性酸素が発生し、活性酸素によってDNA・細胞が酸化し、障害が発生する間接的な悪影響
――以上の悪影響が発生する可能性があることを認識し、放射性物質が人体に与える悪影響を最小限とするため、その対策として以下の指針が重要である。
三.人体への悪影響を最小限にするための指針
・放射性物質を体内からいち早く排泄すること(解毒力)
・必要以上の活性酸素を除去させる抗酸化力を高めること(抗酸化力)
・障害が発生した細胞や病原体を駆逐する免疫力を高めること(免疫力)
※以下、この三つの総称として「解抗免力」と言う
――これら「解抗免力」を高めるため、日々の食事や生活習慣を見直すことが重要となる。
四.各食品中の「解抗免力」に注目
 特に食生活に関しては、具体的に各食品中に含まれる「解抗免力」を高めるビタミンや酵素、ミネラル等、各食品の特徴に注目し、食生活に留意する必要がある。
五.低下している農産物中のビタミン等、抗酸化力とその原因
 一方で、現在生産されている農産物は、それらの「解抗免力」、とりわけ抗酸化力等は、はたして高いのか、低いのか、疑問であることが提起された。例えば、ホウレンソウでは、一九五一年と二〇〇一年での食品成分分析比較では、ビタミンAの成分量は、二〇〇一年では、一九五一年の一〇分の一となっている。また、農作物中の硝酸態窒素と、ビタミン・糖度・抗酸化力は反比例する関係にあることが挙げられた。
 そして、これら農産物のビタミンやミネラル等の減少の主な直接的原因は、
(a)農産物生産圃場の有機物やミネラル不足等による地力の低下
(b)化学肥料・農薬等に依存した農産物栽培
(c)これまでの栽培技術方針及び栽培技術の未確立
(d)品種改良
――等が挙げられ、間接的原因として、
(e)大量生産・販売(消費)優先思考による、農産物の生産様式
(f)上薬としての食品(農産物)価値の欠落
(g)効率性・利便性・快適性の追求により、省みられなくなった資源循環型の生産・生活様式
(h)山や流域の岩石起源のミネラルが動植物に利用できる形になっていない河川水(杉植林等による森林の単層林化や、森林を水源とする河川水に、生活・工業廃水処理に消毒用の塩素が投入されること等に起因する錯体ミネラルが含まれない状態になっている水)――の農産物栽培への利用等による生態系の物質循環機能の低下、等が挙げられる。

 今後の課題としては、「解抗免力」を高める農産物の生産や、放射性物質を農産物に移行させない生産とそのチェック体制の構築・維持が考えられる。
(報告:BMW技術協会事務局 井上忠彦)

Author 事務局 : 2012年10月01日21:52

【AQUA246号】日本第二の湖「霞ヶ浦」にBMW技術が接岸

霞ヶ浦レンコンとコンパクト生物活性水プラントのコラボ開始

 茨城県の霞ヶ浦湖岸に広がる蓮畑は、日本のレンコン生産量の九〇%を占めます。
 その中に、「糸を引くレンコン」をキャッチフレーズにしているレンコン作りの達人「武井農園」が、生物活性水プラントを立ち上げました。有機栽培にこだわり、農協の生産部会を一人飛び出し、二五年間にわたって、EM農法を基本に安心・安全なレンコン作りに邁進してきた農家です。
 BMW技術と武井さんと関係の始まりは、六年前、農村の地域活性化とBMW技術の思想を熱く語る茨城BM自然塾の清水澄塾長との出会いです。更にBM農法により、甘くて・粒ぞろいの見事なサツマイモを作っている米川農場を目撃したことで、興味が倍増されました。この技術が営農的にも凄い武器になることを感じて、驚いたようです。
 四年前、現在の作業場の改築計画に伴い、排水処理を兼ねた大型生物活性水プラント設置を計画しました。しかし、諸般の事情から改築工事が無期延期され、そのプラント設置も立ち消えになりました。
   その後の「3・11大震災」「福島原発事故」など、茨城県の農家にとっては逆風に悩まされながらも、BMW技術の獲得意欲は消えていませんでした
 武井農園の大型生物活性水プラントの計画を進行させている時、壁と感じていたのは、大型タンクの入手の不安定さとそれを据え付ける広い設置スペースの確保にありました。
 アクア四月号で紹介した荻原フルーツ農園のコンパクト生物活性水プラントを、今後、(株)匠集団そらが耕種農家用に広く展開すると聞いて、武井農園に説明しました。武井農園は、すでに同じタンクを別の用途で入手していたこと、最近購入した土地が利用できることなどの条件が揃い、即断で、プラント設置を決められました。それにしても「農家は世の中の病人をなくす意気込みを持つべし」の心情を持つ武井農園の動きには眼が離せません。
 今回の生物活性水プラントに用意したタンクは、一千リットルタンク(荻原フルーツ農園使用のタンクと全く同じもの)五個です。ちなみに、このタンクの中古品は、茨城県では近くの大型ホームセンター(または農家専門の小売業)で販売しています。今回の購入価格は一個九八〇〇円でした。
 設置スペースの土台は、奥行き二メートル長さ七メートルです。連結の間を詰めて、貯留用として追加予定の六個目のタンクを入れるスペースもできました。かなりコンパクトです。
 実際に出来上がってみて、感じた大きなメリットは、野菜を詰めるコンテナ一つあれば、プラントメンテナンスが目線レベルできることです。身近にプラントと付き合えることを感じました。今後、見学者も増えるとは思いますが、彼らにも好印象を与えます。
 今後の注目点は、安定的な生物活性水づくりです。品質にぶれが出る原因が第一タンクの容量不足によるのであれば、タンクの追加による対策が立てられます。更に生物活性水の利用量増もタンクの追加で補えます。
 今まで、中規模の耕種農家にとって、生物活性水プラントは手の届きづらいものでした。これからは、このプラントの活躍が予想されます。今後、荻原フルーツ農園との情報交換を密にしてこのシステムの充実を目指します。
 また、茨城県の霞ヶ浦と別の湖「涸沼」でもBMプラントが活躍しようとしています。二つの湖とBMW技術の今後をお楽しみください。
(報告:ミクロ コスモス研究所  市丸滋幸)

Author 事務局 : 2012年10月01日21:51

 
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